暮瀬堂日記〜秋曇
予報では雨が降るかもしれない。と言っていたが、朝からいつものように油照りが続いていた。しかし、昼を過ぎると青かった空には分厚い雲が立ちこめてきた。
休憩中、公園のベンチで佇んでいると、少し風も出てきて、藤棚の葉がさざめき始めた。
雨よけに選んだのか、隅の方には蜘蛛の囲が張られ、網のほころびを修繕する主の姿があった。
蜘蛛の巣をつくろひ始む秋曇
夏にこしらえた棲家も、日ごとに傷みが出て来る頃なのだろう。これからが、蜘蛛にとっての非常事態なのかもしれない。
(旧暦七月九日 処暑の節気 綿柎開【わたのはなしべひらく】候)