岡山市のカフェ、シナジー73における記号性の考察
岡山市北区天神町のカフェ、シナジー73は、店内で個展やグループ展を開催し、地域のクリエーターを応援しているお店です。
過日、「マッチ箱展2」が開催されましたので、出かけて来ました。
昼間、案内チラシに載っていた地図を頼りにお店を探したのですが、お店のある通りを何度か行ったり来たりしながら、見つけるのに苦労しました。
店内では、カフェオレをいただきながら、壁一面に展示された、アートフルで愉快なデザインのマッチ箱を鑑賞できました。
お店は、このたび15周年を迎えたそうで、帰りにお店の麗しきマダムから記念のマッチ箱をいただきました。
マッチ箱の側面を見ると、お店の特徴が図案化されています。
階段を昇ったところに秘密の入り口があるのを示唆するイラストに思えましたので、振り返って検証してみました。
外から見ると、お店は、ビルの2階にあります。2階に通じるのは、ビルの外にある、いわゆる、非常階段です。
階段からは、お店の看板だけが見えて、入り口は直接見えません。
階段の踊り場まで昇って、回り込んだところが入り口です。まさに、存在を臭わせながら隠されている場所になっています。
米国史上最高の哲学者、パースによれば、記号には3段階があります。すなわち、アイコン、インデックス、シンボルです。
アイコンとは、今回紹介したように、画像によるお店へのルート案内です。とてもわかりやすいのですが、その反面、想像による期待感が乏しくなってしまいます。
インデックスとは、アイコンのようにお店の場所を直接、指し示しませんが、ヒントを与えるものです。
マッチ箱に図案化されたお店の特徴は、インデックスと言えます。
もしも、初めてお店を訪れたときに、このマッチ箱があったら、お店を見つけるのは、地図だけよりもかなり容易だったことでしょう。しかも、ヒントになっている「階段や入り口」が、実際はどうなっているのだろうか?、と、道すがら、お店の姿をあれこれ想像して、わくわくしながら向かうことができたでしょう。
最も抽象化された記号表現であるシンボルでは、お店は、「隠れ家的なカフェ」、という言葉による表現になります。お店の入り口が大きな通りから直接見えなかったり、探すのが難しいのは、察することができますが、漠然としているので、想像力を働かすのが難しくなってしまいます。
神は細部に宿ります。小さなマッチ箱から、カフェ・シナジー73は、アートフルな空間に相応しい、人の想像力をかき立てる存在であることが、垣間見えました。
追伸
カフェ・シナジー73は、お店の立て看板も、控え目で、謎めいています。