【VALIS二次創作】ヴィチャ道〜最強プリンセス編〜

⚠注意事項 ⚠
ヴィッテ主人公のVALIS二次創作SS。刃牙に超能力を少し足したみたいな感じのテイストで書いてます。VALISが強い。とにかく強い。
名も無きモブが数名出てきます。
解釈違いはブラウザバック推奨

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深脊界にたどり着いたからには、一度は目指す「深脊界最強」の称号。
ただひたすらに強さと美しさを追い求め研鑽に励む少女達は、ある時は瓦利斯飯店なる中華料理屋で店員として、そしてある時はパフォーマーとして熱烈な人気を博していた。


【深脊界_瓦利斯飯店】

「はーい!炒飯でーす!お待たせしました!」「杏仁豆腐出来たよー」「餃子3卓までお願いできるかしら〜」「お待たせなの!!!」「お会計ですね!お待ちください!」「ありがとうございました!また来てるれると嬉しいわ」

瓦利斯飯店は今日も今日とて大盛況。スタッフを兼ねるVALISのメンバーと客の声が入り乱れ、ライブの時間になればステージで圧巻のパフォーマンスを魅せる。
瓦利斯飯店は深脊界随一の目玉スポットである。

しかしながら、この深脊界、そして瓦利斯飯店には必ずしも善良な人間が客として訪れているとは限らないのだ。

「お前ら動くな!!」
「はわわわ〜!!!」

先程まで席に着いていた大男が、注文を取りに来たフロア担当であるヴィッテの腕を掴み、もう片方の手でナイフを突き出して店内を威嚇する。
あまりにも突然の出来事に瓦利斯飯店で食事をしていた他の客がざわつき始める。

「うそっヴィッテちゃんが…」「け、警察とか読んだ方が」「いやこういう時は魔女でしょ?」「治安維持機構は!?」

一方で、焦る客達とは対照的に落ち着きまくっているのはVALISのメンバー達。

「はーい、ゴマ団子お待たせしました〜」
「ありがとうございます…じゃなくて!ララさん!?あの、あれ!ヴィッテちゃんが!」

フロアのサブ担当であるララが客の女性に突っ込まれる。

「ん?あぁ、あれ?あー…。あ!お冷おつぎするわね」
「あ、どうも…いやいやいや!!ララさん、いくらなんでも冷静通り越してドライ過ぎませんか!?!」
「大丈夫。ヴィッテは筋トレが趣味だから強いのよ。めちゃくちゃね」
「えぇ…絶妙に答えになってませんが」
「いやいや本当に強いのよ?この前なんて750ccのバイクを小指で…」

漫才めいたララ達のやり取りに痺れを切らした大男が叫び散らす。

「おい!そこのオマエ!!舐めてんのか!?この状況がわかんねぇのかよ!!!バイクなんてどうだっていいだろうが!!!」
「はぁ…あのねぇ、あんたこそ状況を理解するべきよ。それにしても、よりによってヴィッテに手を出すなんて、私は守ってあげられないからね!自業自得ってやつよ!」
ため息をつくララ。すると厨房の方からデザート担当であるネフィの声が聞こえてきた。

「ララー?ヴィッテー?ここの早く持ってってくんな…ヴィッテが捕まってるー!!!」
「そうですよね!普通、そういう反応になりますよね!!??」
「ヴィッテが捕まるなんて、明日は雨が!いや槍が!もしかしたら操桃が降るかも!!」
「どんな状況ですか!」「全くですぞ!!Σ(゚д゚;)」
客の女性は思わずツッコミをいれる。何故かどこからともなく操桃のツッコミも聞こえたような気がした。
「なんですって!!?ヴィッテが捕まってるの!?大丈夫!!?」
ネフィの声を聞き、厨房から料理担当のミューが慌てて飛び出してくる。…包丁付きで。
「良かった。ミューさんはララさん達と違って
まだ普通の反応だ…あ、いや、良くはないけど。ヴィッテちゃんが危ないけど!!」
「ちょっと!サラッとララに失礼なこと言わなかったかしら!?」 
ツッコミを、入れるララを他所にミューがヴィッテに厨房の近くから声をかける。
「ヴィッテ!!!…やりすぎちゃダメよ!!」
「えー!ミュー助けてくれない㌨〜??こーわーいー!!」
「ミューさんもそっち側なんですね〜!?」

この場にいるVALISのメンバーは何故か大男に腕を掴まれ刃物で脅されている、うるうる目のヴィッテの心配をしていないようだ。

「え、なにこれ。私がおかしいのかな?」

たまらず客も自分がおかしいのでは無いか、と疑い始める始末。

「むえ〜みんななんだか冷たい㌨…しょうがないにゃぁ」
「おい!舐めるのもいい加減にし…」 
大男が言い終わる前に、飯店の中でドスンという鈍い衝突音が響いたと同時に、男が床に五体投地する形で放り投げられていた。

「「???」」

客も大男も何が起きたか理解が追いついていない。しかし、間違いなく視認はしていた。ただ目の前で起きたことを、脳が認識するまでにかなりの時間を要した。
ヴィッテが掴まれていた方の腕で大男を180度回転させるように投げ飛ばしてしまったのだ。
体格が一回りも二回りも違う相手を、いとも容易く。

「ヴィチャンはね、深脊界に来てから【浮遊】の能力を手に入れたんだよ。つまりね、いくら体格差があっても、体重があっても、アドバンテージにはならないってこと㌨」

「の、能力…?うおおお??」
大男の身体がふわりと10センチほど浮き上がり

「というわけで、あなたは出禁㌨〜!!」

そう言うと、瓦利斯飯店の出入口からカーリンのように大男を物理的につまみ出す。浮遊の能力のおまけ付きなので、効果範囲から出るまでの数十メートルは低空飛行しながら止まらず進み続けるだろう。

「お、おぼえてやがれこの〜〜〜!!」

ドップラー効果を起こしながらフェードアウトしていく声。そしてほぼ同時に店長代理のチノが買い出しから帰ってきた。

「なんかさぁ、おじさんが飛んで行ったんだけど、なんかあった?」
「ヴィチャンがお店の平和を守ったのです!」
「あら〜!ヴィッテは偉いねぇヨシヨシ」
フリスビーを取ってきた愛犬の如くワシャワシャとヴィッテを愛でるチノ。
「ちょっとーーー!!チノーーー???、まだ営業中よ?ヴィッテとイチャイチャし過ぎなんじゃないかしらーーー?」
ジェラシーのミュー
「あらあら?私とヴィッテの仲睦まじさに嫉妬かしら?」
わざとらしく甘ったるい声をだして更にヴィッテを抱き寄せるチノ
「ミューさっき助けてくんなかった!!」
頬を膨らませて拗ねてみせるヴィッテ
「誤解よぉ〜!私はヴィッテの強さを信頼してるからこそ…」
弁解のミュー

瓦利斯飯店は今日も平和(?)なようです。

ーー営業終了後ーー

「ふむ、というわけで今日も一日お疲れ様でした。明日からはゆるばりすもあるしイベントも色々控えてるから、各自しっかり休憩しておくように。では解散!」

「「「「はーい!」」」」

【深脊界_とある小道】

帰路(とはいっても、徒歩数分の場所に住んでいるのだが)についたヴィッテは、今日の事件を思い返す。

「うーん、久しぶりにファイトできるアクシデントだと思った㌨に、意外とアッサリ終わっちゃったなぁ。こんどは少しハンデを与えて…」

ここの所ヴィッテは「闘い」に飢えていた。この世界に来てからVALISに入る前の短い間ではあるが、最強を目指すヴィッテは獣の力を持った住人を相手に闘いに明け暮れていた。
そこを操桃、瓦利斯飯店の店長にスカウトされて今に至るのだが、未だに勘は衰えておらず、自分に向けられる殺気や闘いの気配を敏感に感じ取ることが出来る。

例えば、まさに今。ヴィッテの背後に2人分の視線を感じているように。

「ねぇー?そこからこっそり見てる人?ヴィチャンのファンの人かな?それとも…闘ってくれる人?」

深脊界はあちらこちらに大小様々なモニュメントが生えている。ヴィッテから数メートルほど離れたそのモニュメントの影から先程の出禁大男と、その仲間と思しきもう1人の大男、合わせて2人の大男が現れた。

「バレてやがったか…」
「うーん、ファンの人じゃなさそう㌨ね」
「まぁいい、ここであんたを攫っちまえば、さっきの仕返しと身代金でひと稼ぎ、一石二鳥ってやつだ」

そう言うと、それぞれナイフとスタンガンをポケットから取り出しヴィッテに向けて構える。

「か弱いプリンセスにそんなの向けて…恥ずかしくない、のッ!!」
ヴィッテはナイフを持った方の男に目標を定め、一気に距離を詰める。
「さっきみてぇに行くかよ!」
男は躊躇なくナイフを振り回してヴィッテに威嚇する。
「!?ッ!あぶなっ」
ヴィッテは急ブレーキをかけ、ナイフの間合いに入らないように足を止めるが、その隙にもう一方の男がスタンガンを突き出して攻撃を繰り出す。
「喰らえッッ!!」
「ッッ!!こわーい!」
ヴィッテは間一髪、スタンガンを持っている男の手首を掴み
「えいや!」
能力を使って相手に浮遊を与え、スタンガンの男をナイフの男に向けてぶん投げる。

「うおっ!!」

(久々のストリートファイト!楽しい㌨!!)
ヴィッテはルールに縛られない闘いに高揚していた。心拍数が上がり、久しく心に眠っていた獣の力が湧き出してくるのを感じる。

「くそっコイツ笑ってやがる!」
「舐めやがって!!」

(うーん、でも〜ちょーっとこの2人じゃ力不足かなぁ)

「うらぁ!」
「ほっ!」
「だらぁ!!」
「㌨ッ!」
「っッ!!くそがぁ!!」
「いやーん!」

ヴィッテは大男二人の武器による攻撃をことごとくいなし続ける。
前後左右の挟撃すら巧みに受け止め、受け流し、叩き落とし続ける。

「くそっ、なんなんだコイツ!!」

男は二人とも息を上げ、徐々に攻撃の手が止まりはじめる。

「あれ〜?もうおしまい㌨?ま、いっか!久々にちょーーっとだけ楽しかったよ!!」
ヴィッテはそう言うと、「バイバーイ」と言い残し背を向けて歩き始める。
(うーん、この程度の相手だとやり返しちゃったらミューの言ってた「せーとーぼーえー」にならなそう㌨)

「おまっ、舐めやがってェッッ!!」
男は怒りの声を上げると、感情に任せてヴィッテにナイフを投げつけた。
「おいバカ!!」
「あ、しまった!」
本来人質というのは、対象の人間が無事でないと成り立たない。万が一の事が人質に起きてしまえば、相手に身代金を要求するなど、交渉のテーブルに立つことが出来なくなってしまうからだ。

そして無慈悲にも、男が投げたナイフはヴィッテの後頭部に一直線に進んでゆき…


ーーー数時間前、瓦利斯飯店にてーーー

「あの、ララさん。VALISの皆さんは、さっきヴィッテちゃんが捕まっていた時、どうして誰もヴィッテちゃんのことを心配していなかったんですか…?もしかして不仲とか…」

騒動に居合わせた女性客がララに質問を投げかけると、ララは笑いながら答える。

「ちょっと!不仲なわけないじゃない!ヴィッテは強いのよ。いや、というかそもそも、私たちVALISは全員、あんなのには負けないわね」
「えぇ!?」
「見てわかると思うれど、ララ達には猫の耳と尻尾が生えてるでしょ?これは獣の力って言って、まぁ大雑把にいうと五感とか筋力みたいな身体能力が一般的な人間たちと比べてとっても高いの」
「そ、そうだったんですか。てっきりそう言うコンセプトの衣装とだとばかり」
「もちろん、せっかくの可愛い猫耳と尻尾だもの。それを活かすような衣装にはしてるけどね。」
ララは続ける。
「中でもヴィッテは獣の力との親和性が高くてね、筋力や治癒能力はメンバーの中でも桁違い。能力抜きでもミューの大型バイクを片手で持ち上げるし、たぶん骨折くらいなら5秒あれば完治するわ」
もっとも、ヴィッテの骨を折れるような存在がこの世にいるとは思えないけどね、とララは笑う。 

「す、凄いんですね、ヴィッテちゃん」

「まぁ、有り余る攻撃力というか破壊衝動?、もとい筋力を押さえつけながらダンスを踊らなきゃならないから、少しぎこちなくなっちゃうのがたまにキズなのよね。初めのうちは上手く制御できなくて、なんどレッスン場の修繕をしたことか…」

ララが遠い目をする。

「あはは…」

「まぁそんなわけで、ヴィッテの強さを知ってる私たちはあの程度の事じゃ慌てないし騒がないの。あ、でも、空手のルールがあればララだってヴィッテには負けないわよ!」

メラメラと謎の対抗心を自慢げに燃やすララの元に、厨房にいるはずのネフィが駆け寄ってきて
「裏を返せば、ルール無用のストリートファイトならララはぜーったいにヴィッテに勝てないんだけどぬぇ〜!」
とだけ言って、陽炎のように消えてしまった。
「ちょ!?ネフィあんた、そんなこと言う為だけにわざわざ分身能力つかって!!もう!」
そんなやり取りをみて客が笑う。
「やっぱり仲良いんですね。さっき一瞬不仲なのかと思って、勝手に心配しちゃってました」
「違うわ、心配しなかったのは信頼の証よ。それに…」

「それに?」

「ヴィッテに触れる事なんて。ヴィッテが本気なら出来る訳ないんだから」
「それはヴィッテちゃんが強いから、って事ですよね?」

「そうね。それもあるけど、ヴィッテの能力によるところが大きいわ」

「ヴィッテちゃんの能力って浮遊ですよね?浮かぶだけなんじゃないんですか…?」
「本来はそのとおりね。でもヴィッテは能力の解釈を広たの。浮遊の対象を地面から、自分以外のあらゆるものに拡張させた」
「…??それってつまり??」

「…ヴィッテが能力を展開したら、あらゆるものがヴィッテに近づくことすら出来なくなるってことよ」

ーーーーーーー
ヴィッテの後頭部に向かって一直線に飛んでいくナイフが、直撃の寸前にふわりと浮かんだかと思うと、力無く地面に落ち、カランと虚しい音が夜の路地に響いた。

「…へぇ。ヴィチャン相手に武器を手放すとは。余裕㌨ね。」

声の調子は先程と変わらない。しかし、明らかに増大した背筋が凍るような威圧感に男二人は動けないでいる。
そんな男達を気にとめずにヴィッテは続ける。

「これはやり返しちゃっても【せーとーぼーえー】だよね?」

「大丈夫!ヴィチャンも今やアーティストだから、オオゴトにはしない㌨よ。SNSは怖いからねぇ」

ヴィッテはナイフを拾い上げると、木の枝を折るかの如く、指先だけで半分にへし折り、立ち尽くす男たちに一歩一歩近づいていく。

「ヒッ」

夜の路地で爛々と光るヴィッテの瞳が男たちの脳幹を恐怖でマヒさせる。猫のようにシュッと縦に延びた瞳孔はこちらの思考すら完壁に見抜いているのではないかと思うほどに鋭い。

「来るなッッ!!!」

堪らず男の一人が手に持ったスタンガンをヴィッテに投げつけるが、当然浮遊の能力によって数センチ手前で不自然に軌道がずれ、ヴィッテのふわ袋に吸い込まれる。そして、

グジャ!!パラパラパラ…

「な…ハァ?」
スタンガンは卵の殻よりも簡単に握り潰されてしまった。

「なんと!ヴィチャンの握力は〜…えーと、何キロだったっけ?この前、薔薇の花を握って香水を作るのには成功したんだけどニャ?」

「は、ははは…」

男達2人は完全に戦意を失い、しりもちをついて地面にへたり込んでしまった。

「それじゃあ!第2ラウンド!もちろん付き合ってくれるよね??」

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【深脊界_???】

モニターの明かりが照らす薄暗い部屋の中、細身の男性が一人、スマートフォンで会話しながら映像を見つめている。
映し出されているのは、ヴィッテが気絶した大男を2人持ち上げて、治安維持機構に運搬している映像だ。

「この人が〈プリンセス〉ヴィッテですか?」

『そうだ。次のターゲットって訳だな』

「マジっすか!?いや、めっちゃ強そうなんですけど!」

『その通りだ。だからこそ君が宛てがわれた』

「えー、不安っすねぇ、あの能力とか攻略すんの難しいでしょ」

『心配するな。君なら勝てる。必ずな』

「へへ…恐縮です」


ーー続かない!!

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