初めての入院
入院して、白内障手術を受けました。
5000人に1人の割合で、大出血を起こして失明するとのことでしたが、無事に終わりました。
でも、とてもとても、怖かったです。そして、最後に傷口の確認をしますとのことででビビビッ、ビビビッと、なにかやられたのが、とても痛かったです。
40代の若い人は白目の部分が大きいので、傷口が拡がりやすいので、最後にビビビッ、ビビビッ、と長めにやったようです。
自分の水晶体が砕かれて、だんだん視界が無くなって行く時の不安、そして新しいレンズを入れられた時の感じはビッグバンかと思いました。
目は二つあるので、一つ失ってもいいや、というくらいの気持ちを言い聞かせていたのですが、無事に終えたときはなんだかほっとしましたね。
看護師の方々はじめ、とても親切でした。
当日の夜は、鈍痛と沁みるような感じが残り、なかなか眠れませんでしたね。
翌日の朝、ガーゼを外してもらうと、曇りガラスのようだったのが、スッキリと晴れ渡っていました。やってよかったと、つくづく思いました。
その日は、森鷗外の短編集を読んでいました。『山椒大夫』を読みましたが、余りの名作に落涙を禁じ得ず、目がヒリヒリとしてしまいました。
香代子さんが、よく『山椒大夫』のことを話していて、傑作である云々と論じていたのでしたが、全くであると首肯しました。
安寿の草履が池のほとりにあったという場面、淡々と記す鷗外の慟哭が聞こえてくるのです。最後に描かれる厨子王と母の邂逅の刹那、安寿自身があの仏様であったのではないか、と再びじいんと来て目をヒリっとさせたのでした。
もう一度、文学に向き合って見ようかな、かよちゃん、そう思いつつ初めての入院生活を過ごしていました。
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