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恋の行き先。〈14〉

抱え上げて来て、そのまま布団の上に寝かされる。
私「年越しそば早かったかな?除夜の鐘を聴きながら食べるんでしょ?まだ時間が早いね」

敦史「食べておかないと、ダブルのお布団タイムが取れないよ。」

そう言って敦史は私の指輪にキスした。

敦史「ずっとつけておいて。虫除けだよ。」

私「虫?」

敦史「俺もこの指輪で既婚者か売約済みに見えるでしょ?」

聞いたことのある話しだけれど、そういう効果を見越していたのね。
私には虫なんて寄って来ないと思うけれど。

敦史「あ、静かにしてみて」

遠くから風に乗って鐘の音が聴こえて来た。


自分の模様替え癖からリサイクルショップに通うようになり、敦史と出会った。
あっという間にこんな事になり、鐘の音を聴きながら振り返っている。

敦史「くれははね、独特のムードがあるんだよ。
それが年下キラーって呼ばれる所以じゃない?」

鐘の音を聴きながらながら、敦史は手を絡め、軽く首にキスし、少しずつ身体に触れて行った。
それが知り合ったときの頃のようで、懐かしく思えた。

遠くの鐘の音が心に響いて心地良かった。


つづく

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