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地球外生命を探す旅2

こんにちは。旅のアドバイザーのさくらです。

前回は宇宙での生命探査の歴史について書きましたが、今回は太陽系以外での生命探査のお話です。

最初に宇宙の話の中で使う「星」について、用語を整理します。
私達が日常会話で星というと、一等星、彦星、星空がきれいなど夜空に輝く星をイメージすると思います。夜空の星のほとんどは自ら光る恒星ですが、太陽の光を受けて輝いて見える金星・火星などの惑星もあります。月も太陽の光を受けて輝いていますが衛星です。
・恒星
自ら光り輝く天体。太陽、彦星(わし座の1等星アルタイル)など。
・惑星
恒星の周りを公転している天体の中で十分な質量があり、同一公転軌道上に衛星以外の天体がないもの。太陽系の惑星は「水・金・地・火・木・土・天・海」の8つ。
・衛星
惑星の周りをまわる天体。月は地球の衛星。前回水が見つかったとお話ししたエンケラドスは土星の衛星です。

科学者たちは太陽系内の惑星や衛星に探査機を飛ばして、生命存在の可能性や生命誕生の謎を探っています。日本が打ち上げた「はやぶさ」や「はやぶさ2」が向かったイトカワやリュウグウは、地球と火星の間にある小惑星帯の中のひとつです。またハレー彗星などの彗星は海王星より外側から来ていると考えられていますが、太陽系の星と言えます。

太陽系に惑星や衛星があり、地球に生命が誕生したのであれば、他の恒星にも地球のような惑星があって生命がいるのではないかと科学者たちは考えています。太陽系の外の惑星を探すので「系外惑星探査」と呼ばれています。

1950年代には「トランジット法」という観測方法が提唱されました。恒星の周りをまわる惑星が恒星の前を通過したら、地球から見る恒星の明るさは惑星に遮られた分だけ暗くなるはず。これが周期的に起こっていれば惑星の存在が確認できるというもの。

しかし、太陽から一番近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」でも4光年以上離れています。そのうえ恒星と惑星の大きさがあまりにも違うので、暗くなる割合は僅か。太陽系で一番大きい木星が太陽の前を通過した際に太陽が暗くなる割合は約1%、地球なら0.01%以下のようです。この差を正確に観測するには、精度の高いカメラを備えた望遠鏡や大量のデータを高速に処理・分析できるコンピュータが必要でした。

NASAがハッブル宇宙望遠鏡に次いで2009年に打ち上げたケプラー宇宙望遠鏡が稼働を始めて、系外惑星が多く見つかりました。2011年にはチリに巨大なアルマ望遠鏡が完成し「視力6000」に相当する性能で系外惑星探査にも力を発揮しています。

初めて系外惑星が正式に確認されたのは1992年だそうですが、現在5000個以上の系外惑星が確認済みです。まだ解析が終わっていないデータや、新たな探査プロジェクトで発見される数を考えると、宇宙には無数の惑星があると言えます。

地球と似た生命が存在するには、液体の水が惑星や衛星などの天体表面に安定に存在できる条件(表面温度が0℃ー100℃の範囲)が必要で、恒星に近すぎず遠すぎない距離「ハビタブルゾーン」と言われています。太陽系のハビタブルゾーンに入っているのは地球と火星です。2017年にはみずがめ座の方向で約40光年の距離にあるトラピスト-1という恒星の周りに地球サイズの惑星が7個見つかり、このうち3個はハビタブルゾーンにあることが分かりました。

系外惑星は遠すぎて、地球外生命に直接遭遇することは難しいかもしれませんが、宇宙規模で考えれば、私達は決して特別な存在ではありません。

アルマ望遠鏡の運用には日本を含む22の国と地域が協力しており、恒星と惑星が誕生する過程の塵円盤の撮影に成功しています。世界初のブラックホールの撮影も各国の望遠鏡(天文台)と天文学者・科学者の協力によってもたらされたものです。

地球上には人間がもたらした多くの問題が山積しています。お互いが覇権を争っている時間はないのです。皆が協力して難問を乗り切る時期に来ています。各国が天文学者たちのようにお互いに協力して成果を上げる方向に向かう方法はないものか。一昔前の映画のようにいっそのこと宇宙人が攻めてきたら、お互いの争いをやめて一致団結できるかもと考えてしまいます。

■参考資料
・天文学辞典「公益社団法人 日本天文学会」
https://astro-dic.jp/
・アルマ望遠鏡
https://alma-telescope.jp/
・国立天文台
https://www.nao.ac.jp/

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