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暮瀬堂日記〜柿の日と筆柿

 十月二十六日は「柿の日」であるとラジオから聞こえてきた。続けて「どうしてかわかりますか?」と番組内で会話があったが、ついに誰も回答出来なかった。司会者が言うには、1895年(明治28年)、正岡子規が奈良旅行に出発し、

  柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺

 を詠んだことに因むとのこと。
 それを知ると途端に柿が食べたくなり、休憩時、スーパーで「筆柿」なる品種を落手した。


 愛知特産のもので、不完全柿だという。一本の木に甘柿と渋柿が混在し、一割程が渋く、種が入ると甘味が出るとのこと。また、珍宝柿(チンポウガキ)の別名もあり、男根に似ているからだが、それだと売り出せないので上記の漢字を当てたとのこと。

  筆柿に発句きかせよ越の人 凉菟

 蕉門岩田凉菟に筆柿の古句があり、

  通称はちんぽこ柿といふさうな

 西野文代氏に上記の如き句も見られ面白い。

  ちんぽう柿ぽの辺りから食べにけり

 などと私も戯れてみた。

(新暦十月ニ十六日 旧暦九月十日 霜降の節気 霜始降【しもはじめてふる】候)

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