小説 オーズ Anything Goes! 16
復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい
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2021年8月5日 聖都大学附属病院
長い、夢を見ていた気がする。俺はそんな夢から目を覚ました。どうやらここは病院らしい。そして俺が目を覚ました途端、周りで多くの声が俺の名前を呼んだ
「アンク!!」「アンコ!」「アンクちゃん!」
病室の中に居たのは、比奈の奴、信吾、伊達、後藤、知世子の奴、里中、湊。そして俺の隣のベッドでは映司が眠っている
そうだ、俺は映司を救えなくて…でもその後からの記憶が全くない。唯一覚えているのは、信吾が俺に何か言葉を掛けていたことくらいだ
俺が身体を起こすと、その途端比奈の奴が強い力で俺を抱きしめてきた
「アンク、良かった…本当に良かった…映司くんはまだ目が覚めないけど、でもまずはアンクが無事で本当に良かった…」
「映司は、大丈夫なのか」
「心配すんな、アンコ。鏡ちゃん達のお陰で火野の命に別状はねぇ。ったく、2人とも要らん世話焼かせやがって」
伊達の言葉に俺は安堵した。良かった。あんな血塗れの状態だったのに、命があって。元の世界とは変わって、映司は死を免れた
だが、それは今回偶々運が良かっただけだ。同じ状況になれば映司はまた自分の身を投げ出してでも俺を守ろうとするだろう
そう、やっぱり俺が映司を救いたいとこの世界に渡ってきたから、俺の望みが映司を死の淵へと追いやった
そうであるなら、俺が出すべき答えは一つだ
「俺は…」
「アンク。もしかして、帰ろうとしてる?」
俺の出した答えを伝えるよりも先に疑問をぶつけてきたのは湊だった
「俺のコアも力を取り戻した。まあ、エタニティメダルとまではいかなかったがな。だがこのくらいのエネルギーがあれば帰れるはずだ。だから俺は元の世界に帰る。この世界には多くの仮面ライダーがいる。お前もそうだ、湊。だから、映司はお前らに任せる」
「皆に話してないよね?元の世界で、オーズが、死んだってこと。別の世界でオーズが死ぬのを防ぐために、アンクがこの世界にやってきたこと」
湊のその言葉で病室は一気に静けさに包まれた
「後藤くん、今の証言、ウィザードの変身者が言っていた通りだ。そして死ぬかもしれないとある人っていうのが…」
「火野…」
「そうだ、元の世界で映司はガキ1人を守るために自分の身を投げ出した。そして映司は死に際、最後の願いによって俺を復活させた。だから俺は映司に貰った命で、別の世界の映司を救いたいと考えた。だから俺はこのバースドライバーXを使って…」
ん?バースドライバーXがない。そうだ、桐生戦兎。俺は奴にドライバーとコアメダルを預けていたんだ。今すぐに取り返しに行かなければ
「…とにかく、俺は今から桐生戦兎からドライバーを返して貰いに行く」
俺がベッドから立ちあがろうとする所を里中が止めに入った
「そんな怪我で、無茶です。伊達さん、お二人の入院期間は?」
「アンコはどんだけ短くても1週間は安静だ。それに湊ちゃん、どっちにしても確か今その桐生戦兎?って奴って…」
「はい、ビルドは今オーズのオーズドライバー、アンクの持っていたバースドライバーX、5枚のコアメダル、そして暴走の要因になったグリードライバー。これらを持ってヨーロッパの方に行っています」
なんだと?ヨーロッパってまさか…鴻上の所に行ったんじゃないだろうな?…やっぱり初めて会った奴に不用意にメダルとドライバーを渡したのは失敗だったか
3日前、聖都大学附属病院、ミハルSide
オーズやアンクが病院に運ばれてしばらくした後、俺とビルドは病院に着いた
どうやらオーズは手術室の方に運ばれているようで、俺達はアンクの病室の方へと運ばれた。そこでは先程のアンクに瓜二つな男性がアンクの手を握っていた
「あの…」
「ああ、君達はさっきの。戦いは止められた?」
「はい、あの…2人は大丈夫なんでしょうか?」
俺の言葉に男性は頷く。さらにビルドが俺を安心させるために一言付け加えた
「ここは俺の知り合いが働いている病院だ。医術の腕は間違いない。だから絶対に大丈夫だ。…ええと、信吾さん、でしたっけ?」
「俺は泉信吾。さっき君達と一緒に戦っていた仮面ライダーバース、後藤くんと同じ警視庁の刑事だ」
なるほど、そういう事だったのか。俺は合わせて一番気になっていたことを男性に尋ねた
「アンクとは、どういう関係なんですか?」
「話せば長くなるんだけど、アンクは10年ほど前、俺が絶体絶命の重症を負った時に俺の体に取り憑いたグリードなんだ。そのお陰で俺は一命を取り留めたんだ」
約10年前、つまり俺がオーズとアンクと出逢った時代。恐らくそれよりも少し前の出来事なんだろう。そんな事があったなんて全く知らなかった
「そういえばアンクが付けていたこのベルトのこと、君達は何か知ってるかな。10年前にこんなものは見たことなかったんだけど」
男性が手に持っていたのはグリードライバーだった。俺は一瞬躊躇ったものの、正直に話すことにした
「そのベルトは、未来のベルトなんです。実は俺、30年後の未来から時を超えてやってきました。それはその時、未来の鴻上さんという方にアンクのためにと渡されたもので…でも、結果暴走させてしまった…俺のせいでアンクが…」
「アンクは別世界から来たと言っていたが、アクアは未来から…つまりこの世界は今、時空がかなり捩れているはず…やっぱり異変がそこら中で起きていてもおかしくないな…」
「確かにこのベルトでアンクは暴走してしまった。でも君が全責任を感じる必要は全くない。後藤くんから聞く限り、鴻上さんはそういうお方らしいし」
男性にそう言われたが、俺は自分を責めることを辞められなかった
俺はオーズを救って貰うためにアンクを2021年に送り出した。だけど俺が自分のやりたい事を優先した結果、オーズを救うどころか、アンクまで暴走させてしまった
仮面ライダーには責任が伴う。俺ももう守られるだけの一般人じゃない。立派なライダーなんだ。もう、誰一人、傷つかせたくない
俺が一人でそう考えていると、ビルドが思い出したように口を開いた
「そういえば、これもアンクが世界を超えるのに使ったって言ってたな」
「バースドライバーX!なぜそれをあなたが!?」
俺はビルドから様々な事を聞いた。アンクがこの世界に降り立った事で、世界で異変が起きていること
アンクが元の世界に帰る事で異変は消えると思われているが、アンクが拒否しているため元のアンクの世界とこの世界を融合させようとしていること
そしてその方法を模索するために、アンクからドライバーとコアメダルを預かっていたことを
「世界の融合、そんな事が本当にできるのか?」
男性の問い掛けにビルドは顔を曇らせる
「出来るかどうかは分からないが、そうする他にない。俺は過去、2つの世界を融合して新たな世界を創ったことがある。その時には時空の裂け目にエボルトという地球外生命体を放り込んだことで、新世界が誕生したんだが…」
「なんか規模感が凄くて、よく分からないけど、要は今回も2つの世界を融合させる時に時空の裂け目が発生する可能性があって、その時に何かをする必要があるってこと?」
「そういうことだ。2つの世界を繋げるには、やはりどちらの世界にも関与している何かが必要か…アクア、アンクが元の世界に居た時に持ってきたものって他にあるか?」
確かアンクはバースドライバーXと自身のコアメダル以外は持ってきていないはずだ。俺は首を横に振った
「そうか…じゃあ現状使えそうなものはここにある2つのドライバー、そして…いや、このコアメダルはアンクの力そのものに直結するはず。そんな安易に使えるようなものではないな」
そんな時、男性が口を挟んだ
「すまない、関係があるかは分からないんだが、確か映司くんが以前、未来のコアメダルを使って財団Xと戦ったと後藤くんが…」
「それだ!スーパータトバのコアメダル!あれは元々始まりの3枚という、アンクが元々居た世界のコアメダルをベースに鴻上さんが作ったコアメダルなんだ!それがあれば!」
ビルドは少し一人で考えた後、ゆっくりと頷いた
「よし、じゃあ俺は今からその鴻上って人物に会いに行ってくる。別世界の本人とは言え、ドライバーやコアメダルの作成を手掛けているのなら、錬金術の話も聞けるだろうし、何より世界の融合のためのヒントが見出せるかもしれない」
「鴻上さん、今ヨーロッパにいるんだよね」
何であの人はこんな大事な時に限って居ないんだろうか。アンクがあれだけ嫌悪感を抱いていたのも、正直今ならわかる気がする
「それならしばらく日本を離れることになるな…万丈にはまた連絡しとくか。それはさておき、信吾さん、そのベルトも預かっていいか?アンクの近くにあると不用意な暴走をする可能性があるし」
確かにビルドの言う通りだ。アンクが暴走する可能性はまだ0になったわけではない。少しでもその可能性を下げるためには必要なことだ
俺がビルドに同調するよう頷くと、男性も賛同し、グリードライバーをビルドへと手渡した
「あとはさっき話していたコアメダルか…それを制御できるオーズのドライバーも出来ることなら預かっていきたい。どちらにせよ、今重症のオーズを変身させるわけには行かないからな」
そんな話をしていると、丁度病室の扉がノックされた。手術を終えたオーズを3人の医師が運んできた
「伊達さん!」
「エグゼイド!彼の容態は!?」
エグゼイドと呼ばれた男の名札を見ると、どうやら小児科医の宝生先生という方だった
「映司さんの命に別状はありません。飛彩さんや伊達さん、臨時で入って下さった田村先生。本当に流石としかいいようがありません」
その言葉に安心してオーズの方へと目を向ける。顔が傷だらけだ…でも、命があって本当に良かった
「鏡ちゃん、火野を救ってくれてありがとうな」
「当然です。小児科医、俺は次の手術がある。あとは任せた」
そういって鏡飛彩と呼ばれる天才外科医は病室を後にした。そうして残った二人の医師に、ビルドは今までの話を全て話し、合意を得た
「火野が持っていたオーズドライバーだ。それとさっき話していたコアメダルだが、恐らく火野はそれも会長に預けている。会長の元に行けば自ずと巡り会えるはずだ。でも会長、欲望にうるさいから、気をつけろよ」
「わかった。エグゼイド、もし二人が目を覚ましたら俺に連絡をくれ。なるべく早く帰国できるようにする」
宝生医師が頷くと同時にビルドの携帯が病室に鳴り響いた
『ビルドか?俺だ。っても分からねぇか。左翔太郎だ。フィリップから伝言を預かっている。万丈龍我達には僕から全て伝えておいた、だそうだ。それより、映司達は無事なのか?』
「ああ、オーズもアンクも無事だ。それと、俺は暫く日本を離れる。万丈にもそう伝えてくれると助かる」
『んなら良かったぜ。…ん?何だ?デンライナーであっちに向かうってか?あー、もしもし。すまねぇ。今こっちで多くのライダーが集まってるんだが、そっち側のライダーも含めて全員と話したいことがある。悪いが日本を出る前に少しだけ時間をくれ、だそうだ』
ダブルの言葉に俺も2人の医師も頷いた
「分かった。オーズとアンクに関しては信吾さん、あなたに任せる」
「うん、そろそろ妹も来るようだし、もしどちらかが目を覚ましたら、後藤くんの方に連絡を入れるようにするよ」
『じゃあ万丈龍我とフィリップ、あとはできればゴーストも拾ってからそっちに向かう。病院から少し離れたところで落ち合おう』
そういってダブルからの電話は途切れた。そうして病室を後にした俺達は数十分後、病院の近くにやってきたデンライナーに乗り込んだのだった
デンライナー車内、戦兎Side
デンライナー。時の列車、か。明らかに物理法則は超越しているこの乗り物に溢れる興味は止まらなかったが、車内の扉が開いた途端に聞き馴染みのある声が俺の耳を刺激し、現実に引き戻された
「おーい!戦兎!!こっちだ!こっち!!マスターのコーヒーなんか比べ物にならねぇほどうめぇぞ!!」
最悪だ…それになんだ、この人数の多さは。ここに居る全員、ライダーの関係者だというのか?
でもよく見ると中にはダブルの二人は勿論、バースに変身していた後藤刑事や、さっき話していたように大天空寺の仮面ライダーゴーストこと、天空寺タケルもいる
「よし、これで全員集まったようだな」
一人の男の言葉で車内は一気に静けさに包まれた
「幸太郎、これだけの人数を集めて一体何を?」
「今ここに居る全員、オーズ、そしてアンク。そのどちらか、または両者に関わりがある。確かに俺達はさっきまで争っていた。だが彼ら2人の声のお陰で、同じ想いを秘めている事に気付くことができた」
大学生ほどの見た目をした2人がその言葉に頷く
「だからこれからは力を合わせよう。そこでだ、ビルド。君にも協力してもらいたい」
「勿論だ。だが俺は今から日本を離れるつもりだ。だから戦いの面でのサポートは難しくなる」
「はあ!?おい、戦兎!聞いてねぇぞ!!」
煩い万丈を無視するかのように、男は言葉を続ける
「分かった。じゃあ日本を離れる前に、今ここで全員に共有したい情報はあるか?」
「気になることが1つだけある。俺が戦っていた謎の敵が言っていたんだ。アンクの暴走は想定外。計画を実行するのは今じゃないって」
俺の言葉を聞いた途端に、スーツを着た刑事が立ち上がった
「計画…まさか、剛の撮ったこの写真と関係が?」
「泊、奴らは何かを待っているように見えると、そう言ったよな?」
大きな指輪を付けた男の言葉にスーツの刑事は頷く。その後暫くデンライナーの中は静寂に包まれたが、先程まで仕切っていた男性の言葉によって破られた
「確実に関与はしていそうだけど、今は一旦置いておこう。ビルド、そういえば、どうして日本を離れようと?」
「アンクがこの世界に降り立ったことで、今そこら中で異変が起きているはずだ。これはアンクが元の世界に帰ることで解消されると思われる」
俺の言葉に今度は赤い服の刑事が立ち上がった
「やっぱりそうだったのか、それならばやはり!」
「おい、照井。一旦落ち着けって」
「照井竜、とにかく今は桐生戦兎の話を聞こう」
赤い服の刑事が再び席に座ると、俺は話を続けた
「だがアンクはこの世界から退くつもりはない。その理由はアンク個人の想い、信念に依るものだ。それを折るのは凄く難しい」
「でもそうなると、今度はこの世界の皆さんの命が脅かされることになる。アンクさんの都合だけで決めていい話の規模ではないよね」
「そうだ、だから俺はこの世界とアンクの居た元の世界を融合させようと思う」
「ちょっと待ってくれ。それって本当に解決になっているのか?最上が禁断の果実に手を出した時と同じようなことをしようとしているのなら、俺は反対だ」
俺の言葉に反論してきたのは、あの時俺とパラドを助けてくれた仮面ライダー鎧武、葛葉紘汰だった
「いや、エニグマの起動の時とは違うらしい。そうだよね?ビルド」
「エグゼイドの言う通り、今回は最上の事件の時とは少し違う。万丈、お前が時空の裂け目にエボルトを放り込んだ時と似たような手法を使う」
俺の言葉に次は万丈が立ち上がり、うるさい声で俺に尋ねた
「おい、戦兎!また俺を使うってのかよ?」
「誰がそんな事言ったんだ、筋肉馬鹿」
「誰が馬鹿だよ!つーか、筋肉関係ねぇだろ!!」
万丈への煽りも程々に、俺は話を再開した
「だがこれには大きなリスクが伴う。世界の融合を完了したタイミングで、怪人達の復活が活性化する可能性がある。だが完全に融合してしまえば、その数に限りは必ず出てくるはず」
「つまり世界を融合させた後に、大きな戦いが待ち受けてるってわけだな。そうなったら俺達の出番ってわけだ」
伊達医師の言葉に頷き、話を続ける
「ああ、そして日本を離れるのはヨーロッパにいる鴻上という男に会いに行くためだ。その人に会えば錬金術のことやアンクの持っているドライバーの研究、アンクの元の世界と繋がる方法が分かるだろうと、俺は踏んでいる」
「だったら、僕も行く」
一番初めに名乗りをあげたのは、予想もしていなかった大学生のうちの一人だった
「駿は錬金術のことを学んでいたんだ。きっとアンタの役に立つはずだ。だから俺からも頼む。駿を連れて行ってやってくれ」
恐らく彼があの時一緒に戦ってくれたフォーゼだろう。それにしてもこんな若い子が錬金術に精通しているとは…感嘆しているともう一人の大学生も名乗りをあげた
「俺も連れて行って欲しい。ドライバーの研究なら、きっと父さんも力になれるはず。俺も駿や父さんみたく、ライダーの力になりたい」
「確かにミツルくんとナオキくんが居れば、ドライバーに関する研究は進みそうだ。幸太郎、私達がデンライナーで彼らを連れて行くのはどうだろうか」
「おいおい、天丼。てめェはミツル達に甘過ぎなんだよ。だけどまァ、俺らが送った方が早ェのは間違いねェな」
「そうだな。じゃあ今ここに居る全員を幾つかのグループに分けよう。まずミツル、駿、そしてビルド。3人はナオキを迎えに行ってから、そのままヨーロッパまで俺達が送り届ける」
「待ってくれ。悪いが鎧武、俺と一緒に来てくれないか?世界を見守る側の意見も必要だと思うんだ」
「分かった。俺も同行する」
こうしてヨーロッパに行くメンバーが決まった
「次に情報を集めるグループだが、まず如月弦太朗。次にダブルのお二人、そして最後に警視庁の特別チームの皆さんにお任せしたい。そしてそれ以外のメンバーでオーズやアンクを守るグループを組んで欲しい」
「翔太郎、僕達はいつも通り風都をメインに情報を集めよう」
「ああ、弦太朗は天ノ川学園高校の生徒達から情報を集めるのか?」
「そのつもりッス!それと俺の仲間に情報通が1人居るんで、そいつにも頼ってみるッスね!!」
「後藤刑事はこっちじゃなくて、二人を守るグループの方に行ってあげて下さい。知っている人が多い方がきっと彼らも安心できるはずです」
「大門刑事…ありがとうございます。そっちは任せます。でも、何かあったらいつでも呼んでください」
「分かりました。ねえ、晴人くん。後藤刑事の入れ替わりでこっちに入ってもらう事ってできる?」
「凛子ちゃんの頼みなら引き受けるさ。それに、泊のサポートも俺がするって約束だからな」
「火野やアンコの身体の管理は俺達ドクターがしっかりやらねぇとな、宝生ちゃん」
「はい、その代わりと言ってはなんだけど、タケルくん。できれば二人の心のケアをお願いできないかな」
「はい、俺に出来ることがあるのなら、何だってやります。先生に貰ったこの命で、皆さんの役に立てるのなら」
着々と全員に役割が当てられて行く中、万丈が困った表情でこちらにやってきた
「なあ、戦兎。俺は何すればいいんだ?あのアンクって奴らを守ればいいのか?」
「いや、お前はいつも通りマーケットで物売っててくれ」
「何でだよ!でもあれだな。戦うなら由衣にはちゃんと話さねぇとな。また心配掛けちまう」
万丈が馬渕を気にするのも無理はない。万丈にとって馬渕は、今あいつが一番守りたい人だからだ
「よし、それじゃあ全員それぞれのグループの狙い通りに動いてくれ。俺たちは今からナオキを迎えに行こう。何かあった時のためになるべく早く帰国できるように善処する」
この言葉で解散となり、デンライナーから万丈達が降りると、俺達はナオキと呼ばれる人物に会いに行ったのだった
???「後もう少しだ。待っていろ、映司」
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