見出し画像

暮瀬堂日記〜枯草と馬場

 秋競馬が真っ盛りとなり、牡馬牝馬ともに無敗の三冠馬が誕生し、古馬ではアーモンドアイが芝のGⅠを二勝し都合八冠馬となるなど、未曾有の年となった。多くの興行が自粛に入っても、無観客で開催を続けられたのは幸いであったろう。

 馬券を買うことはほぼ無いが、レースそのものを見るだけでも、胸を躍らせてくれたことに感謝したい。無事是名馬を願い、引退まで事故無きことを願うばかりである。


 私の故郷にもかつて「かみのやま競馬場」があり、バブルの頃には国道が大渋滞になる程の賑わいを見せていた。
 中央から転厩してきたツインターボが話題となり、初戦一番人気に押されて期待に応えたが、これが最後の勝利となった。その後は、次第に客は減少し、関係者と揉めに揉めた末、2003年11月を以て45年の歴史に幕を閉じた。

  枯草や蹄鉄錆びる馬場の跡

 跡地は工業団地として分譲され、一角には南関東など公営の場外馬券売場が残っている。



※枯草……草枯る。草枯。冬の季語。


(二〇二〇年 十一月十ニ日 木曜 陰暦九月ニ十七日 立冬の節気 地始め凍【ちはじめてこおる】候)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?