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おばあさんと小さな花と猫のおはなし……🌻🌻🌻

 ひまわりじゃなくていいの。
 道端に咲く小さな花のように生きたい。
 普段はだれにも気づかれず、踏まれちゃうこともあるかもしれないけど。
 ちょっと痛いくらいで、死なない程度なら踏まれるのも人生には、ありかもしれないよ。
 踏まれっぱなしは、いやだから、ときどき踏ん張って伸びをしよう。
 そしたら小さな花が開くかもしれない。
 咲いたら誰かが気が付いて「かわいいね」って摘んでくれるかもしれない。
 おうちのキッチンにちいさな器に活けてくれたら、毎日「おはよう」って挨拶するの。
 下からおうちの黒猫さんが言うんだよ。
「綺麗ね、あたしもそばに行ってもいいかしら」
「もちろんですよ、かわいい猫さん」
「あら、一緒に並んだら、かわいいわね。写真に撮って飾ろうかしら。
 トーストを焼きながら、おばあさんが言いました。
 ヤカンがピーと鳴きました。
 コーヒーがいい香りです。

 窓からお日様が「おはよう」と言いました。
 静かな明るい朝が来ました。
 おばあさんはコーヒーを飲みながらトーストを食べています。
 猫さんと小さな青い花を見ながら微笑みました。
「いいお天気ね。可愛い花を摘んで摘んできてよかったわ」
「おばあさん、わたしを摘んでよかったの?」
「もちろんですよ、なにもない台所が明るくなりましたもの」
「クララも喜んでいるもの、ねえ、クララ」
「猫さんの名前はクララさんなの」
「そうですよ、うちのお姫様なのよ」
 可愛い猫さんとおばあさん。
 私はちょっとお役に立ちましたか?
「もちろんですよ、ありがとう、オオイヌフグリさん」

 ああ、名前も知っているのね。
 うれしいわ、おばあさん
 ありがとう。

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