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「鼻から胃カメラ」体験記
わたしは、先日はじめて経鼻内視鏡(鼻から入れる胃カメラ)を体験した。
どうして「鼻から胃カメラ」を選んだのか?
毎年恒例となった人間ドック。今年は、最後に受けた胃の検査でハプニングが起きた!
うっかりバリウムを飲み損ねてしまったのだ!!
ようやくバリウムの味や、台の上でのアクロバティックな動きにも慣れてきたと思っていたのに……。
誤嚥(ごえん)後、しかるべき処置をしていただいたので一安心。
しかし一度誤嚥してしまうと、つぎからはもうバリウム検査はできなくなると説明があった。そこで胃カメラの予約を取り直すことになったのだ。
わたしが受けている人間ドックでは、胃の健診はバリウムを飲むエックス線検査が標準。胃カメラでの検査は別料金となっている。
追加料金は1700円ほどだと聞いたけれど、自分の失敗からの出費は痛い!
受付の担当者に「口からにしますか?鼻からにしますか?」と聞かれたとき、悩みながらも「鼻からで……」と答えたのは院内のポスターを見ていたから。
どうやら口からよりも「おえっ」ってなりにくいらしい。
ほんとうに!?
検査は約10日後。なんだか胃が痛くなってきた……。
予約した日時に病院へ
血圧測定のあと、検査の進め方の書かれたリーフレットを見ながら順番を待った。
……ふと思った。そういえば、わたし鼻炎持ちだけど、検査できるのかなぁ?
待合室で待っている間はスタッフから、診察室に呼ばれると医師から次のような質問があった。
薬のアレルギーはあるか?
血液をサラサラにする薬を飲んでいるか?
どちらもないと答えると
医師から(麻酔を使うが)検査中も会話ができることや
病理学的な検査が必要な場合は組織を採取することが伝えられた。
わたしが季節性の鼻炎があるが検査は可能かと尋ねると、症状がひどくなければ大丈夫とのこと。
あーっ、よかった!今日も検査ができないのはさすがに困る……。
ただし、鼻の鼻腔のかたちや大きさによっては口からの検査に変更するとのこと。
うーん、わたしはどうなのだろう?
さあ、いよいよ検査の準備(前処置)がスタート!
まずは胃の中の泡を取り除く消泡剤を飲む。
つぎに鼻の通りを良くし出血を防ぐために、鼻腔に局所血管収縮剤をスプレー。
ここまでは順調にクリアする!
待合室に戻るよう促され5分から10分ほどたった後、別室のリクライニングチェアに案内された。鼻腔に麻酔薬を注入するらしい。
注入のまえに「左右どちらの鼻が通るか?」と聞かれたけれど、予想外の質問に少し戸惑ってしまった。
そうだ!と思って左右交互に鼻をかんでみる。
息が多く出たのは左の鼻だったので、こちらに決めた!そして左側から右側と順番に注射器のようなもので麻酔を入れてもらう。
ドロッとしたゼリー状のものが鼻を抜け、喉まで届く。
なんとなく甘くて嫌な味ではない。「飲み込んでも構わない」と言われたので躊躇なく流し込む。
そのあと、左側の鼻孔に麻酔薬を塗ったチューブを挿入。この管が奥まで入れば、鼻から胃カメラが入るとのこと。……どうやら大丈夫みたい……!
スタッフに「少しこのままで……」と言われて、待つことになった。
徐々に感覚が鈍くなったあと、喉元がフワっと空洞になってしまったような感覚があり、少しだけ違和感。けれど、気分が悪いわけではない。
リクライニングチェアの上で5分から10分が経過……。
もうどうにでもなれ!!
名前を呼ばれて、再び診察室へ
医師の指示に従い、左肩を下にしてモニターと向かいあうようにベッドに横になる。
脚を曲げ、両手をお腹に当てて待っていると、医師が左の鼻孔からゆっくりとカメラを入れていく。
痛みはない。けれども楽ではない。背中を異物が這っていくような感じがする。
女性のスタッフがゆっくりと背中をさすってくれるのが気持ちいい。
モニターを見ていると、鼻から喉、そして胃の中へと景色が変わっていく。
あらためて、どこかで見たことのあるこの光景が自分の体の中にもあることを実感する。
胃の中でカメラが動くとなんだか「おえっ」ってしたくなるけれど、思っていたほどではない。
げっぷをしてもいいと言われたけれど、少し「けほっ」っとした程度で済んだ。でも左の目から流れる涙だけは止められなかった。
カメラをずっと見ていたけれど、質問はできなかった。話をするのはやっぱり無理だった。
やがて医師がゆっくりカメラを抜いていく。検査が終わったのだ。
胃や背中の違和感が少しずつ無くなって……。とにかく無事に終わってよかった!さらに「とくに異常なし」と医師から告げられて、ホッと胸をなでおろした。
さいごに、麻酔が効いている間は飲食はできないこと。検査終了後30~60分ほど経ってから、水を飲んでむせなければ食事をしていいこと。さらに車の運転もできると言われて気がついた!
そういえば、わたし。なにも考えないで車を運転してきたんだった!!……よかったっ。
はじめてでドキドキしたけれど、来年からもきっと「鼻から胃カメラ」で胃がん検診を続けていくと思う!
さいごに
ここまでわたしがはじめて受けた「鼻から胃カメラ」の検査についてお話しました。あくまでわたし個人の体験記ですので、参考にしていただけたらと思います。
興味をもった方は下記のサイトをご覧ください。検査が可能な病院の情報や検査についての詳しい説明が掲載されています。