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暮瀬堂日記〜落蝉と「と金」

 梅雨明けて初めての洗濯である。
 ベランダで物干し竿に向き合っていると、突然油蝉が迷い込んできた。裏返って起きられないでいるので、助けようと手に持った瞬間、けたたましい声を発して空に消えた。

  落蝉や歩兵と金となる頃か

 ひっくり返る様が駒のように思われた。ベランダに突入した歩兵がと金になった、そんなひと時であった。

(旧暦六月十六日 大暑の節気 大雨時行る候)

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