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修学旅行の様変わり-SDGs学び旅と奈良‐

こんにちは。お薬アドバイザーの井田です。
この度のTIPS通信ではお薬の話題からしばし離れ、今地球的な規模で取組が進んでいるSDGsへの活動についてその一端を紹介したいと思います。

奈良もようやくコロナ禍のトンネルを通り抜け、インバウンドを含め修学旅行も随分と復活してきました。
以前の修学旅行はお決まりの東大寺や興福寺、春日大社等の有名社寺のコースをただ巡るだけのものであったのですが、最近はSDGsへの理解を深めるという大きなテーマを抱え修学旅行を実施する学校が増えてきました。
ご承知のようにSDGs(Sustainable Development Goals)は地球規模で持続可能な世界を実現すべく、国連で2015年に採択された2030年が達成期限の共通目標で、17の大きな目標と169のターゲットから構成されており、現在教育現場でも重要な学習課題の一つになっています。

教室でSDGs学習の機会が与えられても、具体的にその意味するところがなかなか理解しづらいのが現状ですが、目の前に1300年の歴史、文化を宿す寺院や神社のホンモノに接したとき、生徒はその意味するところを肌で感じることができるのです。いち早く奈良教育大学ではSDGs実現の主体である人が協働して問題解決に取り組む市民参加型の社会の形成を目指して、SDGsの教育、ESD(Education for Sustainable Development)に取組んでいます。
その具体的な活動の一つが「奈良SDGs学び旅」です。「持続可能な社会の造り手の育成」という視点を踏まえ、奈良の「ホンモノ」に触れながら、児童や生徒が「主体的対話的で深い学び」を体験し、課題解決力を育む内容になっています。

自然災害の多い日本の中で、それらを乗り越えてきた1300年を超えるホンモノの建築や彫刻、伝統行事に奈良では間近に接することができます。東大寺大仏は752年に造立され以後2回の大きな火災に見舞われましたが、当時の多くの人の協力を得て火事の都度修復が施され、今日までその立派な銅像が維持されています。奈良の鹿は野生でありながら決して人を見ても逃げません。それどころか食べ物のおねだりに自ら人に近づいてきます。これも千年以上にわたる奈良の住人と鹿の共生によるものです。それらを目の当たりにし、それらを可能にした背景を自らの頭で考えることがSDGsの概念を理解する上でとても大事なことなのです。

修学旅行ガイドに際しSDGsの学習が組み込まれていれば、生徒自らが自分で課題を見つけ、その答えを見つけ出せるよう決して説明し過ぎないように心がけています。NHKに「ブラタモリ」という人気番組がありますが、番組冒頭にタモリに対して探索地に関連する「お題」が与えられます。そのお題に対する回答を求めて探訪が始まるのですが、私もガイドの冒頭には生徒にはお題に相当する何らかの課題を与えるようにしています。世界遺産を目の当たりにして、課題に対する回答を導き出すプロセスを体験し、持続的発展の概念、重要性を少しでも理解してもらえればと願っています。将来的に児童たちがSDGsの推進役にまで育ってもらえれば嬉しい限りです。

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