小説 オーズ Anything Goes! 9
復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい
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「鎧武、こんなところで何を?」
「ここ最近、黄金の果実に異変があってな。それに共鳴するように地球にも異変が起き始めてることに気付いたから、様子を見にきたんだ」
進ノ介と晴人の前に立つ男は始まりの男。仮面ライダー鎧武こと葛葉紘汰である。紘汰は2人と同じテーブルを囲んだ
「それで、さっきの話、俺にも聞かせてくれよ」
晴人はアンクから聞いた内容を2人に話した
「つまり晴人はそいつが別の世界から来たせいで時空や歴史が歪み、倒したはずの怪人が蘇ってるのではないか、そう考えているということか?」
「それが原因で黄金の果実に異変が起きているのなら止めなきゃな…でもよ、そいつも誰かを救おうとしてるだけなんだろ?」
進ノ介と紘汰の言葉に晴人は頷いた。しばらく続いた沈黙は進ノ介の一言で破られることとなった
「まだ未確定な事項が多いものの、間接的にそいつが関わっている可能性は大いにある。俺はこれから照井刑事達と合流して今の情報を共有する。晴人と神様はどうする?」
「凛子ちゃんも居るんだし、俺も行くよ」
「俺も行く。困っている人がいるのに、ただ見ているだけなんて俺には出来ない」
それを聞いた進ノ介はすぐに4人の刑事に電話を掛けた。照井竜、大門凛子は二つ返事で合流することが決まった。しかし…
「どうやら泉刑事と後藤刑事はちょうどこの後用事があるそうで、合流は遅れるそうだ。とにかく今は照井刑事達への情報共有を急ごう」
そうして3人は2人の刑事の元へと向かったのだった
デンライナー車内
「テディ、駿のこと知ってるの?」
ミツルくんが私に尋ねる
「いや、この資料を纏めた人物と接触したことはない。だが先程部室で見つけた時に気になって、ついつい持ってきてしまったのだが…」
私の言葉にすかさず如月弦太郎が説明を入れた
「駿は夢見町が色んな時代と繋がってしまう事件が起きた時に、映司さんに救われたんだ。それに実はその日が、俺が初めて映司さんと出逢った日でもある」
「駿は錬金術の歴史や、恐竜のメダルの力を制御する方法みたいな、オーズの役に立つことの勉強を凄く頑張っていたんだ。オーズとまた会えるようにって」
ミツルくんの言葉を聞いて合点が行った。この資料の中にはオーズの歴史は勿論のこと、各コンボの特徴や、火野映司くん自身のことまで、あまりにも詳しく書かれていた
話を聞いた幸太郎がミツルくんに尋ねる
「ミツル、その若葉駿という子と連絡は着くか?もしかしたらオーズの居場所を知っているかも知れない」
「うん。ちょっと待ってね、駿に電話してみる」
そうしてミツルくんが電話をかけている中、モモタロスは湊ミハルに話しかけていた
「なァ、俺はよ、トサカ野郎にこんなベルトを預けるのだけは反対だぜ!アイツはな、何考えてるかさっぱり分からねェんだよォ」
「大丈夫。アンクはこんなベルトの力に頼らなくたって十分強い。それに今のアンクは絶対に悪いことはしない」
そんな事を言い合っているうちにミツルくんが電話を終えた。どうやら30分後に天ノ川学園に来て貰えるらしい
私達は静けさに包まれるデンライナーの中で暫し、若葉駿の到着を待った
あっという間に時間は流れ、ミツルの携帯の通知音が鳴った
「もうすぐ駿が着くってさ、如月先生」
「よし、それじゃあ俺とミツルは外で待機するか!」
そう言って俺とミツルがデンライナーから降りると、正面から誰かが走ってきているのが見えた
「おーい、ミツル〜!先生〜!」
間違いなく駿の声だった。ミツルと同じく、駿に会うのも2年振りだ。見ないうちに大人びたな
「おお、駿!久しぶりだな!」
「ミツルから連絡貰って、飛び出してきた。それより先生、オーズが大変って本当なの?」
俺は電王から聞いた話を駿に伝えた。駿の顔がどんどん引き攣って行く
「オーズが大変なら、今度は僕が手を繋ぐ番だ…!だって僕達はみんな、家族だから!!」
やはり駿は映司さんから考え方の芯になる部分を受け継いでいる。そうやってずっと映司さんを追いかけてきたんだ。ここまで火がつくのは当然だろう
「ああ…オーズの場所だよね?それがさ、確か今は海外に行ってるはずなんだ。鴻上ファウンデーションの仕事に協力するために」
しかしその言葉を聞き、幸太郎がデンライナーから降りてきた
「オーナーの話によれば、鴻上光生はここ最近ヨーロッパへ行き、当分戻ってくることはないらしいぞ」
「駿、紹介するよ。僕が2年前の資料に纏めていた仮面ライダー電王に変身する、野上幸太郎さんだ」
幸太郎と駿が会釈をする中で、俺は2人に尋ねる
「となると、映司さんはもう日本に居るのか?」
「分からない。でも如月先生、夢見町でオーズが居そうな場所なら知ってるよ。それにそこに居なくても、きっとオーズの居場所はわかる」
「クスクシエに行こう!」
少し時間を遡り、幸太郎達が駿を待っている頃
聖都大学附属病院
「先生、困ります!そんな自分の気分で帰られては…」
「あ〜、大丈夫、大丈夫。手術なら鏡ちゃんに頼んであるし、宝生ちゃんにも連絡入れてるから」
「そういうことではありません!先生、今は検診の途中なんですから!」
「俺の身体は医者の俺が1番わかってるからさ。健康で何も問題なし、以上!そんじゃ!」
「あ、ちょっと…伊達先生!!」
警視庁
「泊刑事から連絡があった。どうやら異変のことで進展があったらしく、情報を共有したいらしい」
「でも信吾さん、俺達今から空港に…」
「あぁ、だから用事が済み次第、遅れるが行くと伝えた。久しぶりに会うんだ、前に後藤くんが言っていたように、呉々も気付かないように振る舞わなきゃな」
「はい…!ん?伊達さんから電話だ…」
クスクシエ
「今日は久し振りに皆に会えるの楽しみだわ、里中さんもお迎えに来てくれてありがとう。久しぶりに会えて嬉しいわ」
「いえ、私にはもうこういうことしか出来ないので」
「今日は貸切、辛い物もたっくさん用意してあるから、後で好きなだけ食べて行ってね!」
「はい!では、比奈さんも迎えに行きましょう」
とある洋服店
「じゃあ私、今日はもう上がるので、後は宜しくお願いします」
「はい、店長、お疲れ様でした!」
「あ、里中さん!お久し振りです!知世子さんも!」
「比奈ちゃん、相変わらず元気そうで良かったぁ」
こうして夢見町の空港に続々と皆が集った。ここまで皆が揃うのは後藤さんの結婚式以来かも知れない
「比奈!」
「お兄ちゃん!あ、後藤さんと伊達さんも!」
私が振り向くとそこにはスーツ姿のお兄ちゃんに後藤さん、白衣姿の伊達さんが居た
「里中ちゃん、久し振りぃ!」
「伊達さん、後藤さんから聞きましたよ。また無断で抜け出してきたみたいですね」
「本当に医者なんですか、伊達さん」
「里中ちゃんも後藤ちゃんも言うなよ…」
「すまない、俺と後藤くんはこの後別行動になる。今追っている事件で少し進展があってな。多分途中から戻れるとは思うから、まずは皆で楽しんでいてくれ」
「じゃあ比奈ちゃんのお兄さんの好きな鶏肉料理、たくさん作って皆で待ってるわね!」
お兄ちゃんと後藤さんは今や警視庁の刑事の中でも凄くいいコンビだって噂されている。私もお仕事頑張らなきゃ
そんな事を話していると携帯に通知が入った。どうやら彼が到着したようだ。そして数分後、彼がエスカレーターを降りて、私達の前に止まり、呟いた
「比奈ちゃん、みんな。ただいま」
「おかえり、映司くん」
この日、仮面ライダーオーズこと火野映司は鴻上ファウンデーションとの契約満了を機に、日本に帰国したのであった
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