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企業文化をつくることの大事さが身にしみた件〜カヤックにM&Aされちゃった社長の頭の中#04〜

お寺で合宿!ブレストと議論でつくる会社の文化の面白さ

この9月末でカヤックから出資を受けて丸1年。本格的な事業部への統合からは半年になりました。本当に光陰矢の如し。まだ多少戸惑うこともありつつ、自分も元ネイティブのメンバーもだいぶ馴染んできたのかなと思います。

この一年、カヤックに加わってからかなり頻繁にやっていることの一つが、実は「合宿」と言われる、リアルで集合するイベントです。

宿泊するわけではないのですが、事業部合宿や、リーダー合宿、経営層合宿などなど、色んなカテゴリーの「合宿」と言われるリアルの会議に参加しました。

その会場は主に安国論寺というお寺の敷地にある会議施設。いわゆるお寺の本堂ではないものの、境内にあることもあり雰囲気は荘厳で、落ち着いています。この安国論寺はなんとあの日蓮聖人が創建された、鎌倉でも指折りの由緒あるお寺です。さすが鎌倉。

会場はしっかり会議がしやすい仕様になっているのですが、お釈迦様の像などもあって、やっぱり少し気分が引き締まります。少なくとも嘘はつけないなと(笑)

安国論寺の"合宿"会場

こんな中で、様々なテーマについて、カヤック文化の基盤になっているブレストをしたり、色々議論したりするわけです。

しかも参加してびっくりしたのは、みんなが本当によくしゃべること!
こういう機会って一般的には中々喋る人がいなくて重苦しい空気になったり、誰か特定の人がずっと喋り続けてしらけたり、、、ってことも少なくないですよね。

ところがカヤックの面々は、ほんとにみんなよくしゃべるんですよね。
どんなテーマでも、気後れすることなく、個性的な意見をもって話します。
これには最初は本当にびっくり。自分はほとんど聞き役に徹していたような記憶があります。

みんなは当たり前だと思っているかもしれませんが、これは実はそんなに普通じゃない気がします。ある意味自然に鍛えられているというか、まさに文化として根付いているというか、そういう状態かなと思うわけです。

文化というのは、行動に現れてこそ。多くの人が自然にそうするようになって初めて文化というんですよね。まさにそういうことかなと。

もう一つ別の例です。
カヤック社内でお経のように何度も唱えられているフレーズに、「何をやるかより、誰とやるか」というものがもあります。
その事自体、経験上本当に納得するものなのですが、いざそれを全社を通じてみんなに納得させるのは容易ではありませんよね。
カヤックでは、それをオフィスで流れる朝のラジオ体操の音楽の中に、サブリミナル的なナレーションにして入れ込んでいるんです。(笑)
これを初めて聞いたときには、クスッと笑えると同時に、あーなるほどなと思いました。昔の会社では、朝礼で唱和するなんていうことをやっていたと思うんですが、面白法人としてはこのやり方が最適な気がします。
慣れてしまうと気づきにくいかもしれませんが、これ意外に効果があると思うんです。

こういう細かいことを積み上げていると、やっぱり組織として少しづつ意識が変わるんだと思います。

会社づくりは、ほぼ「文化づくり」かもしれない。

こういう”濃い”文化の組織に身を置くと、やっぱり考えてしまいます。
それは、「果たして自分は経営者として、ここまで文化づくりという面を意識できてたのか?」ということです。
今更悔やんだり反省するというウエットなモードではなく、「そうか、そうだったのか」と気付かされた気分になります。

正直いうと、自分は「会社を作る」というのは、「事業を作ること」がそのほとんどだと思いこんでいました。「企業文化」というのは、もちろん自分がなんとなく目指す方向はイメージできていたものの、それを自分が強く意識して無理やり作るというより、集まった人が自然に織りなして形成されるものだろうと思っていたんです。むしろ恣意的に作ろうとするのはどうかと。ちょっとおこがましいし、人工的な匂いのする文化は、ある意味"まがい物"ではないかとさえ思っていました。

これはとんでもない間違いでした。

もちろん事業が成り立たないと継続できないのが企業です。
でも同時に、それを動かすメンバーの行動の元となるのが「企業文化」そのもの。25年続く組織に身を置くとそれを改めて強く感じます。
正直に言うと自分は「会社=事業90: 文化10」くらいだと思っていました。
とんでもない。「事業50: 文化50」いやむしろ「事業40: 文化60」の起業の方が成功確率は高いのかもしれません。そのくらい重要なことなんだと。

このことに気づいている起業家は山程いると思いますし、そう書いてあるビジネス書も少なくありません。でもそれを本当の意味で理解している人は意外に多くはない気がします。まさに自分もそうでした。いまさら言葉にするとあまりにも不覚を露呈するのは承知の上ですが、当時の自分には圧倒的にその意識が足りませんでした。この気付きは、自分にとって本当に大きなものです。

人間は恐ろしいほど環境に影響される生き物です。
個々人の考え方や行動パターンは、環境によって大きく変わってきます。
会社にしろ社会にしろ、文化というのは重要という言葉を超えて、それそのものと言っていいかもしれません。
会社を作るというのは、何かを成すための"文化"を具えた集団をつくることなんだと、改めて思います。

カヤックの中では、その文化を作るための時間やコストが、本当に驚くくらい費やされています。自分もこの1年で、数えたら5回も安国論寺に足を運んでいました。当然、そこに参加している人はその時間は仕事の手が止まりますし、集まるための準備や場所、移動にコストもかかります。起業や新規事業を立ち上げるとき、またコミュニティやまちをつくるときにも、ここに時間とコストをかけるのには本当に勇気がいります。もちろん中身のあるものでなければ意味はないですが、そこにいかに腐心できるかが、組織づくりの重大なポイントなんだと痛感します。そしてそれが実際に何に作用しているのかがようやく理解できました。

そんな学びを得ながら、自分もまた次のステップに進んでいけたらと思います。

ではでは。

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