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食べたことないのにそっくりなのを作っちゃったから、面白いことになった話。
X(旧Twitter)に載せたら(アカウントはありませんが)、バズったかも…と思うような面白いできごとがあったので、せっかくなのでコラムでシェアします。
それは、先日のうつわイベントで好評だった「しまねのお楽しみクッキーボックス」に入っている「ご当地ミニチュア」のこと。その製作過程と、裏話的なものなのですが…。
「しまねのお楽しみクッキーボックス」とは、島根のモチーフをかたどったおいしいクッキーに、ランダムでひとつ、島根のご当地ミニチュア(手作り)がついてくる、という、ちょっとガチャ感覚で楽しめる商品。
企画や開発についてはこちらのコラムをご覧ください。
企画をしたのは中心スタッフなのですが、クッキーを作ってくださる「発酵菓子カヌカ」さんと、ミニチュアを作ってくれるくらしアトリエスタッフのRさん、そして、ラッピングを手掛けてくれる同じくスタッフのJさんがいて初めて成り立つという、まさにそれぞれの特技を詰め合わせた商品になっています。
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今回、「新しいミニチュアのシリーズを作ったら良くない?」と私たちが軽率に依頼をし、「法事パン」「大あなご天丼」「蒸し寿司」の3種類を「ものづくり作家Rさん」に作ってもらうことになりました。
気軽に依頼ができてしまうこと自体がRさんの技術の高さによるところなのですが、さらに、毎回想像の斜め上の試作品を作ってきてくれるのも、楽しみのひとつです。
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今回の3作のうち、すごく面白かったのがこの「蒸し寿司」。
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「蒸し寿司」とは松江の冬の風物詩とも言える食べ物で、せいろで蒸しあげた温かいちらし寿司。錦糸卵の上に具材が乗っていて、目にも鮮やか。秋口から市内のお寿司屋さんのあちこちで、「蒸し寿司」の看板やのぼり旗を見ることができます。
ですが、なんとRさん、生まれも育ちも松江の生粋の松江市民なのに蒸し寿司を食べたことがなかったそうで、画像検索をして試作をしてくれました。
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依頼をしてしばらくしてから「試作ができたよ」というLINE画像が送られてきました。
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わーすごい再現度!と感心をしていたら、「蒸し寿司だけど、浪花寿司っていうところのをそのまま作ったけど大丈夫なんだろうか。」とRさん。
私たちも画像検索をしてみると…こ、これは、さすがに似すぎなのでは…。
松江市で一番最初に「蒸し寿司」を始められた「浪花寿司」さん。
具材に「野焼き(トビウオのすり身を使った練り物)や栗が乗っているのが特徴で、Rさんの試作はまさに「浪花寿司さんの蒸し寿司そのもの」だったのでした。
「うーむ。こんなに似てたら言い逃れはできないな…。さすがに浪花寿司さんに報告というか、相談をしなくちゃいけないレベル」ということになり、急きょ連絡をとらせていただきました。
その際、長々とクッキーボックスのコンセプトを説明して、画像を見ていただくことに。
著作権?侵害だと怒られたらどうしよう、とビクビクしていたのですが、
幸い、快くご許可をいただいたばかりか、すごく面白がってくださり、「いつか実物を見てみたいです」とおっしゃってくださったので、「もちろん!できたら実物をお見せします!」という話になりました。
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完成後、スタッフが「浪花寿司」さんにうかがい、無事に本物とミニチュアとのご対面(?)を果たし、店主さんにもそのときにご挨拶をさせていただきました。松江出身でないスタッフたちは、初の「元祖蒸し寿司」を食べてそのおいしさに感激!
お店のスタッフさんが皆さん、作り手ではない私たちにまで敬意を払ってくださり、「今度はちゃんと作り手本人を連れてきますので!」と約束をしたのでした。
そして、さらに、なんとイベント当日に店主さんがわざわざ会場にお越しくださり、イベントを手伝いに来てくれていた作り手であるRさんとの対面も叶ってしまいました。
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本物とミニチュア、双方の作り手のご対面シーンは…出会った瞬間、浪花寿司さんがさっと正座をされ、それにつられてRさんも正座をして「この度はどうも蒸し寿司を作っていただき‥」「いやいやこちらこそ、蒸し寿司を作らせていただき‥」とお互い恐縮しながら挨拶するというもので、遠くで見ていてもおもしろかったです。
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店主さん、「記念に」とクッキーボックスもお買い上げいただいたのですが、引き当てたのは「赤天」だったそう(笑)。
最初から「浪花寿司」さんの蒸し寿司を作る、ということではなかったのに、「似すぎてしまった」という理由でおうかがいをたてることになり、最終的に両方の作り手が相まみえることになった、という面白いストーリーが勝手にできあがってしまい、なんだかすごくおかしくて、これは、他の人にもシェアしたい!と思ったのでした。
さらにRさんに聞くと、「最初、画像を見て作ったんだけど、お寿司が入ってるせいろって、ちょっと使い古されてるでしょ。だから、その色合いとかも考えてちょっと古めかしいせいろを忠実に再現したんだよ。でもさあ、クッキーボックスを買う人からしてみたら、開けたら使い古されたせいろが入ってた、ってなったらどう思うかなあ、って考えて、その加工はやめて新しいせいろにしといた」とのこと。
確かに…わくわくして中を開けたら「リアル使い込まれたせいろ」が見えたらちょっとびっくりする…その再現度はいらないかも…。
そのエピソードもめちゃくちゃRさんらしくて、笑ってしまいました。
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先日、ついに本人を浪花寿司さんに連れて行き、「蒸し寿司」を食べてもらったのですが、本物を目の当たりにしてしきりにせいろを凝視していたので何かと思えば、「せいろの組み立て方さあ、妄想で考えて作ったんだけど、案外忠実にできてたわ」と、本物を見て喜んでいました。
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さすが、喜ぶ角度が違う…。
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それから(これはRさんにとってはあまり触れられたくないエピソードかもしれませんが)、本人が蒸し寿司を食べたことがなかったため、上に散らしてある豆がグリンピースなのか枝豆なのか判断がつかず、「枝豆だったらいいな」と思って、枝豆の色を再現して盛り付けをした、というのも、おかしすぎる…。そこは忠実じゃなくて自分の好みなんだ…。(ミニチュアの方を食べるわけじゃないのに…。)
(ちなみに、本物の「浪花寿司」さんの蒸し寿司に乗っているのはグリンピース。でも、冷凍のものではなく、ちゃんと「えんどう豆」の味がする、おいしい豆で、これにはスタッフも感激しました!)
この時の訪問は「店主さんに蒸し寿司ミニチュアをプレゼントする」ことが目的だったのですが、渡した後に「今度のは、ちゃんとグリンピースにしといたよ」とさらっと言うから、再度びっくり。グリンピースバージョンのミニチュアの写真も撮らせてほしかったよ…。
忠実に作ることに夢中になるRさんと、おいしい蒸し寿司と、クッキーボックスというおもしろい企画と…今回、ミニチュアの製作を通してすごく楽しい経験をさせてもらいました。
中には「ミニチュアだけ売ってもらえませんか」という声もいくつかいただいていて、クッキーボックスとのセット販売というところがこの企画の肝なので…とお断りをしていたのですが、近い将来、別の場所でこの「松江のご当地ミニチュア」を販売できることになりそうです!
また正式に決まりましたらお知らせしますね。
そして、ミニチュアの製作過程の一部をYouTubeにて発信しています。
「どうやって作ってるんですか?」という声もいただくので、良かったらこちらもご覧くださいね。
「しまねのお楽しみクッキーボックス」は好評につき完売しましたが、またイベントの際には登場すると思いますので、その時にはぜひ!ガチャ感覚でお楽しみください。
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![くらしアトリエ(地域と暮らしの発信)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/5968791/profile_9826fa427afdaede64ec5733c098d28b.jpg?width=600&crop=1:1,smart)