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AFTER COVID-19

こんにちは。おくすりアドバイザーの井田です。

奈良は今、しばしコロナ禍で途絶えていた修学旅行も復活し外国人観光客のラッシュも加わり連日東大寺等の主な社寺は多くの観光客で賑わっています。

WHOは2023年5月にコロナウイルスに関する緊急事態宣言を終了すると発表し、日本でもコロナは同月感染症法上の第5類感染症に分類したことにより、今や行動制限も大幅に緩和され、コロナ前の生活が一挙に戻りつつあるようです。マスコミの取り扱う内容もウクライナ戦争を中心とした世界情勢や経済問題に大きなスペースを割かれ、コロナ関連の情報は一時に比べ大幅に減少したように見えます。

コロナ以前の生活が戻りつつある中、第9波到来が懸念されていますが、今4年以上にもわたるコロナ禍での状況をきちっと検証し、次なるパンデミックに対する備えと対応への取組を検討することが全地球的な課題として求められています。

コロナ感染により世界全体では数百万人もの生命が奪われ、経済的にも全世界で13.8兆ドルもの大きなコストが費やされたとのことです(IMF資料)。感染が爆発的に広がった当初、必要とされる治療薬や診断薬、ワクチン等臨床に供されるものは殆どなく、有用性が認められたワクチンがようやく広く使用できるまでに最低1年の時間が必要でした。承認が待ち望まれたワクチンが欧米、日本等で投与され始められた後には、アフリカを始めとした低中所得国等、必要とする国民に公平に供給されなかったという深刻な地球規模の格差問題の存在も確認されました。

このようなコロナ禍の現状を踏まえ以後のパンデミック対策を論じた岸田首相の論文が2023年1月に医学界で世界的に権威のある「LANCET」に掲載されました。このことは日本でもあまり知られていないように思いますが、以下の3つの論点から構成されています。1.健康課題の解決に取り組む人々の連帯を促進するための国際的体制の見直し、2.WHOで決議されたUHC(“Universal Health Coverage ”‐「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保険医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」)を達成すること、3.これらを推進するため健康課題への技術革新を促進させることです。以上の課題解決の一つとして既にアジア主要国と国境を越えた臨床試験やオンラインでの診断治療を含めたネットワークの構築にいち早く着手されているそうです。

以上のように、次なるパンデミックに対する対応が国内でも種々検討されていますが、もちろん世界的にはより広範囲にWHO、各国政府、大学や研究機関等のアカデミー、製薬企業やその団体がこの度のコロナ禍を通じて得られた貴重な教訓を生かすべく相互のより密接な連携による検討、研究が進められています。

密林アマゾンの開発やシベリア凍土の溶解により未知のウイルスの出現が懸念され、専門家から将来新たなパンデミックが起こるのは時間の問題とも指摘されています。かつて感染症の大流行は人々を大きな不安に陥れ、聖武天皇は天然痘が大流行した折には大仏造立による病気平癒と国家安泰を祈り、京都では疫病退散を願って祇園祭が始まりました。今日ではなんといっても医学、薬学等科学技術の力によるワクチン、治療薬開発が最大の対応策であることは明らかです。

今SDGsが全世界の大きな取組課題になっていますが、その17ある達成目標の内“目標3”には「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」と記載されています。この目標が示しているように今や世界中の人々が最先端の医療技術を等しく享受できる体制の構築が求められています。のど元過ぎれば熱さ忘れるのが人間ですが、今、安易に時の話題に流されことなく次なるパンデミックに真摯に備えるべく、この度の貴重な経験を活かし国民一人一人もよく考え、予防、備え、対策等に携わる関係者及び団体のさらなる一歩に期待したいと思います。

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