
暮瀬堂日記〜ピラカンサ
近所の公園を散歩していると、真っ赤な実をつける生垣が目に入った。鈴なりになったピラカンサである。傍には花水木の実も呼応して赤く熟し、赤みを競っているようだった。
ピラカンサは雨を呼ぶのだろうか、それとも、雨がピラカンサを選んで降るのだろうか。この実を見るときには、いつも雨が落ちているのである。しかし、秋霖という季語があるように、ただ秋の長雨が続いているだけかもしれない。
ピラカンサ見るたびに雨降つてをり
ーーいつ見ても、雨が似合うもんだな
そう思いつつ、しばらくく佇んでいた。
(新暦十月十四日 旧暦八月ニ十八日 寒露の節気 菊花開【きくのはなひらく】候)