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暮瀬堂日記〜虎が雨
旧暦五月二十八日である。この日に降る雨のことを「虎が雨」と言い、季語となっている。曾我兄弟仇討ち決行の日、討死した曾我祐成の妾、虎御前の悲しみの涙を重ね合わせたものである。
この日は毎年少なからず雨が降ると言われているように、朝から強い雨が振り続けていた。
虎が雨傘は売切れ軒の下
待人の足音かき消す虎が雨
難しい季題である、と毎年実感する。
そんな虎が雨音を聴きつつ、マンションのゴミ置場で落手した新聞に目を通していた。ウサギのゲージの下敷きにと思ったが、飯田龍太と森澄雄の記事だったので、思い留まった。
(旧暦五月二十八日 小暑の節気 鷹乃学習う候)