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小説 オーズ Anything Goes! 23
復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい
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ミハルSide
俺は新たな姿に変身すると、海中へとポセイドンを引き摺り込んだ。奴と同等の力を持った事で、暗い海中でも奴が何処にいるのかはっきりと感知出来るようになり、海中でも奴の動きに付いて行ける
それだけでなく俺はクジラアームを使い、水中で奴に高速のパンチを浴びせた
「お前のようなゴミ如きに負けるはずがない…!」
「俺はもう、お前になど負けない!」
『エニシングチャージ!』
海中でコアメダルをスキャンすると、俺は脚からジェット噴射を排出し、高速でポセイドンへと近付き、その勢いのまま奴の身体を砕くように貫いた
「そんな、馬鹿な…ぐわあああああああ!!!!!」
奴が海中で爆散すると同時に俺は海中から離れ、地上へと降りた
「ポセイドン。もう一度言う。俺の名前は湊ミハル!皆の明日を守る仮面ライダーだ!」
湊ミハル(サラミウオコンボ) Win
後藤Side
「メズールうううううううう!!!!!」
メズールが撃破されたことにより、ガメルは更に凶暴化したが、10年前と違うのは今の俺がバースXだという事だ
『エビレッグ!カニアーム!サソリキャノン!』
俺は負けじと全身に武装を展開すると、間髪入れずに再びダイヤルを回した
『ソカビ!コアバースト!!』
全身から湧き上がったエネルギーを一点に集中させ放つと、それは完全体のガメルの身体を容易く貫き、ガメルは大量のセルメダルを落として爆散した
『クレーンアーム』
「後藤ちゃん、わりい!ちょっとこれ借りるわ!」
「伊達さん!援護します!!」
「いや、大丈夫だ!ドクターは俺にやらせてくれ!」
そう言って伊達さんはセルメダルを全て持って行った。相手は真木博士。大丈夫だろうか…
「バースX、後藤慎太郎。翔太郎からお届け物だよ」
「っ、これは…!」
伊達Side
「伊達くん、随分と大口を叩いてますが、君に勝機はありません。後藤くんが勝って得たセルメダルを使っているようじゃ、話になりませんよ」
確かに恐竜グリード相手にバースが叶うわけがない。そんな事は最初から分かっていた。だが火野やアンコはそれぞれが戦うべき相手がいる
そして何より今俺の目の前にいるのはドクターだ。この場の誰よりも俺がドクターの事を知ってる自信がある。何せ一時期研究室に住み込んでたんだからな
「伊達くんに良き終末が訪れんことを」
そう言ってドクターが攻撃を仕掛ける直前だった。知世子さんがドクターに向かって叫んだ
「真木さん!!私、今でもずっと待ってますから!」
「っ…姉さん…」
ドクターの様子が明らかに変わった一瞬の隙を、俺は逃さなかった
『ドリルアーム
ショベルアーム・ブレストキャノン
キャタピラレッグ・カッターウイング』
俺は全身を武装し、更にゴリラちゃん達カンドロイドの力を使って何枚ものセルメダルをベルトに装填した
「っしゃ、充填完了!知世子さん、離れろ!ブレストキャノン、シュート!!!」
『セルバースト!!』
惜しそうな表情の知世子さんがその場から退くと、俺はドクター目掛けて攻撃を放った。しかしやはり効いてそうな感じはしない。そんな時、後藤ちゃんが叫んだ
「伊達さん!やっぱり援護します!」
『ティラトプ!コアバースト!!』
そうしていつの間にか姿を変えていた後藤ちゃんの放った攻撃は俺の攻撃と合わさり、何倍にも大きくなって遂にはドクターを貫いたのだった
「っ、伊達くん…次会えた時、また話しましょう」
「ああ、約束だぞ。俺と後藤ちゃん、そして…」
「私もその時はご一緒しますね、真木さん」
「ええ、楽しみに、して、います…」
最期の言葉を告げたドクターは大量のセルメダルを撒き散らして爆散した
後藤慎太郎(バースX) Win
伊達明(バース) Win
比奈Side
私とお兄ちゃんの二人がかりでアンクの偽物と戦っているものの、炎と炎ではやはり決着が付かないのか、私達は苦戦を強いられていた
「いい加減、僕のメダルを返してよ!」
「これはあなたのものじゃない!」
「比奈の言う通り、これはあのアンクのものだ!」
激しい攻防が続く中、お兄ちゃんが私に提案をした
「比奈、奴の羽を狙って同時攻撃だ。あの羽が片方でも無くなれば奴は飛べないか、バランスを崩す。前に映司くんが戦っていた時もそうだっただろ?だから、そうなった時に二人で決める。いいな?」
「分かった、それなら…!」
私達は一歩アンクの偽物から引いて、ドライバーに装填されたコアメダルをそれぞれタジャスピナーとタジャニティスピナーにセットした
『ギガスキャン!』
『エタニティスキャン!』
私達はコアメダルをスキャンし、お互い片方ずつ羽を狙って攻撃をした。それらはアンクの偽物に直撃し大ダメージを与え、アンクの偽物は怯んだ
「こんなもので、僕がやられるわけ…!」
「今だ!行くぞ、比奈!」
「うん!!」
『『エニシングチャージ!!』』
再びコアメダルをスキャンすると私達は羽を使って空高く舞い上がり、お互い脚の鋭い爪を展開してアンクの偽物目掛けてキックを放った
「僕が…僕が…!ぐわああああああああ!!!!!」
その攻撃はアンクの偽物を貫き、爆散して大量のセルメダルを散らせた
「やったね、お兄ちゃん」
「ああ、後はアンク。そして映司くんだ」
泉信吾(タジャドルコンボエタニティ)
& 泉比奈(タジャドルコンボ) Win
アンクSide
信吾と比奈の奴、うまく俺の力を使いこなせたようだな。後は俺達がこいつらを始末すれば、この戦いは終わる…!
「私達が手を下すまでもなく敵は減り続け、戦いに勝った奴らも疲弊している。アンク、お前は昔からこういう戦況が1番好きだろう?共に奴らを出し抜こうではないか」
「そういうのは間に合っていると言ったはずだ。余程な単細胞らしいな、お前は…!何にせよ、俺はお前と手を組む気はない。俺はお前に3つの因縁を持っているからだ」
「ほう?そんなにも因縁があったか?」
白々しい態度に心底腹が立つ。俺は1つずつ口に出す度に、メダジャリバーにセルメダルを装填した
「1つ、かつて鳥の王として空を支配していた俺の背中に立ち、俺からあの景色を奪ったこと。2つ、800年前に手を組んだ時、最後に俺を裏切ったこと。そして3つ、俺から映司を奪ったこと!」
そして全てを告げた後、そのままメダジャリバーをスキャンした
『トリプル!スキャニングチャージ!』
俺は奴に素早く攻撃を与えたが、全く動じていなかった。やはりこいつにセルメダルでの攻撃は通じない、コアメダルの力でこいつを倒す!
「アンク、残念だよ。グリードの中でお前が最も私に忠実だったのに、ここまでの反逆をするとはな!」
古代王が2本の剣で斬りかかってきた刹那、俺は呟く
「勝手に嘆いてろ」
その瞬間、俺の身体は2つに分裂した
「何だと!?ガタキリバでもないのに…アンク、貴様何をした!!」
「悪いがこのドライバーは俺と映司に限り、思い描いた欲望をある程度形に出来る。分身など容易いこと」
俺は分身を増やしながら、ラトラーターのように高速で奴の周りを移動した。そしてサゴーゾのように重たい一発をその全てで叩き込む。その瞬間にトラクローからはシャウタのウナギムチ同様の電流が流れ込み、奴は大きく怯んだ
「これで、終わりだ…!」
『エニシングチャージ!』
俺はコアメダルをスキャンするとタジャドルの飛翔高度と同じくらい高く飛び上がり、奴目掛けてタトバキックを打ち込み、プトティラと同等の力を引き出し、遂には奴を貫いた
「アンク…覚えていろ…私はまた必ず、貴様を…ぐわああああああああああああ!!!!!」
そして奴はセルメダルを撒き散らすように爆散した
「お前みたいなうるさいのは、今の時代の鴻上だけで充分だ。後はお前だけだぞ、映司…!」
アンク(タトバコンボ) Win
映司Side
「何が古代の王、他の奴らも全く使い物にならん!やはり私が究極の王となるしかないな!!」
「そうやって父さんはこれまでも要らない物は全て見捨ててきた。兄さん達や、あの国で他に人質になった人達も、全て!」
俺は父さんと激しい戦いを続けながら叫んだ
「どうして父さんは自分が欲しいと思う者以外に手を伸ばそうとしないんだ!政治家なら、もっとたくさんの人の声に耳を傾け、たくさんの人と手を繋ごうとすべきだ!」
「映司、教えてやろう。政治家というものはそんなに甘くない。必ず私を疎ましく思う奴が出てくる。そんな奴らをも従え、この国の想いを1つにするために、私が究極の王となるしかないのだ!」
父さんは強大な力で俺を圧倒し始めた。父さんの覚悟が攻撃の一発一発から感じられる。しかし俺は父さんを止めなければならない
人間が全員同じ想いを抱くことは難しい、というよりそんな事はまずないだろう。それを無理やりにでも行う為に支配する。そんなやり方は絶対に間違っている
「父さん、俺は貴方との縁を切った。俺から父さんの手を離したんだ。でも血の繋がりだけは絶対に途切れる事はない。だから俺が必ず貴方の野望を止める!」
「映司、無駄話もここまでだ。私を止めたければ、殺す気で来い!その代わり、私もそのつもりで行く!」
刹那、父さんの動きが明らかに速くなり、そして攻撃一発の重みが増した。父さんの力の根源、恐竜メダルのコアシステムは、言わば俺達のドライバーと同等以上の力を引き出すもの。俺一人では太刀打ちできない
「喰らえ、映司!これが、私の力だ!!」
そう言って父さんが攻撃を仕掛け、俺が半ば死を覚悟した次の瞬間
「もう、絶対に死なせてたまるか!!!」
メダジャリバーとメダガブリューを持ったアンクが、父さんの攻撃を止めた
「アンク!!」
「それなら先にお前を殺してやろう!」
「やれるもんならやってみろ!」
アンクの挑発に父さんの動きはより一層速さを増した
「映司、集中しろ。そうすれば奴を目で追える」
「っ、そこだ…!」
父さんが再び攻撃を仕掛けるタイミングを見極め、俺がトラクローで父さんに攻撃を与えると、その動きは止まった
「っ、映司。何だそのぬるい攻撃は…殺す気で来いと言ったはずだ!!」
俺は父さんの圧倒的な覇気に気押された。この人は本気だ。だが俺には人を殺せない…ましてや縁を切ったとはいえ、実の父親を手に掛けるなど…
俺の一瞬の隙を父さんは攻撃してきたが、反射的にアンクが俺を守り、アンクにダメージを負わせてしまった
「映司…ぼーっとすんな!お前、また死にてぇのか!奴は本気だ!俺達も奴を殺す気でいかねぇと死ぬぞ!奴の身体は頑丈だ。俺達の最大出力でも気は失わせられるだろうが、死ぬことはねぇ。それに、感じるだろ…あいつらの想いを」
あいつらの、想い?俺は紅色のオーズドライバーに触れた
『映司、親父さんに勝てよ!』
『僕達に最強のオーズの力、見せてくれ!』
『映司さん、俺は信じてるっスよ!』
『アンク、お前達が俺達の最後の希望だ!』
『二人とも、絶対に負けんな!』
『アンクさん、命を燃やすんだ!』
『映司さん、自分の運命に勝って下さい!』
『アンク、お前なら絶対に大丈夫だ!』
『オーズ、貴方の戦う理由を俺に見せてくれ!』
『オー…おい、トサカ!負けたら承知しねェぞ!』
『オーズ、家族を自分の手で救ってあげて下さい!』
『頑張れ!仮面ライダー!!』
『アンク、決着を付けてこい。二人の運命に!』
『アンク、ここが最後の踏ん張り時だぞ!』
ドライバー越しに皆の想いが伝わってくる。いや、それだけじゃない。気付いたら隣に居たのはアンクだけでは無かった
「大丈夫だよ、映司くん、アンク。私、もう二人の手を離さないから!…お兄ちゃん、後藤さん。使わせて貰うね!」
いつの間にか隣に居た比奈ちゃんは、タジャスピナーの中にエタニティメダルとプトティラのコアメダルをセットした
「私が女一人の攻撃に負けるわけが無いだろ!!そもそもそんな攻撃を喰らう前に、お前から始末してやる!!」
父さんは比奈ちゃん1人に狙いを定めた。俺やアンクであれば目で追えるが、比奈ちゃんにそれはあまりに酷だ。しかし、それは杞憂だった
「映司くんのお父さん。ごめんなさい。私、本当は嫌いなんだけど、力にはちょっと自信があるんです!!ふーん…にゅ〜〜〜!!!!!」
『ギガスキャン!!!』
比奈ちゃんがコアメダルをスキャンすると同時に、赤紫色の光を纏った攻撃を父さん目掛けて叩き込んだのだ
「こんな女が、ここまでの怪力とは…」
「知世子さんに教えて貰ったんです。私の馬鹿力も、役に立つ時があるって!」
「そうよ!映司くん!アンクちゃん!今よ!比奈ちゃんが作った隙を逃さず、決めちゃって!!!」
知世子さんの声に合わせて俺とアンクは頷き、コアメダルをスキャンした
『『エニシングチャージ!!』』
俺達が高く飛び上がると、2人同時に大きく叫んだ
「はあああぁぁぁ…セイヤー!!!!!!」
「そんな攻撃で私が倒せるものか!!!」
アンクが言っていた通り、父さんの身体は余りにも頑丈で中々貫け無かった
「アンク!このままもう一回だ!!」
「あぁ、仕方ねぇ!!」
『『エニシングチャージ!!』』
二度続けてのコアメダルスキャンに、身体全体が燃えるかのように発熱している。そうして全身から漲るパワーを俺達は片脚に集中させた。そして俺達は父さんを貫いた
父さんはその場に倒れ、グリード態から人間態へと戻った。俺とアンクは変身を解除し、父さんの元へと駆け寄った
「貴方の負けだ、父さん…」
「映司…私が知らない間に、大きくなったな……」
そう言いながら父さんは俺の髪を無造作に撫でた
「今更辞めてよ…でも父さんは血の繋がった家族。だから、貴方の息子としてのお願いだ。ちゃんと罪を償って欲しい。そして今度は支配するのではなく、たくさんの人と手を繋げる政治家になって、日本を良くして欲しい。じゃあ兄さんや母さん達に、宜しく言っておいて」
「ああ、約束しよう…それと、アンク…くん…これからも、映司の事を、頼むよ…」
「言われなくても、そのつもりだ」
その言葉を聞いた直後、父さんは満足気に笑みを浮かべると、気を失いそのまま目を閉じた。そしてこの決着をもって、俺達の戦いが幕を閉じたのだった
火野映司(タトバコンボ) Win
人々は皆、今日も同じように1日を過ごす。人目につかない場所を選んだため、児玉埠頭沖で起きたこの戦いは、決して語られる事はない
しかしこの戦いを見ていたのは当事者の火野映司やアンク、その他の仮面ライダー達だけでは無かった
「鎧が宇宙最高のお宝が失われる一大事だって言うから駆け付けて見れば、何て事ねぇじゃねぇか。態々、思いっきり手を伸ばしに来たってのによ」
「へぇ、赤色のお兄さん。そんなに心配だったんだ。でもあそこに居る平成ライダー達は皆強い。そうだよな?ゲイツ」
「ああ。流石、照井さん。そして、俺の主治医だ。湊ミハルも元気そうじゃねぇか。帰るぞ、ソウゴ。俺たちの時代に」
彼らの物陰からの視線に、当事者達が気付く事はなかった
アンクSide
俺と映司が変身を解除したのと同じタイミングで、俺たちが力を渡していた奴らも全員変身が解除され、錬成されたコアメダルとドライバーは消失した
虚無が開いていた場所には、もうその片鱗すら残っていない。皆が記憶を引き継いだことも含めて、俺が元々居た世界とこの世界は完全に融合されたのだと改めて実感した
『別世界の映司くんがこっちの映司くんと同じ運命を辿るのはアンクも嫌だろ?だからそうなる前にアンクなら止められるんじゃないかなって』
思えば信吾のその一言から始まった旅だった。正直俺一人ではその運命を変えられなかった。色んな奴に助けられた。途中で絶望もした。そして何とか今の戦いで、映司のその運命を変えることができた気がする
だけどこれからだって油断出来ない。映司はもう大丈夫だと思っていても、無意識にあいつの本質が垣間見える可能性はこれからも充分にある
だからこそ俺や後藤、伊達、そしてその他の奴らに俺が力を与えて、映司が抱えるものを一緒に負担し、守ってやる必要がある
本当に手が焼ける奴だが、あいつが自分の命を投げ出さないようにする為だと思えば、全く苦ではない
「アンク、今回俺達は皆にたくさん助けられた。だから、一人一人にお礼を言って回ろう」
こうして俺と映司は皆の元へと向かったのだった
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