日本古来の色〜桔梗色と刈安色〜
倉敷の苑工房では、40年前から四季おりおりの自然の植物を用いて、そのままアクセサリーにいています。その工芸品は、鮮やかに、見事に、日本の古来からの色を再現しています。
そのひとつは、桔梗(ききょう)色です1)。色の名前は桔梗色になっていますが、実際の桔梗の花よりも濃い青紫で、ちょうどリンドウの花の色に相当します。画像は、桔梗色をとどめたリンドウのアクセサリーです。青や藍とも違う独自の色です。
リンドウ(苑工房)
もうひとつは、刈安(かりやす)色です2)。画像は、苑工房による蠟梅のアクセサリーです。この蠟梅の花が見事な刈安色をしていました。刈安色は、奈良時代から登場する日本古来の色で、カリヤスを煎じた液で染色します。カリヤスは、ススキに似た多年草ですが、主に東日本に分布し、残念ながら岡山では、ほとんど見かけません。黄色やレモンイエローとも違う、明るいのに深みのある独自の色です。
蠟梅(苑工房)
作品は、丁寧にドライフラワーにしてから加工するのだそうです。
1)神浦高志・編,橋本実千代・監修:世界でいちばん素敵な色の教室, 三才ブックス, 2019. P120
2)同P74
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苑工房・作:リンドウ
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苑工房・作:老梅