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暮瀬堂日記〜狗尾草(えのころぐさ)

 吾が社の配送部は、隔週で日曜が休みである。朝の涼しい内にジョギングに出ようと思ったが、ひとたび掃除機をかけるとあれもこれもと目についてしまい、気がつけば日が真上に昇っていた。
 アタック25を見ながらビールを飲んでいると、いつかまどろみ、目を醒ますと夕刻であった。暑さが和らいでいるかと思って外に出たが、変わらなかった。
 幼い頃は、父や母に連れられて夕涼みに行ったものだが、当時とは気候が変わってしまったのだろう。

   入り日どきゑのころにだけ風の吹く

 その後、日が傾き始めると、吹く気配の無かった風が、猫じゃらしだけを揺らしていた。あの穂先で風も遊びたい時もあるだろう、狗尾草が風を呼ぶのかもしれない。

※狗尾草……エノコログサ、秋の季語。「猫じゃらし」とも言う。

(旧暦六月二十日 立秋の節気 涼風至る候)

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