暮瀬堂日記〜孑孑(ぼうふら)
会社では沢山のメダカを飼っている。何故いるのか、今では詳しく知っている人も居ないようだ。二十年以上勤続している人に聞いても、
「なんだったかなあ…」
との返事が帰って来るばかりである。
当時から生きているメダカは勿論いないだろう。つい先日も何匹かの新しい命が産まれたばかりである。
先輩の小島さんが水を取替えているので、私も手伝ったりしている。この間は、誰かが移し終えた水をそのままにしていたので、孑孑(ぼうふら)がうじゃうじゃになっていた。メダカが居れば喰ってくれるので、本来は沸かないらしい。
孑孑の朝まで踊り明かしけり
次々に飛び立って行くので、小島さんと相談して、水を捨てることにしたのだった。
(旧暦五月二十三日 小暑の節気 蓮始開く候)
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