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恋の行き先。〈21〉

敦史はソファに座り、私は彼の膝に座らされて、ぬいぐるみのように抱っこされていた。
相沢は額から少し血を流し、床に座っていた。
額に鞄が当たったのだ。

相沢はティッシュで血を拭き取りながら、絆創膏ない?と敦史に訊いた。

敦史「ない!」

私は朦朧としつつも鞄から絆創膏を出そうとした。
しかし意識は夢の中だ。
敦史は私の鞄から、ここにあるの?ん?と訊きながら、保険見積もり会社がくれた可愛い絵の入った絆創膏を取り出した。

敦史は、ほらっと、相沢に放り投げた。
相沢は洗面所に絆創膏を貼りに行った。

敦史「俺は仕事が終わり次第、新幹線で飛んで来た。相沢、お前にだいぶ時間を使ってしまった。
くれはのために使う貴重な時間をだ。
だから帰れ。
くれはには近寄るな。」

相沢「…くれはちゃんが気になるのはお前だけじゃない。」

敦史「いつから、ちゃん呼ばわりを!?」

相沢「フン、さあね。とにかくお前は不利。遠い。」

敦史「お前!」

相沢「今日はもう帰る。ちょっとでも邪魔したいけどね。でもま、そこまで酔ってたらほぼ寝てるのと同じだし。いくらでもチャンスはあるから。
じゃ!」

敦史は怒りながらブツブツ言っていた。
耳を澄ますと、連れて行くか、結婚するか、仕事辞めるかとつぶやいていた。
ダメダメ、極端だよ、と言いたいのだが、半分眠っていて言葉にならない。

敦史「頑張って新幹線で来たのに、今日のくれはは眠るだけ?」

それを聞いて私は、お風呂に入ってしゃんとする。と頑張って言った。

敦史に連れられ、湯船に浸かった。
敦史「これ飲んで。」
冷たいミネラルウォーターだ。
美味しかった。

私は酔っていたから、余計なことを言ってしまった。
私「指輪ね、相沢さんに外されちゃった。
すごく高い物だったんだね。
せっかく敦史が…あの、ああやってつけてくれたのに、外されてなんか大事なあの時の気持ちが無くなっちゃったみたいで。」

敦史「あいつ…勝手に。」

身体を洗おうか?大丈夫なら。と敦史は言った。
『身体洗うタイム』だ。
湯船から上がると敦史は身体を洗い出してくれた。

敦史「指輪はまた同じように、はめ直してあげる。元通りになるよ。」
そう言うと、彼は挿れて来た。
私は思わず声を上げた。

敦史「いい?」
私はうなずいた。

つづく


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