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「相性で分ける」「孤立する子をつくらない」
学校で起きる生徒間のイジメ、これが起きにくい環境をつくること、そのために為すべきは生徒を相性でクラス替え、席替え、をすることだと、私は提言してきました。今回は「相性で分ける」について詳しく書きます。
人間が多く集まって、長時間、長期間、一緒に過ごすと、そこにコミュニティが形成されます。集団のなかに派閥や序列が形成されていくわけです。集団におけるイジメもこうした環境下で起きやすくなります。
大学でイジメが起きにくいのはこうしたコミュニティが形成されにくいことが大きな要因でしょう。時間割がたとえ同じ学科でも生徒により、少しづつ異なります。授業ごとに教室も異なり、また、誰がどこに座るか、も決まっていない。
こうした組織の在り方だと、コミュニティは形成されにくくなり、ひいてはイジメも起きにくいでしょう。これはまた、同窓生の絆とか、クラスの結束が薄いということでもありますが、私はそれで構わないと考えます。
小中高でも同様に、生徒の関係を流動化させるべきです。すなわち、クラス替え、席替え、を頻繁にすることです。
また、生徒の群れのなかでも、孤立がちな生徒は校内フリースクールに分け、また、表情に険しさを感じる、問題行動のある生徒は特別指導室に、分ける対処も付け加えましょう。
さらにいえば、孤立している生徒や険しさのある児童はおよそ、家庭、親子の関係に難を抱えている場合が多いと考えます。このため、こうした児童はそれぞれの属性に応じて寮にいれるべきです。(この点の詳細は別の記事に譲ります)
生徒をまず相性で分けたうえで、普段から生徒の動向を然るべき役割の大人が生徒の様子を注視します。誰かの欠点を嘲笑う、不満げに語る、誰かに不快感を示す、イジリやからかい、あだ名をつける、あだ名で呼ぶ….そうした不和の兆候を見逃さない。
そうした兆候があれば、その都度、諭していくし、また、そうした不和を頻繁に起こすような生徒は昼休みなど時間を割いて、話をしないといけないでしょう。あるいは家庭から離したほうがいいかもしれません。
それから、イジメに関する対応について、話をしておくことも考えられるでしょう。児童、生徒に対して、イジメがあれば、大人達が組織として、こうした対応をする、と。様々な事例を通じ、「こうなれば、こうする」と。
そのうえで、イジメが生ずれば、まずクラス替えをします。そうして、他の生徒の協力を得て、学校の内外で両者を一緒にならないよう、同じクラス、同じ学年、他の学年、あるいは地域の卒業生、そうした生徒、若年者の協力を得て、登下校、帰宅後、休日、両者が遭遇しないよう分けていくべきです。
とりわけ、重篤なケースでは加害者は寮に入れる、警察に被害届を出す、警察が被害届を受け取らなければ、少年事件に詳しい弁護士の同伴のもと被害届を出す。
また、被害者側が希死念慮がある場合は精神科に入院させなければなりません。この場合、被害側親が理解がなければ、親の同意なしに、第三者機関が当人を入院させるべきだし、精神科側も未成年の入院には保護者の同意がいる、その保護者とは親族に限る、とはできないようすべきです。
実業系の高校のように同学年に一学科が一クラスの場合は、イジメが生ずれば、加害側と被害側を席替えしなければなりません。加害生徒は最前列の教卓の正面に、被害生徒は最も後ろの席の窓側に。
加害生徒が複数いる場合は、主犯格を最前列、正面に。従犯者達は廊下側の教室の前寄りの席に。また、被害側生徒に理解ある生徒は被害生徒の周辺を固めると。
そのうえで、教員以外の大人が入り、休み時間は被害側、加害側、双方についているべきでしょう。
生徒を分けていく、は地域でも同様です。登下校、帰宅後、休日、誰が、どこで過ごすかも把握し、ここでも孤立する生徒をつくらない。相性で組み合わせをつくっていくと。
また、いつも行動を共にする生徒が実はイジメの被害と加害の関係だった、一方が一方に従属させられてるケースもあるので、そこも関係性を見極めるべきでしょう。
地域には児童の拠点づくりをすすめるべきです。そこもまた、児童を相性で分けていくことです。同じ生活圏に2つの拠点があるとすれば、それぞれをまた、イジメの加害者側と被害者側で分けていきます。
児童の拠点としては、現在は子ども食堂があります。目下、子ども食堂は増え続けているそうですが、家庭と学校以外の第三の居場所、とするにはいかんせん、数が足りなさすぎます。
子ども食堂の本来の趣旨は1人で食事をとる、あるいは食事に事欠く児童への支援というものですし。子ども食堂を増やす方向も結構ですが、たとえば、空き家を改装し、そろばん塾のように、机をいくつも並べて、子供らの居場所にできないでしょうか。
公園では遊ばなくなる小学の高学年から中高生まで、勉強や雑談のための場所を。また、雨の日であれば、小学の低学年の子達にとっても居場所になれるような。
なんとなれば、子供ばかりではない、高齢者や壮年の人々にとってもお金をかけることなく過ごせる場所にできれば。
北海道旭川で亡くなった中学女子はもともと、公園で1人でいるところを、地域の異年齢の集団からイジメの対象にされ、最期は冬の屋外で凍死体で発見されています。
地域で孤立しないで済むよう、居場所があったなら、ああした不幸は回避できていたのではないでしょうか。
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