小説 オーズ Parallel Ankh 14
復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい
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飛行中、虚無へ入って行った青い奴が暴れているのが目に入った。降り立つか迷ったが、今の俺にコアメダルの力は使えねぇ。俺は青い奴を一旦スルーした
鴻上に言われた通り急いで空港に向かったが、空港で何があんのかは聞いてねぇ。重要な所を隠す辺り、世界は違っても奴は鴻上って事か
だがその意味はすぐに分かった。俺が空港に到着して数分後、俺の前から1人の男が歩いてきたからだ
「…アン、ク?」
「…映司」
早くもこっちの映司に逢えた俺は嬉しさを心の中に閉じ込め、いつも通りの顔付きで言葉を続ける
「状況は知っての通りだ。今青い奴が街で暴れてる。映司、お前今何枚コア持ってんだ」
「ちょっと、ちょっと、待って!アンク、何で戻ったの?だって、俺はまだ…」
映司が焦るのも無理はない。だが、別の世界から来たなんて言っても、お前は信じないだろうな
「どうでもいいんだよ、そんな事。とにかく急ぐぞ、お前がコアを持ってねぇなら俺に策がある」
「っ…分かった」
俺は映司に作戦を話し、急いで青い奴の居た方へと向かった
「アンク、比奈ちゃん達が危ない。頼む!」
映司の姿に擬態した俺は、屑に襲われている里中の奴と比奈の奴を助けに走った。屑に攻撃すると比奈の奴が俺を見て叫ぶ
「映司くん!」
不意に俺の目の前に青い奴が現れた。本当は今すぐにメダルを抜き取りたい所だが…仕方ない、これも作戦のうちだ
『気に食わねぇが、俺が奴の攻撃をわざと受けてやられたフリをしてやる。奴が隙を見せたらコアを奪う。その後は映司、お前の番だ』
作戦通り青い奴の攻撃を受け、俺は吹き飛ばされた。比奈の奴が心配しに近寄る。演技なんて性に合わんが、今はそんな事も言ってもられない
「この程度の不意打ちで終わりとは、面白くもない奴」
言わせておけば…後でただじゃ済まない。そんな中で伊達が現れ、青い奴と交戦を始める。途中で後藤も参戦した様だった
聞いた感じかなり劣勢だ。どうやら伊達のバースドライバーは破壊され、後藤も呆気なくやられた様だった
「ふっはっは…この時代のライダーというのは皆この程度か…つまらんな」
それはどうだかな…!俺は立ち上がり青い奴の中に腕を突っ込んだ。相当な量のコアメダルを感じる。そうか、つまりこいつが持ってるのも…
「やっと隙を見せてくれたなぁ?───あの時真木と一緒に消えたコアメダル、全部お前の中にある。まさか時間を飛び越えていたとはなぁ」
「うああぁ…!っ、俺のものだ!!」
「悪いな、こいつがないと始まらないんだよ…おい、映司!」
俺は映司にタカ・トラ・バッタの3枚を投げ渡した
「作戦成功だな、アンク!」
もう、二度と渡せねぇと思ってた。この感情が、嬉しいってやつなのか…悪くねぇ。気分がいい、さっき青い奴から奪ったコアメダル、全部使わせてやる
映司が青い奴と戦う中で、俺はクワガタやコンドル、ゴリラにチーターなど様々なコアメダルを投げ渡した
次はサイ・カマキリ・タコで行くか…そう思うも束の間、映司は再びタトバコンボに変身した。均衡状態が続く中、青い奴の様子が変わった
「邪魔をするなあぁぁぁ!!!」
叫びながら変身を解除した青い奴はどこかへ消えて行った。見た感じ、あの人間は意志が弱い。あのまま行けば奴はコアメダルの力に飲み込まれて終わりだな
「ちっ、逃げられたか…もう少しメダルが欲しかったが…」
「あっ…なぁ、アンク。もういいだろ、それ。自分がいるのって何か気持ち悪いよ」
人の気も知らねぇで、そんな事…別の世界では死んだはずの映司と、こうして会話出来てるこの状況の方が気持ち悪い
「っは…気持ち悪いのはこっちだ」
「なっ、お前が言うなよ」
俺は仕方なく映司の擬態から信吾の擬態に戻った。比奈の奴がすぐに俺に駆け寄る
「アンク!───アンク!戻ったの?本当に?アンク!良かった!本当良かった!!」
数時間前に向こうの比奈の奴と交わした会話が頭を過ぎる
『やっとアンクも戻ってきたのに、2人とも居なくなっちゃうなんて…私も一緒に行っちゃ駄目かな…?折角会えたのに…私、アンクと離れたくないよ…』
どうにもテンションが違い過ぎて気が狂う
「おい、よせ…」
変身を解除した映司は俺達に近寄り提案した
「せっかくだし知世子さんに顔見せに行かない?」
「はい、アンクちゃん。思いっきり食べて?こんなに早く会えるなんて思わなかったわ〜。本当良かった」
知世子の奴が俺に籠一杯のアイスを持ってきた。お前もあっちの知世子の奴と何も変わらねぇな。まぁ、タダならありがたく食ってやる
「アンク、映司くん頑張ってたんだよ?アンクのメダル元に戻そうって」
「あ、いや…俺もまだ始めたばっかだし…───本当にびっくりだよ。何でって理由聞いても、全然答えてくれないし…」
映司の奴…俺がこっちの世界の俺じゃない事、多分もう気付いてやがるな。そう感じた俺は誤魔化すようにアイスを食いながら映司に言ってやった
「どーでもいーんだよ、そんな事は」
「まぁいいじゃない。何があったかより、今何が起きてるかよ。またみんなで此処にこうして揃うなんて、ねぇ?」
知世子の奴が比奈の奴に言った途端、映司が叫んだ
「ああ!忘れてきた!俺の、パンツ…」
普通パンツより命だろ。こっちの映司も馬鹿な奴だ、何も変わらねぇ
「どうでもいいだろ、そんな事…」
「全然良くないだろ!明日のパンツなんだぞ!」
映司に棘を刺すように言葉を吐く
「っは、命狙われてるってのに、明日もパンツもあるか!」
「───っある!」
こいつ、ふざけやがって
「相変わらず馬鹿だなぁ、お前は!」
「相変わらずなのはお前の方だろ?またアイスばっかり…」
そう言って映司は俺のアイスを食いやがった
「あっ、お前…!」
「何だよ、食べ過ぎなんだよ!」
口論の中、俺達は比奈の奴に耳を引っ張られ叱られた。相変わらず、こいつの握力はどうなってんだ…
「喧嘩しないで!久しぶりに会えたのに…!」
「いいわぁ、皆相変わらずで」
暫く映司が考え込んでんなと思っていると、比奈の奴が映司に尋ねた
「映司くん、どうかした?」
「うん、あのライダーの事。彼、本当はあんな事したくないんじゃないかな、今はコアメダルを大量に抱えているから、暴走しているだけで」
映司の疑問は的を得ている。だが、かと言ってあの状況の人間を助けるのは、流石に映司でも難しいだろう
「あの時、何か言いたそうな感じがしたんだ…」
「っは…お前はまた面倒な事を…」
「俺も暴走した事があるから分かるんだって…もしそうなら、助けないと…」
「でも…名前も知らない未来の人、どうやって…?」
そうだ、そうやってお前は誰かを助けようと庇ったせいで2021年に…そんな事を思った刹那、すぐそこに大量の屑の気配を察知した
「まさか、おい…来るぞ!」
予想通り数秒後、屑がクスクシエの扉を破壊して中に侵入してきた
「比奈ちゃん知世子さん。お客さん連れて逃げて!」
映司の激しい戦闘で竜宮城フェアの飾り付けがどんどんと壊れていく。比奈の奴がそれを心配した
「お店が…」
「いいのいいの。映司くん、アンクちゃん。遠慮なく戦いなさい。負けたら承知しないわよ!」
こいつはやっぱり話がわかる。存分に暴れたかったところだからな!
「はい!」
「っは…」
比奈の奴と知世子の奴が客を逃し、俺達は屑を殴り倒して外に出た。するとそこには例のあの人間が待っていた
「今度はライダー同士、楽しく戦いたいなぁ?変身」
『サメ!クジラ!オオカミウオ!』
水が人間を覆い、あの青い奴が現れたのだった
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