文学朗読劇『こゝろ』についてのノート④
『こゝろ』の出演者を紹介します。前編の今回は、「K」役の内藤裕志さんと「わたし」役の林大樹さんです。
二人の関係と二人と私の関係について
二人は桜美林大学総合文化学群(当時)の先輩後輩です。そして、彼らが在学中の2010年1月に、倉迫が演出した『近代能楽集』の共演者でもあります。4年生の内藤さんは「綾の鼓」の岩吉役と「弱法師」の高安役を、1年生の林さんは「綾の鼓」の戸山役でした。
内藤さんは卒業後、文学座に養成所から無事入座し、さまざまに活躍。文学座の公演情報で名前を見つけると、がんばってるんだなと嬉しく思っていました。本人に言われて思い出したんですが、Ortの『わが友ヒットラー』(2013 駅前劇場)を観にきてくれたりもしてました。
林さんには卒業後、僕が演出する、としまアート夏まつり『星の王子さま』(2013 あうるすぽっと)や『ケンゲキ! 宮沢賢治と演劇』(2014 こまばアゴラ劇場)でのリーディング『光速銀河鉄道の夜 賢治島探検記より』に出てもらったりしました。その後、タテヨコ企画、SPAC、ラッパ屋などに出演しています。最近のOrtでは、『ピノッキオの冒険』(2021 たましんRISURUホール)のコオロギ役、『あらしのよるに』(2021 各所)の狼ガブ役を演じてくれました。
二人に出演を依頼した理由
内藤さんとは活躍をチェックしながらも、一緒にやる機会はなかったのですが、今回、「K」役を誰にやってもらいたいかを考えたときに、内藤さんの顔が真っ先に浮かんできました。実は在学中に似合うだろうなと思ったんですね。そこで、文学座の知人に連絡を取ったところ、退座したことを知り、連絡先を教えてもらい、コンタクトを取りました。「わたし」役を林さんにお願いしたいというのは先に決まっており、二人からほぼ同時に出演可能の連絡をもらった時には、思わず「おお!」と声が出ました。
劇中の「わたし」と「K」は、原作と同じく、同郷の幼馴染で同級生です。林さんと内藤さんは先輩後輩ではあるものの、二人の中にあるものや二人のバランスが役の関係性に合うのではと感じています。
出会ってから14年がたち、教員と学生、先輩と後輩という立場を超えて、こうして対等な形で現場を共にできることは、演劇の創作ならではです。この14年間で僕も変わりましたし、卒業してから違う演劇の道を歩いてきた内藤さんと林さんが、朗読劇とはいえ、どんな化学反応を起こすか、まだ稽古が始まっていませんが、二人の声が交わる瞬間をなによりも楽しみにしています。
二人からのコメント動画
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