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藤原加寿子さんの一輪挿し
下の画像は、岡山市東区瀬戸町出身の陶芸作家、藤原加寿子さんによる、信楽の土を使った一輪挿しです。ペルシャ陶器の技法を用いて、金ラスター釉薬に浸けて還元焼成したものです。藤原さんのオリジナルによって、金の発色が抑えられ、郷愁を誘うセピア色の仕上がりになっています。
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ちなみに、19世紀末頃からモノクロ写真が普及しましたが、日光の紫外線が当たると退色するという欠点がありました。この色あせた風合いのことを「セピア」と呼ぶようになり、現在では懐かしさをイメージする色になっています。1)
このセピア色の、ひょろっと立つ、揺らぐような外観から、思い浮かんだ人物がいます。かつて京都国立博物館で観た、鎌倉時代の秘宝・佐竹本三十六歌仙絵に描かれた歌仙・柿本人麻呂の姿です。
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柿本人麻呂(660ー724)は、飛鳥時代に活躍した歌人です。万葉集第一の歌人で、平安時代に選定された和歌の名人、三十六歌仙の一人に選ばれています。
今ここに千数百年の時空を貫いて、「いにしえびと」の美意識と、ペルシャとつながった新進の作家の創造性とが、岡山で遭遇したシンクロニシティにびっくりしました。
引用文献・画像
1)神浦高志・編,橋本実千代・監修:世界でいちばん素敵な色の教室, 三才ブックス, 2019. P50・51
2)重要文化財 佐竹本三十六歌仙絵 柿本人麻呂(詞 伝・後京極良経・筆 絵 伝・藤原信実・筆 東京出光美術館・蔵):京都国立博物館、日本経済新聞社・編:流転100年 佐竹本 三十六歌仙絵と王朝の美. 日本経済新聞社, NHK京都放送局, NHKプラネット近畿, 京都新聞, 2019, P69-72
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