小説 オーズ Parallel Ankh 8
復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい
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「会長…どうしたんすか、急に」
「久しぶりだね。早速だが君に仕事を与えよう」
電話口の向こうから張り詰めた空気が伝わる
「俺には医者という仕事があるの、会長も知ってんでしょ〜?…けど多分、アンタからの電話だ。何か相当やべぇ事が起きてんだな、日本で」
「その通り!今古代王とグリードが復活して暴れている!そこでだ、再びバースとして戦って貰いたい」
今ここで真実を話せば君は私に協力するはずもない。心苦しいが今は隠し通す事にするよ
「想像以上にやべぇな…ああ、ったく…分かった。おい、藤田。しばらくここ任せていいか?」
相当焦っている様子の伊達くんは医者仲間の藤田医師に自分の仕事を預けたようだった
「今からなるべく早くそっちに向かう。会長はどうにか被害を最小限に抑えといてくれ。そんじゃ」
伊達くんの現在地は海外。着くのは数十時間後だろう
「やはり君にも協力してもらう必要があるか…」
次に後藤くんに電話を掛けようとすると、奇跡的に電話が掛かってきた
「後藤くん!久しぶりだね!私も今丁度…」
「会長、何でグリードが復活してるんですか!」
「理由は分からないが君に言える事は1つ。バースとしてもう一度…」
世界を守るためだ、君の返答は1つしかないだろう
「今はそんな事話してる場合じゃ…それに俺には、もう…っ、信吾さん!…すいません、一旦切ります!」
後藤くんは電話を切った。まさか断られるとは…やはり警視庁の刑事は忙しいねぇ。今や後藤くんと泉刑事のペアはエリートコンビと噂になっているからね
「でもきっと君は戻ってくる。そのために私はこのコアメダルを使って新しいコアメダルを完成させねば」
伊達くんの要求を身勝手ながら後藤くん達に任せる事にした私は、黒いコアメダルとヒビ割れたタココアを使って新たな人造コアメダルを作る実験を始めた
実験開始からどのくらい経ったか、外は地下27階でも分かるほど騒がしくなっていた。そろそろ伊達くんの到着予定時刻。迎えに行かねば
私はバースドライバーを持って、空港へと向かうため外に出た。そこには恐ろしいほどまでに壊れた街並みがあった
私が王やグリードを蘇らせた事でこのような結果を招いた。私の欲望のためだ、後悔はない。しかし責任は取らねば
私は空港へと急いだ。日本がこの状況だ、伊達くんの乗った飛行機が予定通り着陸しない可能性も考えられる。しかし空港には既に伊達くんの姿があった
「伊達くん!」
「話は後だ、早く俺を連れてけ」
伊達くんを車に乗せた私は彼にバースドライバーを渡し、夢見町へと向かった
「ったく、やべぇな…会長、後藤ちゃんとか火野にも連絡取ったんだろ?」
「後藤くんはいま泉刑事とグリード達を止めている頃だろう。火野くんにはまだ連絡していない。そもそもコアメダルが無い今、彼に変身する力はないからね」
私が作ったコアメダルはあるが、他に火野くんが使えるコアメダルは全て王側にある。せめてタトバコンボに変身できる状況でないと、彼に連絡は出来ない
「だったら尚更急がねぇとな。ったく、アンタやアイツらとはこういう時じゃねぇと会わねぇな」
「全くだよ…」
それから数分後、車から王の姿が見えた
「古代王ってあれか!会長、ここでいい!」
「待ちたまえ、伊達くん。呉々も無理しない様に。まずいと感じたらすぐに引きたまえ」
「なーに心配しちゃってんの。俺は医者だ、任せろ」
そうして伊達くんは車を飛び出し、そのままバースに変身して王へ立ち向かって行った
「私はコアメダルの精製を急ごう…あのメダルとは別に、タトバコンボの3枚も錬成出来ればいいが…」
始まりの3枚を作った際のデータを元に通常のタカ・トラ・バッタコアを錬成できる可能性を僅かに考えた私は再び財団へと戻った
それから1週間、伊達くんがグリード達と戦う間にコアメダルの実験をし、戻って来次第バースドライバーのメンテナンスをする日々が続いた
伊達くんは戦場で一度後藤くんと泉刑事に会ったらしいが、後藤くんにも守るべき家族が出来たようだと私に教えてくれた。私の誘いを断ったのも納得だね
この1週間で私はDr.真木の残した黒いコアメダルを新しく有色の人造コアメダルへと作り変えた
サソリ・カニ・エビの3枚の人造コアメダルを箱に仕舞い、ボロボロのタココアと始まりの3枚のデータからタカ・トラ・バッタコアの錬成を始める
「この人造コアメダルは後藤くんが戻って来たら使って貰おう。ただ現状バースがコアメダルを使う手段はない、か…であれば…」
私はバースドライバーをベースにコアメダルの装填スロットを付けたドライバー、バースドライバーXの作成を決意した
バースドライバーは元々Dr.真木の作品。私は天才である彼を超えるため、手元のバースドライバーの改造を始めた
ここ数日伊達くんのバースドライバーを調整していた事もあり、その設計に関してある程度の理解は深まってきている
このドライバーとタカ・トラ・バッタコアの錬成さえ出来れば火野くんや後藤くん、伊達くんとこちらの戦力も十分になるだろう
「そろそろ伊達くんも戻ってくる頃か…」
私は王の部屋を後にし、伊達くんの帰りを待っていると数十分後、酷く負傷した伊達くんが戻ってきた
「会長…やっぱ俺一人じゃどうにもなんねぇぞ…」
「やはり少しでも仲間は必要か…よし、それでは私指導の元でレジスタンスを結成しよう」
伊達くんが首を傾げる
「な、なんて?レジ、レストラン?」
「レジスタンスだよ。君の手当てが終わり次第、まずは里中くんに声を掛けよう。丁度もうすぐ彼女の誕生日だ」
里中くんは女性でありながら、生身でバースバスターの反動にも耐えられる程身体が鍛えられている
「里中ちゃんか…懐かしいな。けど仲間になったら確かに心強え…」
「君の治療は一旦医療班に任せよう。また明日にでも会おう。私にはやるべき事があるからね」
伊達くんを医療班に預け、再び王の部屋へ向かう
「すぐにでもバースドライバーXを完成させねば…」
自作した資料や図面を元にバースドライバーに改造を施し、数日後にバースドライバーXの完成に至った
そして私は里中くんの誕生日に彼女を呼び出したのだった
(バースX誕生序章&誕生秘話前半)
何て事だ…後藤くんが消えてしまった…!コアメダルのエネルギーが暴走するとは…想定外だった
私の作り方に問題があったのか、もしくはDr.真木の作り方に秘密が隠されていたのか分からない
しかし仮に前者の場合、火野くんの欲望のデータから作ったメダルもエネルギーを暴走させる可能性がある
火野くんが戻って来ても、渡すのは少し様子を見てからにしよう
「後藤ちゃん、どこ行っちまったんだ…これじゃ当分戦えるのは結局俺1人なのか…」
「会長、やっぱりあの時の戦いを知る比奈さん達にも協力して貰った方が…」
「うむ、泉兄妹と火野くん達にも声を掛けよう。だが今は後藤くんの件が最優先だ。二人とも手伝ってくれたまえ」
そうして後藤くんはその数時間後、バースドライバーXを使う決意を固め、財団へ戻って来たのだった
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