女性活躍についてのお話会「知・共有・行動 女性活躍再定義 vol.3 学び」 /2024年3月14日開催
こんにちは!暮らすroom'sです。
今回は2024年3月14日に開催された女性活躍についてのお話会「知・共有・行動 女性活躍再定義」の3回目「学び」をレポートします。
ゲストスピーカーは北村きよみさん。
北村さんは、暮らすroom’sの構成団体の一つである「ゆめサポママ@ながの」の共同代表を務めているほか、ファイナンシャルプランナー×ストレングスコーチとして、お金の面と各個人が持つ強みを掛け合わせて個人相談、セミナー活動をされています。
きっかけは「お金のことを知らないと損をする」という気づき
北村きよみさん(以下、北村さん):私の子どもが小さかった頃はまだ学資保険の利率が良い時代でした。「子どもが生まれたら学資保険に入ろう」ということで、某有名保険の会社のホームページを見てみたところ「ライフプランナーに相談をする」というボタンがあったんです。どうせ保険に入るのであれば、ということでそのボタンを押して実際にライフプランナーさんに色々とお金のことを教えていただいたのですが、その方がファイナンシャルプランナーの資格を持っていて、さらに保険をただ勧めるのではなく「お金って何」というところを親身になって説明してくれました。その話から「私って社会保険のことも知らない」「年金のことも知らない」「自分の周りにあるお金のことについて何も知らない」ということに気付かされ、「お金のことを知らないと自分は損をする」と思ったことがファイナンシャルプランナーの資格を取ろうと思ったきっかけです。
子どもが寝ている時間を使って勉強し、ファイナンシャルプランナー2級の資格をとりました。
期間は1ヶ月半ほどでしたが、学生時代にもこんなに勉強したことないな、というくらい真剣に勉強をしてファイナンシャルプランナー資格を取ったということが、私にとっての一番最初の「学び」であったかと思います。
「お金のこと」を伝えるパラレルな働き方
北村さん:ファイナンシャルプランナー資格は、お金に関する一般常識を知ることができるので皆さん全員がとった方がいい資格だと思っています。
特にファイナンシャルプランナー3級であれば1ヶ月くらい勉強すれば取得できるので、お金のことを知り、そしてこれからの人生で損をしないためにも取得しておいた方がいいとは思います。
ただ、ファイナンシャルプランナーという資格は「稼ぐ」という点では使えない資格です。
例えば建築士のような国家資格は国から与えられた権限を持って仕事ができる資格ではあるのですが、ファイナンシャルプランナーはそういった権限は全くないので、単にお金に詳しい人を示す資格でしかありません。
じゃあそんな私が「お金のこと」を人に伝えるにはどうしたらいいか。
というと就職先が一般的に言う「保険屋」しかありませんでした。
今から15年前というと、まだファイナンシャルプランナーが少なかった時代だったのですごく重宝されたんです。
でも、保険屋に入ったところで、私がやりたかった「お金のことについて広くいろんな人に伝えたい」は叶えられませんでした。
そこで今は保険の乗合代理店に所属しながら、副業として暮らすroom’sの活動をしたり、お金の相談を受けたりセミナーを開催したりしています。
保険の仕事は、仕事で必要な方に保険を届ける仕事だし、お金の相談やセミナーも必要な人に情報を届けるという点で私にとってやりがいのある仕事なので、私の働き方としてはメインの仕事があって副業もしているというよりはパラレル、二足の草鞋を履いているような活動をしている感じです。
お金の学びとコーチングの学びが人生を楽しくしてくれた
最初の保険屋に勤めてすぐのころ、私は離婚をして、世帯に入ってくるお給料がそれまでの四分の一くらいにまでガクッと減ってしまいました。
その当時「どうやって生活していこう?」という感はあったのですが、すでにファイナンシャルプランナーの資格を持っていて一般的なお金の知識があったので、そんなに落ち込むことはしませんでした。
「何か手はあるはずだ」
とお金に関する本を読み漁って節約や投資に関する知識を得たことも今思えば良かったことだと思います。
もし離婚せずにいたとしたらここまでシビアにお金に関して学ぶことはなかったと思いますし、実体験として「お金について学ばなきゃ!」と思えたことは私にとっての転機であったと今は感じます。
その時に読んだ本の中で印象に残っているのは
小池龍之介さんの『貧乏入門 あるいは幸福になるお金の使い方』です。
質素に暮らしても幸せになれるんだよ、ということが書かれた本で、「お金はあるかないかではなくて、自分がいかにそれと向き合ってお金と関わっていくかが重要なんだ」と気付かされました。
それと同じ頃、私にとってファイナンシャルプランナーの師匠に当たる方にコーチングセミナーに誘っていただき、そこに参加して初めて「コーチング」と出会いました。
コーチングというと、人に対してコーチングをする、またはコーチになるために学んでいる人が多いかなと思うのですが、「自分自身が物事をどう捉えてどう行動するか」の判断基準、価値基準を考えるために大事な学びなんだと思いました。
離婚したり、収入も大幅に下がったけれど、コーチングやお金に関する学びを得たことで、比較的楽しくここまで過ごせて来れたかなと思っています。
もしあの時、お金の学びとコーチングの学びがなかったら私はどうなってるんだろうとも思います。
人生にとって「学び」は大事である、という体験をしてきたからこそ、現在暮らすroom’sのなかで「学び」というところを担当して、自分自身を知るといったプログラムを作っています。
「もっと新しく」の学び
暮らすroom’s事務局古後(以下:古後):私、勉強するのが嫌いなんです。
基本的に、勉強する=子どもが宿題する、みたいなイメージがあって嫌いなんですが、日々の中での「気づき」からでも学ぶことができるということなんですよね。
でもそうやって気づき続けること、学び続けることが辛くなることはないですか?
北村さん:私は勉強しなきゃと思って勉強することがないので辛くはないです。
辛かったのは、学生時代にやりたくもない社会と英語の勉強をしなくちゃいけなかったことですね。やりたくないのに押し付けられてやることは気乗りしないけど、今の私の場合は学びたいことを学んでいるから辛さは感じないです。
古後:学べば学ぶほど次に学ぶことがもっと広く感じる、「ああ、まだまだだな」と思ってしまうことが私はあるのですがどうですか?
北村さん:私は「もっともっと」という感覚はなくて。
私の場合は、「もっとよく」というより、一つ学んだら「次、新しいものは何かな?」と思います。
コーチングの入り口も、NLPという学びから入ったんですが、それを学んでいる時にストレングスファインダーと出会って、ストレングスも面白そう。という感じで学びました。
新しいものに次々と移っていくので飽きっぽいと言えばそうなのですが、「もっとよく」とか「もっと深く」という感覚がいい意味で私にはないかなとも思います。
古後:「学ぶ」って世界を広げることかもしれませんよね。
私自身色々な学びに手を出しているんですが、結果残るものは学びの過程で出会った人やその人からつながる情報などかなと思います。そして「自分の世界はまだ狭かった」と感じたりもしますね。
いろんな学びをしてきた私たちが、人生でこれがわかっていたらとてもよいなと思ったことを取り入れて、暮らすroom’sで新しい講座を作成しました。
作った経緯などをご説明いただこうと思います。
シンプルな自分発見ワークショップ
北村さん:「シンプルな自分発見ワークショップ」というタイトルなんですが、何かを学ぶにしても「何を学ぶのか」「誰から学ぶのか」の前に、自分自身をちゃんと理解して、自分自身を生かすためにはどんな学びが必要なのかということをわかっていないと、人生において遠回りをしている人がすごく多いなということを思ったことがあるんです。
「本当はやりたくないけど、お金を稼ぐために仕方なく」とか、そんなことはないのに「自分にはこれしかない」と思い込んでそれに注力してしまったりという人がいるな、と感じる中で、まずは「自分自身がどういう人で、どういうことにモチベーションが上がったり、どういうことができる人なのか」を気づくきっかけになるワークがあるといいなと思いました。
世の中で「女性活躍」という言葉が取り沙汰されている中、再就職セミナーや自分の強み発見セミナーはいろいろあるようですが、ベースとなる「自分自身」について理解を深めるところは、なかなかないなと思います。
講座では、誰かに決められたものではなく、人それぞれ、自分自身のwell-beingを見つけて欲しいという思いから、ライフバランスホイールを客観的に見つめ直してもらうワークや、自分の価値観や大切にしているものを見つめ直すワークを取り入れています。
私の好きな言葉に『7つの習慣』の著者スティーヴン・R・コヴィーの「人生で最も大切なことは、最も大切なことを、最も大切にすることである」があります。
自分が大切にしたいものを大切にするという当たり前のことを、自分も含めて人は忘れてしまいがちだと思います。
そもそも、自分が何を大切にしているのかということを考えたことがない人もいるんじゃないかというところで、自分自身の価値観と向き合ってもらうということもやってもらっています。
また自分自身がやりたいと思っていること、すべきことと向き合うことで自分はこれからどういう方向に向かっていくのがいいのかなということを考えてもらったり、自分自身と向き合って自分が気がついていなかった部分を改めて発見することにより、これから先の人生の中に自分自身を生かしてもらいたいなと思っています。
古後:学びと聞くと色々なことを連想するかとは思うのですが、講座は世の中にたくさんあるけれども「自分自身に気づく」というところをまずやって欲しいなと思います。
自分自身を知るというところからスタートできると、色々なことが楽になるというか、充実した人生になるといいのかなと思いますね。
学びとは「自分自身の価値を高めること」
古後:きよみさんにとって「学び」とはなんでしょうか?
北村さん:先日、中学3年生に向けてお金の授業をしてきたのですが、「「働く」とはお金持ちになるためとか収入を上げるためと多くの人が思うと思うけれど、そのためにはどうしたらいいのか?」という話をしました。
収入を上げるためには簡単な方法だと働く時間を増やすことが挙げられますが、1日は24時間しかないし、人は食べたり寝たりしないといけないので、増やせる時間は有限ですね。
じゃあどうしたらいいかというと、時間単価を上げる方法なら無限。大谷翔平の時間単価はいくらになる?数百万円かもしれない、だから無限だと言えます。
そして時間単価を上げるためには、学校での学びだけじゃなく自分自身の価値を上げるための「学び」が絶対に必要で、それは例えば得意なことを練習することかもしれないし、何か極めたいと思うことを極めることかもしれない。
だから、あなたたちが高校・大学で何をするのかというと、自分自身の価値がわかっている人はその価値を高めていくことだし、まだ自分の価値を見つけられていない人は、価値を見つけるために学ばなければいけない。
そんな話を中学校でしてきたんですが、「学び」とはまさにそういうことだと思っています。
「学び」とは、色々なことを知ることで自分自身の価値を高めることだし、学ぶことで色々な人との繋がりができていくと思います。
また学んで自分自身の価値を高めることは、自信にも繋がっていったり喜びにもなっていく、さらに周りの人に対して自分自身の価値を提供できることが増えていくと自分自身も喜ぶし、と学ぶことで好循環が生まれるな、という話もしてきました。
古後:自分自身の価値を高める、ということはまず「自分に価値がある」ということですよね。
私も自分に価値があると言える人はまだまだ少ないんだな、と思っているので、特に子どもなんかはそこにいるだけで価値があると思うので、そのあたりに気づいて欲しいですよね。
では、どうして学びは必要だと言えるか、特に私たち女性に学びが必要だとフォーカスしているのかについてもお話しいただいていいですか?
北村さん:女性、男性問わず、自分自身に自信が持てない人が多いと思います。
何年か前、品川駅のコンコースに「今日の仕事は、楽しみですか。」という広告が出た際に、駅を通る会社員が不機嫌を表明して1日で広告が撤去されたということがありました。
これは自分自身の価値を社会にきちんと提供していなくてイヤイヤ仕事をしている人がすごく多いということなんじゃないかと思います。
仕事を楽しくしていて、自分の価値をわかっていて、その価値を社会に提供できているような人がその広告を見たら、きっと何も思わないと思います。
この時批判をしたのは男性が多かったようですが、女性は一度出産や育児で社会から離れてしまうと「自分にできることはない」と思い込んでしまう人が多いです。
掃除ができる、草取りができる、料理が楽しい。こういったことも十分「できること」なのに、できるってもっとすごいことだと思い込んでしまうのだと思います。
だからこそ、この自分発見ワークショップのような地に足をつけた学びをすることで、自分自身の価値に気づいてもらうことも学びとしてはすごく大事だし、自分の価値に気づけたらその価値をより良く提供できるようにするためにまた学ぶ、というように続いていく。
価値という部分にもつながる部分ではあるかと思いますが、学ばないと気づかない、学ばないと日々同じことの繰り返しになってしまうので、「気づく」ということも学びにとって大事な点だなと思います。
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産休・育休中の「リスキリング」という言葉が世間に広まったこともありましたが、何を、いつ、どう学ぶかということを考え、実行することも必要かとは思います。
ただ、まずは自分自身を知るという、簡単そうでありながら二の次にしがちなところからじっくり考えていくことで、押し付けられた勉強ではなく、自分の価値を上げることになる学びにつながるのだというところを改めて気づかせていただけた1時間になりました。
※ストレングスファインダー
クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)とは、米国ギャラップ社の開発したオンラインの「才能診断」ツール。人の才能や強みを34の資質に分け、どんな資質を持っているのか質問に答えることで明らかにする。
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