猫のミケさんは、110年前の、異国の少女の化身でした
画像は、倉敷・白壁通りにあるギャラリー、ビョルンに住み込んで、訪問者をもてなしている看板猫の「ミケ」さんです。
ミケさんは、容姿端麗なだけでなく、とても情の深い、心づかいがやさしい、お嬢さんです。細面の頬が、少しエキゾチックで、潤んだ聡明な瞳と、形のよい耳と、複雑に交じり合った三毛が、チャームポイントです。
後日、この画像を振り返っていたら、ミケさんのイメージに強い既視感を覚えました。どこかで出会ったことがある麗人に違いない、と、記憶を探ります。
・・それは、ギャラリーからほど近い、倉敷美観地区の大原美術館に所蔵されている、児島虎次郎・作「和服を着たベルギーの少女」でした。
その絵は、西洋画のコレクションを展示する大原美術館本館に展示されています。
美術館の重厚な扉をくぐって展示室に入ると、
一番最初に眼に飛び込んでくる作品です。
本作品は、児島虎次郎がヨーロッパ留学中のベルギー時代を代表する作品です。モデルの少女にあけぼのの梅花の模様の和服を着せて描いています。作品全体には、原色が多く使用され、多様な筆触が混在し、それらが見事に調和しています。1911年、彼は本作品をパリのサロン・ド・ラ・ソシエテ・ナショナル・デ・ボザールに出品し、入選を果たしました。2)
モデルの少女からは、初々しいはにかみと、画家への親愛が伝わって来ます。
ベルギーの少女は、100年以上の時を越えて、倉敷の大原美術館に安住しています。大原美術館のお膝下で、少女の化身に出会っていたことが判ったので、びっくりしました!
追伸
岡山市のネイロ堂で開催中の、ヤマイチアツコ陶猫展「名もない記念日」(2023.1.11~23)でミケさんの化身に出会いました。
作者のヤマイチアツコさんは、保護猫を愛する人です。ミケさんは、ビョルンにやって来る前、飼い主がいない猫でした。このシンクロニシティは必然だったのでした。
引用文献
1)公益財団法人 大原美術館・編:大原美術館Ⅲ 児島虎次郎.
公益財団法人大原美術館, 2019. P24
2)守田 均, 渡邉浩美・編:没後70年・児島虎次郎 展. [没後70年・児島虎次郎]展実行委員会, 1999, P54
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