「温室にて」その5

社長の処刑

 園部は、この日用意した最後のカブト虫を取り出し、麻子の前に押しやった。今までのカブト虫より一回り大きな個体だ。

「やっと出てきたのね。どこに隠れてたの、社長。仲間が踏み潰されるのを見てたんでしょう? どんな気持ちだった?」

麻子は“社長”が逃げる方にパンプスを踏み降ろし、行く手をさえぎる。“社長”は仕方なく方向を変えて歩き出す。その先に再びパンプスが降りてくる。

ここから先は

3,955字 / 2画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?