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【価値観を形づくる宿】 4. 旅暮らし経験ゼロからのソーシャルホテル「HOTEL GRAPHY根津」
4本目、そろそろおしまいに近づいています。極めて個人的な宿泊施設にまつわる記憶の話です。
なぜ泊まったのか、何をしにいったのかは全く思い出せなくとも、あるワンシーンだけ瞼の裏に焼き付いているような宿泊体験。きっと忘れないと思いますが、今後変わっていく可能性もあるので、この機会にその片手程度の宿泊施設の記憶を残しておきます。
社会人になって:移動制限のさなか、旅暮らしを思う
旅行・宿泊業界で働いていても、旅暮らしとはだいぶ違います。
「旅行業界で仕事する」「旅を仕事にする」「旅しながら暮らす(仕事する)」どれも少しずつ違うんですよね。わたし自身は1つ目しか当てはまっていません。
旅暮らしはしたことがありません。学生時代にバックパッカーとして各地を回った経験もありません。宿泊施設で旅人同士の交流が生まれるらしいとは誰かの体験談。やっぱそういうのあるんだ、でもまあもう大人になってしまったからなあ…という感想でした。
感染症対策のための行動制限、規制と緩和が繰り返されてしばらく経ったとき、無性に知らない人との交流がしたくなりました。当時は育児休業中、時間があるのにおとなと喋る機会はほとんどなく、ましてや知らない人と会話を交わすことはなく、単純に退屈だったのかと思います。
ふと、ソーシャルホテルとか、ライフスタイルホテルなんて言葉を思い出します。宿泊者間の交流など、泊まる以外の付加価値を持ったホテル。
このご時世でも誰かいるんでしょうか。泊まるとしたらわたしひとりに幼児ふたりを連れて、同じ都内の近場にしましょう。知らない人と話すことって楽しいけど、子連れだとなかなか会話するのは難しいかな。
不安はあったけれど思い立ってしまったので、行くことにしました。上野駅から公園を横目に住宅街を進んだところに、HOTEL GRAPHY根津はありました。
![](https://assets.st-note.com/img/1670102388332-NhMSzRraHq.png?width=1200)
https://www.hotel-graphy.com/
エントランスを入ると、小さなフロントカウンターとカフェバー、畳敷のフリースペースが並びます。平日の日中にチェックインしたこともあり、この共用部で仕事をする方も多くいます。
夜から朝方の館内には宿泊者と住人だけ。このホテルは半分がソーシャルアパートになっており、お住まいの方たちが居ます。ふらっとバーカウンターでビールを注入し、共用スペースを使いながら、ホテルのスタッフや他の宿泊者、住人さんと会話します。
些細な会話です。共用キッチンの使い方とか、子どもの好きなキャラクターの話、今日何した、みたいなこと。同じ場所にいても、今日何したか、なんて全然違うものですね。泊まる日、過ごす相手、その日の気分によって、会話の有無すら変わってくるのかと思います。
旅暮らしにはほど遠い、ただの近場の一泊です。
客室はコンパクトなタイプを選び、基本的にはわたしたち家族以外にも誰かしら居る、共用スペースで時間を過ごしました。ひとり・ひとかたまりだけで完結しない旅は思わぬところが記憶に残るものです。1歳前の我が子を、初めて会った方に長く抱いてもらったこととか。
ここ、HOTEL GRAPHY根津での記憶は、
宿泊施設の体験はそこに人が居て、彩られるということ。
そろそろ終わりにします
幼児期・小学生・大学生・社会人期とそれぞれに、価値観を形作ってきた4施設の記憶を残しました。
三つ子の魂百までと言います。根っこは三つのころから変わらないかもしれませんが、価値観は今も少しずつアップデートしているはずです。そうだといいなと思います。
「旅行業界で仕事する」「旅を仕事にする」「旅しながら暮らす(仕事する)」どれも少しずつ違いますが、現在地が1つ目だとしたら、この先2つ目3つ目の旅にまつわる暮らし方をすることもあるでしょう。
またいつか新しい出会いに心動かされたら、書いてみようと思います。
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