三宅木工房、三宅智之さんによるシロクマの造形2
筆者は、三宅智之さんによるシロクマの造形を3体所蔵しています。
3体のうち、2体はとてもよく似ています。正面から見た感じも、背中の表情もほぼ同じです。
ですが、横から見た造形は、随分と違っています。
左側のシロクマはずんぐりしていて、腕を軽く曲げ、顎を引いていて、神妙かつリラックスしている感じです。
右側のシロクマは、ややスリムで、腕を伸ばしてぴったりと体側に着けていて、顎が上がっています。緊張して力んでいるのが伝わってきます。
腕のしぐさや顎の緊張は、材料のシナの木の形で決まりました。右側のシロクマの材料になったシナの木は、左のシロクマと比べて、細かったからでしょう。ですから、2体の造形は、それぞれの木の生きてきた歴史が表現されたものと言えます。
残りの一体を正面から見た画像です。
全体的にずんぐりしていて、肩のカーブの延長が、手をお腹の前で合わせる造形になったのは、必然であったことが理解できます。
三宅さんは、このようにして、木と対話しながら、木が望むように造形されますので、その作品は、木の本質の表現と言えるものです。作家のイメージで作り込まれた作品にはないような、「生き物の体温」が、感じられます。
追伸
3体のシロクマと共に、ももの節句に桃の花を愛でました。
幻想的で、まるで夢の中の出来事の様です。3体は桃源郷の歓待係に見えます。
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