暮瀬堂日記〜蛇の殻

　買物の途次、公園の植込みの端に光るものが目に入った。自転車を止めて近寄ると、網目状になった蛇の殻であった。
　故郷では時折目にしたが、東京に来てからは初めての邂逅である。

　もぞもぞしながら脱皮し、今頃一人前になって居るだろうか。野分するように草むらを闊歩し、新しい世界に目を見開いているに違いない。

　　蛇衣を脱ぎ一行となりにけり

（旧暦五月二十ニ日　小暑の節気　蓮始開く候）