2023年の「少年たち」
今から約1年ほど前、岩本照さんが構成・演出を手がける「少年たち〜闇を突き抜けて〜」を観劇しました。
この感動と衝撃が冷めないうちに…と当時書き連ねて結局そのままになっていたnoteを読み返していたら「2023年はいろんなことがあったけどすごく楽しかったな」と心から思えたので、もう一度整理してここに残そうと思います。
2024年も変わらずに岩本さんが大好き。岩本さんの思考や言動を知っていくたびに、自分がこれまでより少しづつ前向きになれている気がして嬉しい。まさに私にとって陰を照らしてくれる光のような存在です。
観劇してる途中に「これ以上いいものをみせられたら本当にどうにかなってしまう」と本気で怖くなった舞台。ラストの展開に衝撃を受けしばらく動けなくなったこと、鳥肌が止まらなかったこと、抜け殻になりながら帰りの新幹線に向かったこと、一生忘れません。観劇後は岩本さんへの愛と尊敬の念が爆発し、私はそこから数ヶ月、口を開けば少年たちの話しかしていませんでした。この舞台をこの目で生で観れたことに心の底から感謝しています。
結論:良すぎて苦しい
舞台で「美 少年」を拝見するのは初めてだったのですが、その場の情景が容易に想像できる演技力に圧倒されました。
彼らが生きる世界が現代と酷似しているからこそ、当たり前だった日常がいとも簡単に崩れ落ちる絶望がよりリアルに感じられる。ただ「生きていく」ために罪を犯し監獄に閉じ込められた少年たち。怒りや悲しみを感情的に表現する場面もたくさんあって観ていて胸が苦しくなったし、とにかく心が揺さぶられた。特に大昇にはびっくりするほど感情移入してしまい、気づいたら泣いていました。皆は叶えたい夢や待ってる人のために「ここを出たい」一心だけど、家族が殺され記憶を失った大昇にとっては「ここに居たい」なんですよね。ここにいる皆が今の自分にとって全てで、大切な仲間だから。その対比が本当に悲しいです。でもそんな大昇が悩みながらも「仲間の願いを叶えることが自分のやるべきことだ」という結論を出し、仲間のために脱獄に協力。そして最後は仲間を守るために自らが犠牲になる。いや、こんなことあっていいのか。切ない。切なすぎる。思い出してまた辛くなってきました。
出所してそれぞれの道へ進んだ少年たちが数年越しに大昇に会いにくるシーン。舞台の上には大昇がいるのに、その姿は周りには見えていません。皆が歳を重ねて、服装も変わって、夢を叶えて楽しそうに話してる。なのに大昇だけがあの頃の姿のまま、咲き並ぶ向日葵とともに立っている。そんな悲しすぎる場面を経ての、衝撃的なエンディング。本当にとんでもないものを観た。良すぎて苦しい。この一言に尽きます。
岩本さん単独では初となる構成・演出。本当に本当に最高でした。そこに岩本さんはいないのに、クリエイティブを通して「岩本 照」をこれでもかというほど感じさせてくれて、こんな感覚は本当に味わったことがないです。「岩本さんを好きでいてよかった」と心から思いました。
この独占インタビューのなかで、初日の公演を観ている時の感覚を「自分の葬式を一番後ろで見てる」と表現していたことに衝撃を受けました。こだわり抜いて最後まで全力でやりきった人間じゃないとこんな例えは浮かばないと思うし、この作品は岩本さんがこれまで積み上げてきた経験と努力の集大成なんだと感じました。
照明のライティングとサウンドが細かくはまっているところも見てて気持ちよかったし、紗幕を使った演出も驚くばかりで、とにかく感動の連続。
岩本さんが演出のオファーを受けてからいろんな場所に赴いてインプットを重ねていたことはブログや雑誌の記事を通して知っていましたが、新たな経験とこれまで培ってきたもの全てが血肉となっているからこそ、見る人の心を揺さぶる作品が作れるんだと思います。
今回の演出に伴うインタビューを通じて、岩本さんの作品づくりに対する向き合い方を言葉でたくさん知ることができたのも本当に嬉しかったです。
「自分の役割はここまで」と線引きしたくないから躊躇せずに何にでも関わっていく姿勢はなかなかできることではないし、尊敬しかありません。
ネガティブな部分や大変だったことを表ではあまり見せない岩本さんが「ゼロから1にする作業は苦しさの方が強い」「楽しいのはほんの一瞬」と話していたときは「岩本さんも日々悩み苦しみながらクリエイティブと向き合っているんだ」と思って勝手に勇気をもらったり…。作品づくりに正解はないからこそ多様な意見が出て当然であり、全員の意見を100%賛同させることなんてできない。だからこそ自分ととにかく向き合って、納得できるところまで突き詰める。この考えは岩本さんのインタビューを読んでから、私の中にも何かを決める際のブレない軸として大きくあって、ことあるごとに思い出します。大事にしたい考え方です。
少年たちに関するインタビューが載っていた雑誌▼
「Flicky」も最高でした!!!
気持ち悪さとスタイリッシュの双方を兼ね備えたキャッチーな振付が岩本さんならではという感じで。美 少年の皆さんもかっこよくてとんでもないなと思いましたね…。
YouTubeにライブ映像があがったのを知ったときは大興奮しました。冒頭の演出と世界観がとてつもなくいい…やっぱりかっこいい。
こうして振り返りながら書いていたらまた少年たちの亡霊になりそうです。少年たち最高だったって100回くらい言ってる気がするし、心の中では1億回くらい思ってます。
舞台に限らず、また岩本さんの演出する作品が観れたらいいな。