小説 オーズ Parallel Ankh 16
復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい
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青い奴が虚無の前に突っ立ってる。だが未来の鴻上の言っていた通り、間違いなくそれは小さくなっていた
「これでどんな時代でも、どんな奴とも戦い放題だ───ん?」
青い奴が俺達に気付いた
「折角助かった命を無駄にするつもりか?」
ただのメダルの塊でしかない奴が命を語りやがって、ふざけんな。青い奴は大量の屑を生み出した
俺はさっきの映司の言葉にまだ心を悩ませていた。だがこうなった以上は仕方ない。俺は映司に喝を入れた
「早速お出迎えか…映司、気抜くなよ」
「あぁ、この感じ、なんか久しぶりかもな!」
俺にとっては全然そんな気もしなかったが、俺達は屑の方へと突進した。しばらくして映司が問い掛ける
「ところでさ、お前がどうやって戻って来たか、まだ聞けてないんだけど!」
本当は俺がお前の探しているアンクじゃないって事くらい、とっくに気付いてる癖に
「気にするなと言ったはずだ!」
「じゃあこれだけ!一緒に戦うのって、もしかしてこれが最後?」
最後であってたまるか。俺はお前の運命を変えるために、こっちの世界にやって来たんだからな
「そうしたくなかったら、きっちり生き残れ!」
絶対に…そう心の中で呟いた俺は映司にタカ・トラ・バッタの3枚を投げ渡した
「分かった!お前もな!!」
そう叫んだ映司は青い奴目掛けて歩き始めた。本当、どの口が言ってんだか
「変身!」
『タカ!トラ!バッタ!
タ・ト・バ!タトバ!タトバ!』
映司がタトバコンボに変身し、青い奴目掛けて飛び掛かる。二つの攻撃は拮抗したかに思えたが、僅かに映司が吹き飛ばされた
「お前とは戦い飽きた」
「だからって、他の時代に行かせるわけには行かない!」
俺が気付くと映司は青い奴に捕まれ海へと放り投げられていた。だったらお前のメダルを使わせて貰うぞ、メズール!
「映司!」
『シャチ!ウナギ!タコ!』
青い奴の攻撃を受けて映司が海上から姿を現した所にコアメダルを投げると、映司はシャウタコンボに変身して青い奴と海中戦を始めた
だが青い奴のコアメダルには海で生活する生き物の力が凝縮されている。その力に押し負けた映司は再び水中から陸へと吹き飛ばされた
まずいな、このまま続けば映司が負ける…そう感じたのとほぼ同時に水上の向こうから声が聞こえた。怪我をしたはずの伊達と後藤だった
「火野、水上は俺達に任せろ!」
「怪我、大丈夫なんですかぁ?」
「大丈夫にするのが俺達だ!!」
伊達、お前本当に医者か?そんな事を思いながら屑と交戦を続けていると、ライドベンダーに乗った里中が現れた
「痛み止めは30分しか持ちませんから!」
「「言うなよ!!」」
っは、そういう事かよ…相変わらず馬鹿な奴らだ。屑との戦闘に里中も加わり、戦いは激しさを増していく
「面白くなってきたな!っはあぁ!!!」
青い奴の攻撃をギリギリながらも避けていた後藤と伊達だったが、とうとう命中して吹き飛ばされてしまった
そんな中、もう1人水上を走る奴が居た。それはあの人間だった
「ミハルくん…!」
「オーズ!俺の守る今日が皆の明日だって分かった!怖いなんて言ってられない!俺に足りなかったのは…勇気だ!!───変、身!!!」
奴が見たこともないベルトを腰に巻き付けると、掛け声と共に奴の周りに水が覆い、青い奴とは別の姿のライダーに変身した
「あれが、未来の仮面ライダー!」
水上で青い奴の攻撃を何度も躱しながら、一方的に攻撃を与えていく。あいつ、水が怖いんじゃねぇのか?
不利を感じたのか青い奴が陸上戦に持ち込む。しかし奴は陸上でも青い奴に攻撃を当て続け、追い込んでいった
「こんな所で戦いを終わらせるわけには…」
「オーズ、一緒に!」
「あぁ!アンク!!」
映司が俺の方を見て叫んだ。青い奴もゴーダと同じ人造グリード。であれば、とどめを刺すにはこれしかない!
「映司!!」
『タカ!クジャク!コンドル!』
映司がタジャドルコンボに変身すると、合わせて奴が青い奴目掛けて突っ込んで行く。映司もすぐに再スキャンを行い、空高く舞い上がった
『スキャニングチャージ!!』
「オーシャニックブレイク!!」
奴の水を纏った攻撃が青い奴に直撃した瞬間
「はあぁぁぁ…!セイヤー!!!はあぁ!!!」
青い奴は爆発と共に自身の体内にあるコアメダルと鴻上の作った人造コアメダルを吹き飛ばした
「オーズ、ありがとう!皆の明日、絶対守る!」
戦いが終わりすぐに奴は元の時代、40年後へと帰っていった。映司から貰ったパンツを持って
最初は意志が弱い人間だと思ったが、映司に出会って奴は変わった。そしてその結果、奴は映司の意志を継いだ
映司の運命を変える、それはもしかしたら映司を直接止める事じゃなく、映司の意志をたくさんの仮面ライダーに継いで行って貰う事なのかも知れない
「よし、じゃあ行くか」
奴を見送ると後藤と伊達、里中はその場を後にした。虚無の縮む速度が明らかに早まっている。映司とゆっくり話す時間は、無さそうか…
まぁいい、こうして映司とまた会えたんだ。そして俺にはまだやるべき事がある
『アンクくん、君が何故復活したか、私には分からないが、火野くんなら30年前に亡くなったよ』
これで映司の運命が変わったと信じたいが、2021年に行って鴻上の言ってた真相を確かめなきゃな
「アンク…お前は…」
映司、また会おう。未来でな…そう心の中で唱え、映司の言葉を聞き流して俺は虚無へと飛んだ
虚無へと入った直後、映司と比奈の奴の声が少しだけ聞こえた気がした
「つまりさ、俺達が頑張れば未来、いつかのぁ…」
虚無の中へと入り、未来へと身体を進めた俺は、未だに旧エタニティメダルとその他のコアメダルが力を失っている事を再認識した
「やっぱり、これじゃ帰れそうもねぇか…」
そういえば青い奴、屑を大量に生み出していたが、あれはウヴァの得意とする戦い方だ
元の世界でも鴻上は800年前のオーズは最初にウヴァを復活させたと言ってたな…つまり、あの青い奴の中にもウヴァのコアがあったに違いない
何せ10年前は1枚でしぶとく人間に張り付いていた虫ケラ野郎だ。まぁ多くのコアメダルが映司の元に残ったわけだ、完全復活しなけりゃ問題無いだろう
そんな事を考えながら飛んでいると、目の前に光が見えた。光の方へと飛び込むと俺は海の上へと放り出されていた
「ここは、どの時代だ…?」
あの人間を追って虚無へ入ったんだ、ここが2051年である可能性が一番高い。予想通り背後からついさっきまで耳にしていた声が届いた
「あ、えっと…確か、アンク?」
振り返るとそこには奴、湊ミハルが立っていた
「ほら、さっきまで一緒に…じゃなくて、40年前一緒に戦った…」
「俺もお前を追いかけて虚無を通って此処へ来た。お前と別れたのはついさっきで間違いない」
湊が驚くのも無理はない。そもそも俺は時間だけでなく、世界を跨いで此処にいる。それを奴に話しても到底信じては貰えないだろう
「良かった!戻って来たら、前とは街の雰囲気が全然違ってて、困ってた所なんだよ…」
言われて気付いた。最初に降り立った時より人間の声が街に響いている。同じ夜の街の様子も過去が変わっただけで、世界の様子が此処まで変わるとは…
「折角変身出来るようになったのに、これじゃあ活躍の場はなさそうだなぁ?」
「皆が安心して暮らせるならそれでいいんだ。変身する機会がなくても、俺はこれから皆の明日を守って行くよ、仮面ライダーアクアとして」
映司に貰ったパンツを広げて湊は、俺に嬉しそうにそう断言した。いつの間にか俺達の通って来た虚無も消えている
今は後藤から預かった人造コアメダルを使う事以外に目的の2021年に行く術がない。が、過去が変わって映司の運命も変わったなら、その必要もなくなる
「なぁ、アンク。一緒にオーズ、探しに行かない?今頃きっとおじいちゃんだろうけど」
「あぁ、俺も映司に用があるんでな」
「その必要はないよ、湊くん、アンクくん!」
俺達の目の前に現れたのは白髭目立つ鴻上だった
「あ、俺にドライバーをくれた…」
「これで君も仮面ライダーだ、おめでとう!そして、アンクくん。君が40年前突然姿を現した理由は、こういう事だったんだね。通りで謎だったわけだよ」
「そんな事はどうでもいいが、映司を探す必要がないってのはどういう事だ?」
鴻上は俺達を見ながら静かに答えた
「彼の運命は、まだ変わっていないからだよ」
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