KADOKAWAのトランスヘイトしぐさに眉をしかめた話
こんにちは、不璽王です。気軽にふじおーさんと呼んでくださいね。俺は気さくなお兄さんを自称しています。今初めてしました。
気さくなお兄さんは9月からの無職生活をずっと満喫していて、えーと、今何月ですか? 12月? もう4ヵ月目? うそぉ。毎日布団と椅子の間を往復しているだけで時間って経っちゃうんですね。知らなかった。お兄さんは最近、運動不足を解消しようと懸垂したりHIITトレーニングをしたりしていたら肩が痛むようになってきて、その痛みが時間が経っても全然引かなくて困っています。なんででしょう。お兄さんを自称してるだけの中年だからでしょうか。寝ているとき以外はずっと痛いので布団で過ごす時間が増えました。そしたらなんと時間の進む速さも加速しちゃったんですね。びっくり。瞬きする間に一週間経ってたりします。知ってますか? 無職だとジャンプの発売日でしか曜日を知る機会が無いんですよ(諸説あり)。主観的には気になるワンピースの続きがすぐ読めて幸せなので何の問題もないんですが。ほら、みんなも仕事なんて辞めて幸せにおなりよ。というあたりで近況報告を終えて、次から本題です。
この記事の趣旨を要約しますと、以上に引用したKADOKAWA翻訳チームの公式Twitter(現X)アカウントのツイート(現ポスト)が気に食わない、となります。なにが気に食わないか。読んだ人のトランスフォビアな感情を増幅させる煽情的な文章だからです。
トランスフォビアとは、読んで字のごとくトランスジェンダーの人たちを必要以上に怖がることです。必要以上に怖がるってなんぞやという話を、簡単な例をひとつあげて解説しましょう。
トランスフォビアの人が出す頻出例の一つが「トランスジェンダーの人が体は男のままなのに性自認は女だと言い張って女湯に入ってくるなら、怖がって当然」というものです。この主張には間違いがふたつあります。
ひとつは「男性の体のまま女湯に入っていい」ルールなんて存在しないこと、もうひとつが「恐れるべきはトランスジェンダーではなく、そういう言い訳を使って女湯に侵入しようとする犯罪者」であることです。
ルールを守って犯罪を犯さないトランスジェンダーの人を想定してください。その人があなたに危害を加える、どんな方法があるでしょうか?
それでも女湯に入ってくるトランスジェンダー自称者は怖いでしょう。でも、その人が怖いのはトランスジェンダーだからではなく、ルールを守らない犯罪者だからです。ルールを守らない犯罪者なら、トランスジェンダーではなく男であっても女であっても、ゲイやレズビアンなど誰であっても怖いでしょう。
「犯罪を犯した」という部分をスルーしてその人の属性を極端に怖がってしまうことは、私個人的にも無理もないことだとは思いますが、それは過剰な恐れです。繰り返しますが、恐れるべきは特定の属性を持った人ではなく、犯罪に手を染める人です。
恐れるべき対象を間違えた、必要以上の恐怖感情。これもまた、差別感情の一つです。
ここまで書いて「どうせこんな記事誰も読まないし、読まれたとしても不要に広がって炎上するんだろうなぁ」と思ってうんざりしてきましたが、頑張って続きを書きます。うんざりついでにリンクを張ります。
これは当該書籍のAmazonアフィリエイトリンクです。「なんでこんな本が売れるんだ」と個人的な怒りを覚える可能性があるので、その怒りを前もって「でも売れたら俺の小遣いになるしな」と誤魔化すために貼りました。これが俺流アンガーコントロールだ!
さて、KADOKAWAのツイートに話を戻しましょう。
差別には反対、と予防線を張っているのが小癪ですよね。差別に反対しているのなら、トランスジェンダーへの恐怖感情を煽情的に扱って差別を増長させるなんて出来ないはずなんですが。
「でも、事実だったらしょうがないんじゃない?」という架空の反論に向かって反論するという不毛なことをこれからしますね。私は該当の書籍も読んでいないし(発売前だし、原書を読む語学力もないからです)、外国のトランスジェンダー事情にも明るくないので「事実か否か」という点で論じることは出来ません。出来るのは、それを扱う際の手つきについて語ることだけです。記事タイトルにした「KADOKAWAのトランスヘイトしぐさ」が気に食わない。それだけなんです。
事実を集めて社会問題を詳らかにし、論点を深堀りして前に進めていく。それについて反対することはありません。でも、その途中で不必要にトランスジェンダーとして生きている人への差別感情をいたずらに高める行為で、いったい誰が幸福になるのでしょう?
河出書房新社の編集者に石川詩悠という方がいます。ここで明確に関連性があるわけではない氏のひとつのツイートを引用します。百合小説コレクションwizや蝶と帝国といったLGBT的な小説を担当されていて、その方面への関心がとても高い方です。
書名が伏せられているのでこのツイートに関して触れるのは軽くにしたいのですが、そこまで言うんだったらそこまでのことなんでしょう。同業者に軽蔑される仕事というのは、中々にきついものがあります。
怒ったままでこの記事を終わりにすると後味が悪いので、最後に同じKADOKAWAから出る近日刊行の注目作をひとつ紹介したいと思います。それがこちら、杉浦次郎原作 うめ丸作画の漫画「ニセモノの錬金術師」です。来年1月23日発売。
いや、もう、こんな文脈で紹介するのが申し訳ないくらい面白くかつ素晴らしい漫画なんですが、まぁいいでしょう。ねじこみます。俺がそうしたいからそうします。
どんな漫画なのか内容を紹介すると、転生主人公が奴隷を買って優しくして感謝されるという、異世界転生で自己充足的な話にありがちで気持ちの悪い導入で始まる漫画です。が、この漫画の特異性はそこから先にあります。なんと、そういう話を書くことに原作者が恥ずかしくなってしまうんですよ。
横道にそれます。かなりそれます。その横道が、めちゃくちゃ面白いです。癖の強いキャラクターが出てきます。それはもうバンバンと出てきます。そのキャラクターたちが、みんな原作者の手綱が付いているのか不安に思うほど好き勝手します。これが読んでて気持ちいいんですよ。商業版ではまだかなり先の話になりますが、第一部のラストではその好き勝手の結果が奇跡的に感動的なエピソードになってものすごいんです。これに匹敵する感動はハンターハンター蟻編のラストぐらいしかないんじゃないかというものなので、もし商業版の売り上げがぽしゃって第一部が完結しないまま打ち切りになったら俺は、俺自身を抑えきれる自信がない。いったい俺は、その時何をやらかしてしまうんだろう……。
原作の無料ラフ版もkindleで公開されていて、それを読んでも作者の収入になるのでそっちも紹介しておきます。完結済みで、続編もあります。
本当にいいですよ。これを読んで一緒に商業版の続きを楽しみにしましょう。幸福になりましょうよ。あ、商業版の2巻も購入ページが出来ているんですって。こっちも購入予約しときましょうか。全く仕方ねーな。
以上です。みんなで幸福になりましょうね。