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竹久夢二と猫と女性

倉敷本通り商店街の竹久夢二ショップ、ギャラリー・メリーノでは、岡山出身のクリエーターである、竹久夢二のオリジナル版画や関連商品を製作販売しています。店を覗くと、今月は、お店オリジナルの絵はがきを多数、展示していました。猫の絵が何枚かあって、そのうちの一枚に図案化された5匹の猫が描かれていました。

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夢二からのメッセージを読み解こうと、絵はがきコーナーをしばらく眺めていると、どうも猫は、女性のキャラクターみたいだ、気付きました。筆者は、店頭の絵はがきの中から、それぞれの猫の雰囲気に合う女性を、次のように選んで当てはめてみたのですが、いかがでしょうか?

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パリで活躍し、猫と女を繰り返し描いた洋画家、藤田嗣治のように、竹久夢二にとって女性は猫だったのですね。


追伸

ギャラリーメリーノのマダム、清水繁子さんによれば、竹久夢二の描く女性は手が大きく描かれていて、手の表情で女性の内面を表現したそうです。

画像ではテーブルの上に白い子猫がいて、女性が右手で撫でているのが見えます。白猫は、招き猫がそうであるように、恋や幸運を運んで来てくれる象徴です。

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白猫は、よく見ると、実は女性の左手でした。

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加えて、竹久夢二が描く女性は、正面を見いても、目が合わないように描かれているそうです。この女性も向かって左に柔らかく視線を外していて、内面のやさしさが伝わって来ます。

別の作品を見てみましょう。

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女性が野原に仰向けに寝ていて、手が大きく描かれています。右手はピエロの帽子に見えます。ピエロとは、本当の感情を隠して、周囲には明るく振る舞って見せる、引き裂かれた存在を暗示します。女性は顔をこちらを向けていますが、少し下方に視線を外していて、悲しげに見えます。

※ 竹久夢二作品の画像は、お店の許可を得て掲載しました。

(ギャラリー・メリーノ:倉敷市阿知2-25-44)


追記

清水さんは京都で、清水ゆふ子というお名前で活躍したアーティストでした。

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お父様が亡くなられたあと、お店を支えるために、京都に家族を残して実家の倉敷に単身赴任されているのだとか。お店の名前「メリーノ」は、繊維製品を扱うお店だったのと、清水さんが未(ひつじ)年生まれだったので、お父様が、織物や羊に関係することば「メリノ」からとったらしいとのことです。お父上の娘への愛情深さが偲ばれます。

清水さんは、アート分野の多方面で活躍されました。筆者の執務室には、清水さんの抽象画が飾ってあります。

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清水さんの絵を掲げると、空間全体が引き締まった感じになります。





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