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入川家の「別世界」との交流の物語〜ちょっと込み入ったお話〜
私たちがいるこの宇宙は、唯一無二の宇宙ではなく、多数の宇宙と並立して存在する多重世界の構造になっていることが、数理学的に支持されています。
岡山市・旭川河岸にあるカフェ、カフェ・モヤウのランチ・トレーは、多重世界の解りやすいモデルになっています。すなわち、主菜の皿がいくつも並列してあり、メインが決まっていません。
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私たちは、今住んでいる、この宇宙の外に出て、ランチ・トレーを眺めるように、この宇宙や他の宇宙を外から観測することができないので、原理的に多重世界の存在を直接確かめることはできません。
この「確認不能性」は、日々の生活と関係がない、途方もない問題のようですが、身近にもあります。
私たちが、自分以外の他者に心(小宇宙)があるかどうかを、証明できないのも同じ問題です。例えば、目の前の赤いバラを、他者がどのような「赤さ」に体験しているのかを知ることは不可能です。ですか、私たちは、様々な経験をつなぎ合わせて、自分以外の他者にも心があると信じて生活しています。
遙か昔、人々は、人間界の外側に別の世界が広がっているのに気付きました。人々は人間と異なる者はみな、別の世界(another world、他界、異界)の住人と考えました。異界の住人は、鬼、河童、妖怪、幽霊といったおぞましい存在だけでなく、あがめ祭る神や先祖の霊も含まれました。1)
正月行事は、異界から歳神様(先祖霊)を迎える行事です。ご先祖様を自宅に呼び寄せるにあたって、自宅が判るように目印として置いたのが門松でした。このように、異界からよく見えるように「目印」を置くことによって、異界の住人と交流することができると信じられ、行事として定着しました。2)
ちなみに、1月15日の小正月に行われる「どんど焼き」は、異界に帰るご先祖様を見送る行事です。
広島県福山市の入川家でも、この「目印」によって、思い掛けず、異界に住む「入川家」と有意義な交流をされたので、その様子をリポートします。
まずは、昨年の10月の、チハルさん、バリさんご夫妻の結婚記念日の出来事です。
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子ども達がサプライズで用意したホール・ケーキが目印になって、2家族の異界の「入川家」と出会い、交流されました。
まずは、「陶布人形の世界の入川家」との対面です。
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つづけて、ヨシダコウブン・ワールドから、ケモノの世界の入川家の来訪がありました。
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その日は、子ども達からの粋な計らいで、予期せず、楽しく愉快な国際交流ならぬ、「異界際・交流」の一夜になりました。
さて、今年の元旦の入川家の様子です。
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左から、ウタさん、バリさん、カンナさん、チハルさん
ご一家は、おだやかに、幸せいっぱいの元旦を迎えられました。
・・ご家族は、突然、しめ飾りのミカンが目印になって、異界の「入川家」と再会を果たしました。
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どの世界の入川家も、多くの困難を家族で団結して乗り越え、幸せにあふれていました。
10万年前に現世人類に芸術が降りてから、異界は芸術的インスピレーションの宝庫です。アーティストであるチハルさんとバリさんが、異界との交流によって、今年はどんな作品を生み出されるのか、とても楽しみです(^_^)。
いつも幸せいっぱいで、オープンな家族、
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そ・れ・が、入川家。
入川家について、さらに詳しくは、こちらから。
出演
陶人形:制作 海野千尋
ケモノ:制作 ヨシダコウブン
ミカン1:制作 ハイジ
ミカン2:制作 土井絢加
コウモリ:制作 岩垣奈保
アマビエ:制作 神崎勝典
文献
1)朝里 樹・監修:日本異界図展. G.B., 2022, P10-15,
2)同上, P112-115