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音楽朗読劇 READING HIGH noir 『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』の見どころとは?

2024年10月13日。東京のイイノホールに音楽朗読劇 READING HIGH noir 第1回公演『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』の夜公演を見に行きました。

わたしがはじめて劇場で音楽朗読劇 READING HIGHシリーズを鑑賞したのは、2019年の冬のこと。

型破りな演出と、ドラマチックなストーリー。そして出演者の迫力ある演技にすっかり心を射抜かれてしまいました。

雷に打たれたような衝撃を覚えたその日から、同じく藤沢文翁さんが作・演出を手掛けるその他の朗読劇や、近年制作に関わっているミュージカルや舞台劇も”追いかける”ようになりました。

第1回公演『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』には、藤沢さんが脚本を担当した舞台『キングダム』の出演者もキャスティングされていたので「ぜひ生で楽しみたい!」と思い、劇場まで足を運びました。

劇場はビジネス街にある大きなビルの中。客席には心なしか、ミュージカルや舞台劇が好きな方が多いような気がします。

なんだか緊張してきた!ちょっぴり背筋を伸ばして開演を待ちました。



『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』キャストとあらすじ

音楽朗読劇 READING HIGH noir 第1回公演『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』のキャストとあらすじをご紹介します。


キャスト

 医者   牧島 輝(まきしま・ひかる)

ピアニスト 有澤 樟太郎(ありさわ・しょうたろう)

夢の中の女 桜井 玲香(さくらい・れいか)

(敬称は略させていただきました。)


あらすじ

帝国海軍軍医を父にもつ医者は、ある日、先の戦争以来行方知れずになっていた親友と再会します。

彼は大人気ピアニストとして活躍中。また、優れた作曲家としても有名になっていました。

しかし、次々と新曲を生み出す一方で、原因不明の体調不良に悩まされていたのです。

その原因を調べるなかで、医者はピアニストの夢に現れる女の存在を知ることになるのですが……。


『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』の見どころと感想!


ここからは本公演の見どころ3点と感想をストーリーのネタバレなしでお話します。


見どころ1 劇作家・藤沢文翁氏のデビュー作が装いも新たに再演!

『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』は藤沢さんが英国での学生時代に生み出した、劇作家としてのデビュー作です。

ロンドンでの上演後、日本でもさまざまなキャストで演じられてきました。

今回の再演では、新たに劇中で歌をうたう演出が加わりました。藤沢さんならではの常識にとらわれない、遊び心がうかがえます。

朗読劇の中に歌を取り入れるなんて、なかなか思いつきませんよね。


見どころ2 ミュージカル等で活躍する若手実力派俳優の熱演!


今回のキャストのみなさんは、いずれもミュージカルなど、舞台を中心に活躍しています。

みずみずしく、思いきりのある演技が魅力です。

牧島さんが演じる医者は、ぶっきらぼうで自信家だけれど、どこか憎めなくて情に厚い人。

きつい言い方の中にときどき見える優しさが、表情と声から力強く伝わってきます。情熱的な演技に心惹かれました。

有澤さんが演じるピアニストは、気は弱いけれど、相手の気持ちを敏感に感じ取れる優しい人。

その声と眼差しだけでピアニストの人格がひしひしと伝わってきます。静かに訴えかけるような演技に、感銘を受けました。

桜井さんが演じる夢の中の女は、そっけない雰囲気を漂わせながら、ときには激しい感情をあらわにする人。

ピアニストとの交流で優しい気持ちが芽生える様子が、豊かな声の演技でじんわりと伝わってきます。

この日は幸運にもキャストの表情と舞台演出がよく見える座席だったので、みなさんの緊張感や演技にかける強い思いが、真っ直ぐこちらに飛んでくるのを感じました。

また、終盤のセリフが飛び交うシーンでは、まるで距離を詰めて争っているような迫力を感じ、朗読劇であることを忘れてしまう瞬間もありました。

3人の清々しい演技で、藤沢さんの処女作である『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』がより爽やかな印象になっているようで……。心がじーんと温かくなりました。


見どころ3 朗読劇なのにキャストが歌唱をする演出!

見どころ1でもお話しましたが、この朗読劇では朗読の合間に、歌が差し込まれているのです!

村中俊之さん(作曲・音楽監督)のチェロと、白井アキトさんのピアノの演奏にのせて、みなさんの美しい歌声が響きます。

牧島さんと有澤さんの独唱はもちろんすてき!

わたしがとくに印象に残ったのは、桜井さんと有澤さんのデュエットです。

「ずっと聞いていたい!」と思うほど、ふたりのハーモニーが美しくて……。いまでも耳に、そして心に強く残っています。

「朗読劇」と「歌」は自然に溶けあい、響きあっていました。

これまでの「藤沢朗読劇」を継続しながら、このような演目も増えるといいなと思いました。


さいごに

以上、音楽朗読劇 READING HIGH noir 第1回公演『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』の見どころ3つと感想をお話ししました。

さらに詳しい情報は以下のリンクからご覧ください。

千秋楽のアーカイブ配信など

公演の詳細はこちらから

2024年10月19日・20日に上演予定の姉妹作

『THANATOS~タナトス~』の詳細についてはこちら


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