テスラギガプレスについて

テスラギガプレスについて
 
調べなきゃな―と思って、放置していたテスラの構造について調べ出すことにしました。
 
池田直渡さんのブログより(EV推進の罠の著者のお一人)
https://note.com/naotoikeda/n/n1c03871cb490
 
まずはこちらの要点を書きだします。
 
結論は既存自動車メーカーにとってメリットがないのでは?
 
でした。
 
アルミダイキャストのギガプレス。
要は大きなアルミの鋳造品。

テスラ曰く狙いは、板金もしくはアルミ押し出し材/鍛造品で構成されていた部品をギガプレスで1つに集約してしまう。
 
という、部品点数を減らす目的だそうです。
 
ただこちらのブログで書かれている通り、デメリットも多いです。
 
まず強度的に不利。
押し出し材だと加工硬化があり、同じ大きさだと強度が鋳物より有利です。
つまり同程度の強度を確保しようとすると、鋳物の方が重く・大きくなります。
 
鋳造時の冷却・凝固時のひずみが大きい。固まるのも遅い。
これは鋳造品では一般的なことです。 
大きくなればなるほど、一部は先に固まり、一部は後に固まる。
すると凝固する温度、速度が異なるので、収縮する部位が安定せず形状変化が大きくなります。
材料組成も変わってきます。
つまり狙った形状・強度(性能)が出しにくい。ということです。
 
そうなると、「アルミ鋳物は加工不要」というメリットはありますが、さすがに大きすぎてひずみのばらつきを取り切れない。
 
そうすると、機械による切削加工が必要になります。
 
機械(切削)加工の難しさ
ところが、大きすぎて加工が難しい。寸法の基準を取る必要があるのですがそれが難しい。基準をとっても、加工する箇所が多いと思われ、その基準からの距離が大きくなります。そうなると精度確保が難しいことが挙げられています。
 
修理が難しい。
多くの部品を一つの鋳造アルミで賄いますので、その一部が損傷すると丸ごと交換になります。
結果、ほぼ買い替え状態に・・・
 
自動車はメンテナンス性、特に海外の新興国では重要な要因です。壊れても直せること。安く・速く修理できる。大事な車の性能・商品性の一つです。
 
以上より、こちらのブログでは量産メーカーにはメリットがないと結論付けておられます。
 
じゃあなぜテスラが採用しているのか?
それは、部品が調達できなかったからでは?
 
確かに弊社でも部品サプライヤーさんの採算がとれず、作れない部品もあります。
 
特にテスラは新興メーカー。販売台数も少なかったでしょうし、そこに協力というよりも一蓮托生の投資をしてくるメーカーは多くないでしょう。
 
だから自分で作るしかなかった。
作るしかなかったので、結果この構造になった。
結果、他のメーカーと違う構造になったので、「世界初の新しい構造」と銘打ってアピールした。

そう言うことかもしれません。 

 
もう一つは組付け部品点数が少ないこと。
組み付ける人手、時間が不要。
組付けの自動化し易い。
 

 
この池田さんのおっしゃることは大変に説得力があります。
僕はまずはこの記事は正しかろうと思いました。


次は具体的なつくり方や設備を調べました。
  
ギガプレスはイタリアのイドラ社の巨大キャスティングのことだそうで、テスラが名付けたわけではないようですね。
https://www.appbank.net/2021/06/18/technology/2084019.php
  
ギガキャストの概要はこちらがわかりやすかったです。
どんなつくり方かわかります。
重量が軽くなる。とかは、前回の通りどうなのか?懐疑的なところはあります。
 
https://www.youtube.com/watch?v=rsBbt3TxKGg
※ご注意 動画なので音がでます。
英語ですがyoutubeで日本語字幕を付けられるので大体理解できます。2倍速だと字幕が追い付きません。。。
  
こちらはものづくり太郎さんの、解説動画。
※こちらも音がでます
https://www.youtube.com/watch?v=MTk63I1tl3I
 
ここで注目なのは、開始から7分から。ロボットによる切削。
巨大鋳物ギガキャストの切削が問題であることは前回の記事で学びました。
その解決策の一つはこちらの様です。
私は機械加工は、マシンの中に入れて加工するイメージしかありませんでしたが、欧州ではロボットアームで切削をする技術があるそうです。
日本でもその技術が高い加工機メーカーも存在するようですね。
  
このモノづくり太郎さんの動画はどれも大変勉強なります。
製造業の方はぜひおすすめです。
 
これを見ていて、前回の記事の通り単純にギガキャストへの置換が全てにメリットを及ぼすわけではないですが、車両のボデーにいくつもの部品がボルトonされているようなところは、このように一体化してしまえばよいかもしれませんね
 
以上

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