モディリアーニへのオマージュの連鎖
岡山県鏡野町の私設美術館、かがみの近代美術館の辻本髙廣・館長は、モディリアーニを愛する人です。
館内には先駆者であった中原實の貴重な作品が所蔵されています。
歯科医だった中原は、1918年渡仏し、生前のモディリアーニと同時代にパリに滞在し、モディリアーニに傾倒しました。過日、大阪市立中之島美術館の開館記念特別展「モディリアーニ〜愛と創作に捧げた35年〜」では、オマージュ作品「モジリアニの美しい家婦」(1923年)が展示されていました。
中原は、日本歯科大学の教授〜学長を勤め上げた人で、寡作でした。そんな中原の貴重な作品が館内に展示されています。
モディリアーニの作品は、今や世界中で垂涎の的になっていて新たに入手するのは不可能です。それでも、辻本館長は、作品はそれを深く愛する人のもとにやってくると言います。
美術館には、辻本館長が心眼で探し当てた、モディリアーニのデッサンが所蔵されています。
パリに鑑定に出していないのですが、デッサンの画力のみならず、額装様式や額装された年代記録から蓋然性が高いそうです。モディリアーニは早い時期より日本でも広まっていて、画家が亡くなった翌年の1921年には、小品が二科展で陳列されていました。
筆者もモディリアーニにまつわる不思議な経験をしたのは、過日、記事①および②にアップした通りです。そして、こうして岡山で辻本館長と出会いました。世界は不思議な連鎖に溢れています。
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