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Hello WORLD!!

こんにちは、くれなずむまちおです。

さて、世界も日本も中東も、てんやわんやしておりますが、僕は自分にできることは何かと自問自答のエブリデーな毎日を過ごしています。

先日、僕の周りでもっとも崇高な偽善者T君がついに

「僕はXをやめる」

と、宣言しました。

40歳を過ぎても自由きままに役者を続け、人に酒をたかっては酔っ払って世界や日本を憂う男、T。

「役者を続け」

と書きましたが、舞台に立つ事も劇団に所属する事もオーディションに応募する事もしない

「エア役者」

のTが唯一の表現方法である「X」をやめると宣言するからには余程の理由がある事でしょう。

でも聞くと面倒くさいので

「そうなんや、ところでこの軟骨の唐揚げカリカリやな」

と、スルーしたところ、Xをやめる理由を長々と語り始めました。

このTの言葉の全てが本当に偽善者の煮凝りみたいな文言で構成されているので、共感性羞恥の人はひとたまりもなくゆであがります。僕は共感性が鈍いのですがその僕が「耐えている」感覚があるほどの浸透力です。Xメンの世界ならミュータントとして隔離されていた事でしょう。

そんなTの言葉を要約すると

「世界をもう僕は見てられなくなった」

との事。

流石、T。

くしゃみで頸椎ヘルニアを発症するだけの事はある。

文言だけだと伝わりにくいのですが、その時の表情、発声、呼吸、間、その全てに羞恥エキスが満了処方されています。僕ですら身体に火照りを感じるほどの。

Tは僕の発言を待っています。

いつもの、少し目を細めたキメ顔がまたサバ缶にペアリングして、もう、途方の際まで追い詰めてきます。

「好きにすればいんじゃない?」

と、疑問で終わるとまた会話が続いてしまうのでレモンサワーについてきたレモンの皮を絞り目潰しを試みましたが不発でした。冷凍レモンの皮はこれだから困る。

Tは鼻に詰め込まれた冷凍レモンの皮をおもむろに手羽先のガラ入れに捨てると

「お前は世界をどうみてる?」

と、とどまることを知りません。

僕は世界の事を憂う余裕なんてありません。

ネットで、識者でもなんでもない一般の人がネットの中だけで完結してしまうような根拠もなんもない事象や印象をソース元としてこねくり回して自説に接続して気を吐いたりしてる暇が、僕にはありません。もし、そんな時間があるなら、いやらしい妄想にひたっていたい、そんな男です。

そして、自分の身近なコミュニティに存在する人々が安寧であれば良いと思っているのでこんなTに米をあげたり、ごくたまに酒を奢ったりする程度の善き人でもあります。

そして、その善人のイメージを利用してモテたい。

それは50歳を過ぎた今でも。

なんなら、僕が世界を憂う事でモテるのであれば大いに僕は憂います。憂う事だけなら僕にだってできます、時間さえあれば全力で。ええ、憂いますとも。

そんな僕の葛藤を知ってか知らずか、僕の答えを待っていたTがもう一度

「お前は世界をどうみてる?」

と聞いてきました。

僕は彼に

「世界の前にこないだの3000円返して」

と言うと、彼の顔から世界への憂いがみるみるとしょんぼりとしてゆきました。

彼の憂いは返さねばならない3000円よりも下でした。

その夜も1000円貸してあげました。
*飲み代は僕が奢りました。

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