うっかり大人になるまで持ち越してしまった宿題、今こそやってみよう。
「小さい頃にもっとちゃんとやっておけばよかったな」と思うこと、ありませんか?
大人になってからではなかなか直せない癖や、小学校で苦手だったこと…大人になってもなんとなく引けめに感じ、コンプレックスになっている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私の場合それは、「箸の持ち方」です。
もともと左利きだったのを矯正されたこともあり、小学校に入ってから「箸の持ち方が変だ」と言われるようになりました。持ち方が変でもちゃんと食べものがつまめれば良いのですが、私の場合ちゃんと使えないんですよね…ついつい「刺し箸」をしてしまい、怒られたりもしました。
子ども会の行事で「皿の中の大豆を箸でつまんで別の皿に入れる」という謎の競技があり、なかなか上手につまめなくて家で何度も練習したのを覚えています。
大学を卒業して就職したとき、一緒にお弁当を食べていた先輩の女性職員の方に、「そんな持ち方してたら結婚するときに姑さんに怒られるよ」と言われました。
今の自分だったら「はああ??」と言い返すところですが、その時は「そうなのかなあ…」と真に受けて、2日くらい頑張って矯正してみました。でもやっぱりなおらなくて(動機が不純だからやる気もあんまりなかった)、もう私は一生この持ち方でいいや!と諦め、数年後結婚するときにも幸い姑に怒られることもなく、今まで「変な持ち方」で過ごしてきました。
先日、NHKの朝のテレビで漫画家のわたなべぽんさんが、「子どもの頃、逆上がりができなかったのがずっと心残りだった」とおっしゃっていて、ご夫婦で逆上がりの練習をしてできるようになった、というお話をされていました。
それをふと自分に置き換えたとき、「箸の持ち方」に対する自分のネガティブな気持ちを久しぶりに思い出したのです。
今だったら頑張ってなおせるかもしれない!
なおせなかったとしても別に支障ないし!
その日から動画で「伝統的な箸の持ち方(※正しい持ち方、ではない)」を見て、上の箸を親指・人差し指・中指で鉛筆を持つように軽く持ち…というのを少しずつ練習するようになりました。もうそろそろ1か月くらいになりますが、まだ全然しっくりこないし、忙しいときにご飯を食べているとすっかり忘れてしまっていることも。それでも、時々偶然、箸が指にフィットして上手に動かせる瞬間があり、めちゃくちゃ嬉しくなります。
子どものころから引け目に感じていたことが、だいぶ大人になってからでも克服できる(かもしれない)ということは、思った以上に自分を勇気づけるものだ、ということにびっくりしました。
毎日新たな目標にチャレンジしている!という充実感もあるし(食べてるだけですが)、うまく操作できないので、結果的に時間をかけてゆっくり食べるようになりました。健康にも良いのでは…これはいいことずくめ!とひとりで喜んでいます。
さらに箸を楽しみたいと思い、いま注目しているのが「箸置き」です。
もともとそんなに興味はなかったのですが、昨年くらいから少しずつ集め始めていたので、箸置きの存在も私を元気づけてくれます。
奈良の「秋篠の森マーケット」で手に入れたもの、雑貨屋さんでひとめぼれしたもの、東京のセレクトショップで気に入った食器がなく、「…安いから箸置きにしよう」と買ったものなど…。
ちいさなアイテムですが、食事に対するモチベーションも上がるし、何より食卓が華やぎますよね。
山陰の窯元でも箸置きを作っておられるところが多く、そんなに高いお金を払わなくても、作家さんの思いに触れられる、というのも箸置きの良いところだと思います。
そして、次の目標は「良い箸を持つこと」。
今まで箸にはまったくこだわりがありませんでしたが、せっかくこれからの人生を新たな箸の持ち方で過ごすのだから(大げさ)、良い箸と出会い、長く使えたらいいな…と考えています。
塗り箸なのか、木の質感が感じられるお箸なのか…選ぶのもまた楽しそう!わくわくします。
私の場合は「箸の持ち方」だったわけですが、ほかにもいろいろ、「ああしとけばよかった」みたいなことがあるんじゃないかと思います。
もちろん、人がどう思おうと私はこのままでOK!という人もいるだろうし、みんながみんな正しい方向に向かわなくても良いと思いますが、後悔したまま引け目に感じて歳を重ねるよりも、いま、思い立ったその瞬間から始めることだってできるんだ、と思うのです。
些細なことでも、それが克服できたときは心が浮き立つし、できなくたってそれはそれ。やっぱりダメだったか~、で良いのです。
うっかり大人になるまで持ち越してしまった宿題は、今からでも十分、挽回可能です(たぶん)。何か思い当たることがある方、一緒に頑張ってみませんか?