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5人の作家(小河原常美、小島陽介、阿部眞士、岡本達弥、白神典大)の器を用いた、鏑木清方による美人画の抽象的再現

鏑木清方(かぶらき きよかた)、1878(明治11年)-1972(昭和47年) は、江戸時代の浮世絵が生んだ美人画を、現代の美人画として展開し、情と品を感じる格調高い作品を遺しました。その代表作の2点、「築地明石町」と「朝涼」を抽象的に再現してみました。

まずはじめは、「築地明石町」1)です。

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朝霧の立ちこめる背景から、文明開化を経た流行の出で立ちで、内面に教養を兼ね備えた女性の姿がくっきりと浮かび上がっています。朱色の鼻緒と、わずかにのぞいた被服の裏地の紅絹と、口紅とが、立ち姿にアクセントを添えています。

そういった、内外両面を表現する具体物として、倉敷・羽島焼き窯元3代目の小河原常美さんによる納戸色の花入れと、伊賀焼2代目の小島陽介さんによる黒の花器と、河井寛次郎に師事した父をもつ阿部眞士さんによる紅のぐい呑みを選びました。お三人とも偉大なる初代の父を引き継ぐ立場で苦悩された経験が昇華された、静謐で格調高く、かつ個性的な作風です。

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この空気感はいかがでしょうか?

次に「朝涼」2)です。

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三つ編みのお下げをした、ういういしい清楚な少女像が、淡い青緑色の背景と溶け合って、清らかな情感を漂わせています。

画面全体に漂う清らかさを表現するために、倉敷酒津焼兜山窯3代目の岡本達弥さんの藍色の盃と、倉敷市水島のガラス工房初代、白神典大さんによる水色のビーズガラスを用いた水差しをセレクトしました。いずれも、清々しさ、若々しさ、と斬新さを感じます。

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*使用した折敷(おしき)は、工房川月(岡山県高梁市成羽町)の川月清志さんによるものです。

1)鈴木 進, 宮川謙一:現代日本の美術5 鏑木清方/山口蓬春. 集英社 1976, 図版13

2)同書, 図版12

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