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空き家も新築も増えていく未来に思う

こんにちは。消費生活のウソ・ホントを考えるアドバイザーのゆうりんです。

実家売却までの道のり。今回が最終回です。実家は有名観光地のそばという
立地に助けられ、売却はスムーズに進みました。古い家屋をできるだけ活か
して住みたいという方に思い出の詰まった家をお渡しすることができて、何
よりありがたかったです。

国土交通省が実施した「令和元年空き家所有者実態調査」によると、空き家
の約4割は最寄りの鉄道駅から2,000m以上離れていて、腐朽・破損の程度が
大きいものほど、この割合が高いといいます。また「賃貸・売却する上での
課題」では「売り手・買い手の少なさ」を4割が挙げていて、意図せず持ち
続けている人の存在が見えてきます。

5年ごとに行われている「住宅・土地統計調査」の2018年度 空き家率は13.6
%と過去最高でした。とはいえ前回調査からは微増にとどまっています。大
幅に増加すると予想していた野村総研は、空き家の社会的関心が高まって、
売却や、宿泊施設など用途転換が進んだからではないかと分析しています。
ただ今後も空き家が増えることは間違いなく、世帯数減少が加速する2033年
には17.9%になると予想しています。諸外国の空き家率は数パーセントが主
流であることを考えると、日本の高さが目立ちます。

国も中古物件の流通対策は行っています。「安心R住宅」もその一つで、次
のような特徴があります。
1.基礎的な品質のチェックがされていて安心。
2.リフォームがなされていてその内容もわかる。またされていない場合で
も実施するための費用などの提案がある。
3.これまで実施した点検や修繕の内容がわかる。
このように「安心R住宅」は、履歴を見える化し、安心して購入できるよう
整備した中古物件です。

また各自治体も補助制度や空き家バンクを設けるなど、対策に力を入れてい
ます。まずは自治体の取組みを確かめ、利用できる制度がないか調べること
が第一歩になります。

近年は空き家を利用したビジネスも増えています。例えば「カリアゲJAPA
N」。築30年以上の空き家・空室をカリアゲパートナーが借り上げ、費用を
負担して改修し、6年間運用する「カリアゲ」や、改装OK 賃貸として運用す
る「ソノママ」などを行っています。いずれも持ち主の負担がないところが
魅力です。こうした民間サービスの中から利用できるものが見つかる可能性
もあります。

使う予定のない空き家は時間が経てば経つほどトラブルが増えます。また適
正に管理していないと見なされると「特定空家」に指定され、固定資産税が
大幅に上がります。情報収集して早めに動き出したいところです。

空き家が増え続ける一方で、家は建ち続けています。2020年度の新築住宅着
工数は81万5340戸。前年より減少したとはいえ、まだ多くの住宅が新築され
ています。「住宅総量目安」や「住宅供給目標」が設定されている国からす
ると無計画に見えることでしょう。

もちろん国が管理しているところは公営住宅が中心なので、目標を定めやす
いところはあるでしょうが、民営中心の日本でも総量目標を設定するなど、
国としての方向性を示すべきだと思います。新築を促進する一方で空き家に
税金を投入している現状は、あまりに矛盾しているからです。

東日本大震災から10年が経ちましたが、浸水地域にも新たに家が建っていま
す。土地が安く売りやすいと考える売り手。危険とわかっていても新築が安
くで買えることを優先する買い手。大災害を経験しても、安全が二の次にさ
れる現実があります。

新型コロナで日本でもリモートワークが増え、地方への移住を希望する人に
空き家をマッチングする自治体には、問い合わせが増加しているようです。
とはいえまだ大きな動きにはなっていません。東京中心が大きく変わること
はあるのでしょうか。

今後は新築を減らし、今ある物件を中心にしながら徐々に人口に見合った生
活圏にしていく必要があります。そのためには先を見据えた住宅政策を国が
推し進めていくことはもちろんのこと、私たちの家への考え方もアップデー
トしていかなければ、日本の住宅のいびつさは解消されていかないと思いま
す。

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