庭の管理をしていますか
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2019/08/23 第532号
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【庭の管理をしていますか】
こんにちは、身近な自然観察アドバイザーのmimosaです。
私にとっていちばん身近な自然は、自宅の小さな庭かもしれません。ずっと昔、庭の植木の世話をしていたのは祖父でした。そのあとを継いだ、花の好きな母が高齢になった今では、水やりや手入れをする人は誰もいません。私も仕事で里山保全のための管理作業を手伝うことはあっても、日々の忙しさに追われるあまり、庭は何年もの間、なるがままに任せて放置し続けていました。
その結果、庭の植物は思い思いに枝を伸ばし、葉を茂らせて、ひしめき合い、地面が見えないほどうっそうとして、じめじめと暗い状態になってしまいました。そこで、ジャングルのような庭をこれ以上放置するわけにもいかず、ついに植木屋さんに来てもらう決心をしました。暑い季節に、プロの植木屋さんに依頼する理由は、まずは、暗い庭を明るく手入れしやすい庭にリセットすること、そして、庭でいちばん幅を利かせているノウゼンカズラに掛かる手間を無くすことです。
ノウゼンカズラは、中国原産のつる性の落葉低木で、幹や枝から気根を出して塀などを這うように登ります。初夏には鮮やかなオレンジ色のラッパ型の花を咲かせて、遠くからもよく目立つ花なので、庭や公園で目にされたことがあるかもしれません。わが家の株はことのほか元気なようで、低木といいながらもピーク時には3メートル近く枝葉が盛り上がるように茂り、すごい勢いで庭のほぼ半分を覆っていました。
ノウゼンカズラの花は一日花で、咲いてもすぐに落ちてしまいます。塀を楽々超えた枝から、毎日毎日、多いときには百以上の花を歩道に落とすので、長年、朝と夕の掃除が日課となっていました。雨が降ると花やつぼみがさらに激しく落ちて、アスファルトにへばりついた花をほうきで剥がすように掃かなければなりません。夏の終わりには、息を吹き返したかのごとくもう一度花が咲き、その後は、大きなガの幼虫が大発生することもあり、幼虫の大きな糞や落葉の掃除は続くのでした。
ノウゼンカズラは、夏の青空に映える美しい花で、蜜を求めて訪れるたくさんのチョウやハチなど、虫たちのランドマークのようにもなっていました。道行く人から「きれいですね!」とたびたび声をかけられ、「夏の風物詩」だと楽しみにされているご近所さんもいて、園芸種として好まれるのもよく分かります。しかし、管理を怠れば、たちまち庭を占領されてしまうこともありますので、注意が必要だと思います。
今回、植木屋さんに見積りをしてもらうため、改めて庭を眺めてみたところ、庭の隅に小さな緑の果実をたわわに付けている背の高い木を見つけて、とても驚きました。誰も植えていないので鳥が運んできた種が育ったようです。
こんなにも大きくなるまでの何年もの間、全く気付かなかったとは、庭を見ていないにも程があると我ながら呆れました。さっそく調べてみると、イチゴノキ(ストロベリーツリー)という南ヨーロッパ原産のツツジ科の常緑低木で、初冬にアセビの花に似た白い花を咲かせることがわかりました。今は緑色の果実も10月以降に赤く熟すと食べることができて、ジャムや果実酒にするそうです。
植木屋さんには、祖父が植えたツバキ、サツキと母が植えたアジサイ、ゲッケイジュ、たまたま生えてきたイチゴノキ以外はできるだけ伐ってもらうように依頼しました。仕上がりを見て、庭が広々したことにびっくりしましたが、もう一つ、ノウゼンカズラの太い幹と枝が残されていたことにびっくり、というかガッカリしました。根元から伐ってしまうようにお願いしていたのですが、伝わっていなかったようです。これでは来年以降も夏の朝夕の掃除から解放されません。しかし、花を楽しみにしている方々も少なからずいて、悩ましいところです。
ところで、我が家のようになる前に、庭の植物はこまめに刈り込むことが望ましいのですが、高齢化に伴い、なかなか手入れすることが難しい方も多いかもしれません。しかし一方で、若い方はもちろん、元気で時間のある熟年世代が大勢いらっしゃることも確かで、そういう方はご自身で剪定することも可能でしょう。
落ち葉や、剪定した枝はできるだけ短く切って、指定ごみ袋に入れて可燃ごみに出すことができます。天日干しなどして、可能な限り嵩を減らせばごみの減量になります。また、自治体によっては、剪定枝を回収して堆肥やチップにするなど、リサイクル(資源化)している場合もあります。剪定枝は十分乾燥していないと焼却効率が悪く、埋め立てるにも嵩張ります。庭の植木を伐るなどの予定があるならば、家庭から出されるごみの減量化、資源化に協力する意味でも、剪定枝などの回収について市町のホームページなどで調べてみてはいかがでしょうか。
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