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対話の時間をとりましょう

対話の重要性について。

学校での生徒間の確執を回避するため、クラスに馴染めない子は校内フリースクールに、問題行動がある子は特別指導室に分けておくこと、この点については過去の記事で言及しました。

では、同世代の集団と分けたこの少数の生徒に対し、できることは何かといえば、対話です。

孤立している生徒、その全員がそうではありませんが、表情の固い子、生気がない子は概して、家庭に問題があると私は考えます。

こうした生徒にありがちな対応としては、「体を鍛えたら」「部活、少年団をやったら」「スポーツをやったら」「格闘技をやったら」などと助言する人が散見されます。

ヒキコモリや不登校の生徒、イジメの被害生徒に対しても、この手の助言はよく見受けられます。さらには引っ越ししたら、留学させたら、旅行に行ったら、というものまで。

心が萎えている、無気力な子、そうした児童は親との間にまともな会話がない、そうした背景が推定されます。親から連日の罵倒罵声、親から会話を拒まれる、親が常に不快、不機嫌。

衣食の世話はする、欲しいものは買い与える、行きたいところがあれば連れていく、病気や怪我があれば病院にも連れていく、塾や習い事にはお金もかけてくれる、でも、まともな会話がない。

親も子も虐待をしている、受けている、そうした実感はありません。親からすれば「なんでウチの子って、冴えない子なんだろう」となり、子からすれば、自分の生きづらさの原因が親にあることがわからない。

こうした若年者に対し、「部活に入ったら」「スポーツ少年団に入ったら」と悪気なく伝える人がいます。その助言を真に受けて、部活に、少年団に入ったら、だいたい、不幸なことになります。

ただでさえ、クラスに馴染めないのに、より高い集団の同調性を求められる部活に入れば、そこで周囲からの侮蔑や嫌悪の感情が固定、悪化するばかりです。まして、体育も苦手なら、なおさら惨めなことになってしまう。

プロの格闘家のなかには、子供のころ、イジメを受けていた、と語る人が割といます。そうした人はもともと素質があったうえに、身近に良き指導者もいるなど、条件に恵まれていたのでしょう。でも、それがどの児童にもあてはまるわけがないのでして。

クラスに馴染めない生徒に対しては理解ある大人が1対1で向かい合って、対話を重ねていくことです。例えば、学校の業務日、1日1回20分、を1年でも2年でも継続する。最初は黙って、短い返事しかできなかった生徒もやがて、言葉と表情を取り戻していくことでしょう。

この役割は人柄を選びます。表情に生気がないため、同世代はもとより、大人、年長者でも、そうした生徒を一瞥(いちべつ)して、嫌悪感を覚える人は少なくありませんから。

また、いくら話しかけても、最初のうちはろくに反応がない。このため、大抵の人は苛立ち、離れていき、2度と話しかけなくなるでしょう。

だからこそ、反応がろくにない相手でも、辛抱強く、話しかけを継続できるそうした人を集め、組織し、心が萎えている子達に話をしてもらうべきなのです。また、対話に協力してくれる生徒を発掘していき、対話に協力してもらうのもありでしょう。

こうした取り組みは早ければ早いほど、時間対効果も高まります。就学前、4,5歳の段階、あるいは2,3歳から介入してもいいでしょう。

ただ、介入するうえで、重要な点としては、「あなたは親から愛されていないんだね」などと明確に指摘してはいけません。当人が20代後半、30代以降になれば、やがて、自覚する時がくるでしょうが。

子供のうちに、親から愛されていなことを自覚すれば、心が荒んで、不良化するか、動物を虐待するような歪んだ子に転化してしまいかねませんから。

親に対しても同様です。「あなたは子供との会話を拒んでますよね、あなたが原因です」とやってしまえば、まず、感情を逆なでますし。相手とのその後の協力関係を維持していくことが困難になります。

親を変えよう、などと思わないことです。残念ながら親は変われない。子供のなかには親に変わってほしい、と願い、努力を続ける例もありますが、まず、虚しい結果に終わるだけです。

体を痣(あざ)だらけにする、食事を何日も抜く、熱湯をかける、顔が腫れ上がるまで殴る、…そういった酷いことはしないまでも、ゆっくりと、子供を苦しめ続ける「毒親」。

無気力な子供、不良になる子、成長してから精神障害になる人、そうした人々の背景には親子でまともな会話が無い家庭が往々にしてあるのです。

無気力な生徒には早期の対話を。そのうえで、慎重な方法で親の感情にも配慮しながら、そうした児童を家庭から分けるべきでしょう。例えば、「山村留学」など、と名目を設けて。

里親の人柄の選抜、予算の獲得など、クリアすべき課題は多いのですが、これは実現すべきです。

人間、何が辛いか、といえば、飢えと孤独です。孤独になる児童をつくらない、それがイジメを起こしにくい環境をつくるうえで重要な一助となるでしょう。




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倉田隆盛
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