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『レッドスワン』があまりに面白かったので感想などを記載#1

レッドスワン概要

普段は小説を読まないのですが、「レッドスワンサーガ」というサッカー小説があまりに面白かったので、感じたこと考えたことをメモ代わりに記載します。
年甲斐もなく、寝る間も惜しんで読んでしまいました。

作者の綾崎隼氏は、恋愛小説をメインに書いている方らしいですが、サッカーが好きで、かつアルビレックス新潟のサポーターということもあり、サッカー小説を書いたようです。
(レッドスワンはアルビレックス新潟のホームスタジアムであるデンカビッグスワンスタジアムに掛かっているらしいです。)

綾崎隼氏はnoteもやっているようです。


ちなみに、本著は、作者の好意によりカクヨムというサイトで無料で読むことができます。

あらすじはamazonのページからそのまま引用します。
作者が恋愛小説も書いているということで、恋愛要素も盛りだくさんですが、感想についてはサッカーについてのみ記載します。

私立赤羽高等学校サッカー部『レッドスワン』。新潟屈指の名門は崩壊の危機に瀕し、選手生命を絶たれた少年、高槻優雅は為す術なくその惨状を見守っていた。
 しかし、チームが廃部寸前に追い込まれたその時、救世主が現れる。新指揮官に就任した舞原世怜奈は、優雅をパートナーに選ぶと、凝り固まってしまった名門の意識を根底から変えていく。
 誰よりも〈知性〉を使って勝利を目指す。新監督が掲げた方針を胸に。『絶命』の運命を覆すため、少年たちの最後の闘いが今、幕を開ける。


高校サッカーの問題点

舞台が高校サッカーということもあり、現実の高校サッカー界の問題点をリアルに記載しています。
主人公が所属する高校の監督は、それを逆手にとって戦術を考えているのが皮肉めいていて面白いのですが、高校サッカーの問題点のうち個人的に気になった内容について記載します。


主要大会の過密日程

高校サッカーの2大大会であるインターハイと選手権の全国大会は(都道府県によっては予選も)、ともに短期決戦で行われることもあり、連戦が当たり前のように行われる、超がつくほどの過密日程です。(特にインターハイの方が酷い)

最近でこそ、長友選手をはじめとしたプロの方も問題提起をし始めていますが、なかなか改善する兆しが見えません。
まあ開催期間を長くすることが難しい理由も分かりますが、選手のことを考えたら過密日程は避けるべきです。

私自身も学生時代、2日連続の試合は公式戦でも何回かありました。
2日連続なだけでも、2日目は脚が動かないし、1日目も翌日のことを考えてセーブしてプレーするなど、良いことはありませんでした。
インターハイや選手権の全国大会では、3日連続の場合や、1日休みで何回も試合する場合などがあり、想像しただけでしんどいのが目に見えています。

ちなみに作中では、主人公の監督はこの過密日程を逆手に取り(というか作者が暗に批判していると思うのですが)
・全く攻める気配を見せない超守備的な戦術を取る
・勝っている状況でもなく、かつ前半のうちから、相手コーナー付近でのボールキープをする
といった、体力温存策を採用しています。
ターンオーバーといった一般的な方法も採用しているのですが、個人的にはこの皮肉めいた戦術が特に気に入りました。
誰か同じようなことを実際にやってくれないかなぁ、とひそかに期待しています。


世代の頂点を決めるわけではない大会が注目

高校サッカーの世代ではJリーグの下部組織を中心としたクラブユースに良い選手が集まる傾向があります。
実際、世代のトップが戦う高円宮杯JFA U-18プレミアリーグでは、クラブユースのチームの方が圧倒的に多数を占めています。分母の違いを考慮するとクラブユースが如何に優勢かが分かります。

このプレミアリーグが高校生世代の最もハイレベルな大会なのですが、一般的にはあまり注目されず、最も注目される大会は選手権となっています。

作中でも語られているように、クラブユースも参加するトーナメントでも作って、その大会を最も盛り上げるべきだと個人的にも思いますが、実際の世界ではそのような流れは起きていないようです。

作中では、主人公の監督は選手権で結果を残して監督としてのステップアップを図るということを考えているのですが、実際注目を集めるのが選手権なので理にかなった考えだと思いました。
本当にクラブユースが参加してしまったら、高校サッカー部が結果を残すことはかなり難しくなると思うので、そのギャップを上手く突いている感じがしました。



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